急な辞任発表…大塚家具・久美子氏が社長の座に居続けた理由

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
低迷が続く大塚家具の久美子社長。一橋大学を卒業した才女だ。15年撮影

「かぐや姫」は気が気でなかったのだろう。10月28日に12月1日付の辞任を発表した、大塚家具の大塚久美子社長(52)のことだ。

今年第一四半期(5月〜7月期)の純利益は、約10億2000万円の赤字。4期連続の営業赤字とキャッシュフローのマイナスで、22年4月にはジャスダック上場廃止の危機にある。ニッチもサッチもいかない状況に陥っていたのだ。経済ジャーナリストの松崎隆司が語る。

「新型コロナウイルスの影響が大きいとする向きもありますが、問題はもっと根深いと思います。現に似た業種の『ニトリ』や『島忠』の業績は、コロナ禍でも“巣ごもり需要”で伸びていますから。

大塚家具が苦境にある原因は二つあります。一つは父・勝久氏とのお家騒動でのブランドイメージ毀損が、いまだに影響を及ぼしていること。高級品を扱う大塚家具にとっては、致命的なダメージです。二つ目が従業員のモチベーション低下。業績悪化による相次ぐリストラにもかかわらず、結果を求められ現場の社員の士気は下がっていました」

重なる亡き愛娘の面影……

久美子社長も、手をこまねいていたわけではない。大ヒットドラマ『半沢直樹』(TBS系)では、自社商品を主人公の自宅家具として提供。中国やインターネット事業にも乗り出している。だが、どれも起爆剤にはなっていなかった。

「昨年12月に家電量販店『ヤマダ電機』の傘下に入りましたが、シナジー効果が出ているとは言い難い。そもそも家電と家具を、両方買うという人は少ないでしょう。どちらも高価なので、一方を買ったらもう一方を買い控えるケースが多い。むしろ両立しづらい商品といえます。

ヤマダ電機は住宅メーカーやリフォーム会社を買収し、生活空間をすべて提供する『暮らしまるごと』を標榜している。しかし住宅数や人口の減少で、大きな伸びシロは期待できないと思います」(前出・松崎氏)

ヤマダ電機にも余裕がなければ、低迷の続く大塚家具を100%子会社しコントロールしやすくすることも考えられる。経営陣を刷新してもおかしくなかった。

「ヤマダ電機の山田昇会長は厳しい人ですからね。業績が上がらないと、スグにトップを変えることは多い。久美子氏が、社長を続けられたのが不思議なくらいです」(松崎氏)

ヤマダ電機社内には憶測がある。久美子氏が社長の座にい続けたのには、特別な理由があったのではないか、というものだ。

「山田会長が、亡くなった愛娘の姿を久美子さんに投影しているのでは……という噂です。山田会長の長女はとても優秀で、若くしてヤマダ電機の社長室長を務めていました。会長は、彼女を将来の社長候補として考えていたようです。ただ02年12月に本社(群馬県前橋市)から帰宅途中に、信号無視をした乗用車にはねられ亡くなってしまった……。まだ26歳の若さでした。

会長は加害者に約7億円の損害賠償を求める訴えを起こしましたが、これは長女が50歳で社長になると仮定した生涯所得から換算した金額。会長の落ち込みようは相当なものでした。長女が生きていれば、久美子氏と似たような年齢です。会長にとって久美子氏は、とても赤の他人とは思えず親近感を持っていたのではないかと言われています」

苦境を打破すべく、経営にたずさわり続けた久美子氏。だが念願かなわず、無念の辞任となった。

  • 撮影蓮尾真司

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事