菅総理との不仲説が囁かれ…麻生太郎財務大臣「存在感なし」の憂鬱
妻との高級フレンチディナーでつかの間の休息か
妻・ちか子さんと久々のディナーを楽しんだ後でも、麻生太郎財務相(80)の表情は冴(さ)えなかった。
10月上旬の土曜日、広尾(渋谷区)の高級フレンチ懐石を後にした麻生大臣は、小雨の中を少し歩き、運転手が待つ高級外車に乗り込んだ。
せっかくの休日なのに、麻生大臣が浮かない様子なのはワケがある。週が明けて永田町に戻れば、憂鬱な日々が待っているからだ。
「心中にあるのは、菅(義偉)首相との関係でしょう。麻生さんの菅さん嫌いは有名な話。そもそも、麻生さんは『叩き上げ』の菅さんと根本から合わないんです。華麗なる一族の出身である俺が、なぜ秋田の農家の倅(せがれ)を支えなきゃいけないんだと、思っている。9月の派閥会合で菅内閣を『かん内閣』と読み間違えたのも、間違いなくわざとです」(自民党ベテラン議員)
菅首相が麻生大臣の感情に気づかぬはずはない。50名を超える大派閥の領袖(りょうしゅう)である麻生大臣を大っぴらに干すことはできないが、ジワジワと締め上げている。
「新内閣発足に伴う人事では、露骨に麻生さんの力をそぎ落としにかかりました。麻生派の中で厚遇と言えるのは行政改革大臣の河野太郎くらい。あとは万博大臣などの軽いポストにしか置いていません。とくに麻生さんにとって面白くないのが、総務大臣という重要ポストに二階派の武田良太が就いたことです」(同前)
’19年4月に行われた福岡県知事選において、麻生大臣は元厚労官僚を擁立した。しかし武田総務相は、無所属の現職を支持。しかも、結果は麻生陣営の惨敗に終わった。以来、両者は犬猿の仲として知られている。
麻生大臣を憂鬱にさせているのは、菅首相との関係だけではない。
「実は、長男との代替わりが噂されているんです。しかも、それを麻生さんに迫っているのは、他でもない妻のちか子さんだとされています」(麻生派議員)
麻生大臣ももう80歳。このまま引退してしまうのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が語る。
「麻生派、岸田派、谷垣グループをまとめる大派閥構想を麻生大臣は考えている。3つが集結すれば議員は100名を超える。そうなったら、菅首相は再び麻生大臣を持ち上げざるを得なくなります。仮に息子に代替わりしても、政界に隠然たる影響力を持つ可能性は十分にある」
永田町を舞台に、暗闘は続く。
『FRIDAY』2020年10月30日・11月6日号より
- PHOTO:西 圭介