『イッテQ』『ポツンと』視聴率の質を比べてわかった重大事実 | FRIDAYデジタル

『イッテQ』『ポツンと』視聴率の質を比べてわかった重大事実

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視聴率三冠王の日本テレビと首位争いを繰り広げるテレビ朝日が、制作体制の改革に着手するとのウワサが流れているという。

すでにテレ朝は看板番組『報道ステーション』をはじめとした情報番組で働くスタッフの人員変更を断行したばかり。視聴率で苦戦するフジテレビならまだしも、なぜ好調に見えるテレ朝が改革に着手するのか…?!

「テレ朝が日テレと視聴率ナンバーワン争いをしていて勢いがあるというのは、あくまで一面的な見方。スポンサー受けがいいのは日テレです。そもそも、日テレはテレ朝のほうを見ておらず、一番のライバルはNHK。つぎにTBSと言われています」(大手広告代理店幹部)

その根拠となるのが、先ごろキー局の間で極秘裏に発表された2020年上半期(4月~9月)の「民放プライム帯番組ベスト40」なるランキング表。注目すべきポイントはビデオリサーチ社が今年3月から導入した個人視聴率だ。

「これまでの指標だった『世帯視聴率』は、家単位で数値を測定し、『何世帯がテレビをつけていたか』を示す割合だった。しかし、その測り方では実際に何人の視聴者が番組を見ていたかまではわからない。

それが『個人視聴率』は人単位で測定するので、何人がテレビをつけていたかが計算可能になった。視聴者の動向がはっきりとわかるようになったことにより、スポンサーにとっても『CMを見てほしい層がテレビを見ているのかどうか』も明確になったんです」(民放キー局編成マン)

その結果、世帯視聴率と個人視聴率という二つの視聴率が番組ごとに出されるようになった。たとえばドラマ『半沢直樹』(TBS)が世帯視聴率24.7%、個人視聴率15.4%、といったように、だ。『半沢』は両者の視聴率でともに堂々のトップにランキングされているが、注目すべきは2位と3位にランキングされた番組だ。

「世帯視聴率だけを比較するなら『ポツンと一軒家』(テレ朝)が19.1%で2位。『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ)は15.9%。だが、こと個人視聴率となるとこれが逆転する。個人視聴率では『イッテQ』が11.3%で2位、代わって『一軒家』が10.7%で3位になるんです」(大手広告代理店マネジャー)

はたしてこの場合、どちらが「勝者」と言えるのか。差はわずかに見えるが、実はそうではない。

そもそもスポンサーにとってありがたい視聴者層とは、商品購買意欲が高いとされる“コア層”(=13歳から49歳)である。個人視聴率を分析すれば、この視聴率層の詳細な成分が明らかになるのだ。

「『一軒家』の個人視聴率は、肝心のM1(20~34歳)が1.1%、M2(35~49歳)が3.8%、M3(50~64歳の男)が7.6%、M3(66歳以上の男)が27.8%。F1(20~34歳)が1.6%、F2(35~49歳)が4.1%。F3(50~64歳の女)が10.8%。F3(65歳以上の女)が40.5%となっています。つまり、高齢者に人気の番組であることがわかります」(放送作家)

対する『イッテQ』は―。

「M1が5.9%、M2が13.2%、M3が11.2%、M3が6.9%。F1が7.1%、F2が15.7%、F3が11.7%、F3が8.4%。若い人も多く観ている番組であることが見えてきます」(同)

結論から言えば、『イッテQ』は若者も含め広い世代に観られているのに対して、『一軒家』を観ている視聴者の約半分以上がFM3層(高齢層)と、視聴者層に大きな違いがあるのだ。しかも、この数値は一回の放送ではなく、上半期を総括したもの。スポンサーにとっては考慮すべきデータと言わざるをえない。

「広告収入を見ても大きな開きが出てくる。『一軒家』と『イッテQ』の広告費は大きく違っているんです。世帯視聴率が高くても65歳以上のシルバー層に見られている番組はスポンサーにとって価値が低くなってしまうから、この差は必然なのです」(前出・キー局スタッフ)

テレ朝にとって悩みのタネなのは、『一軒家』に限らず、この種の番組が多いことだ。

「上半期ベスト40に入っていたドラマ『BG~身辺警護人~』、『ナニコレ珍百景』、『報道ステーション』、『特捜9』なども、分析してみるとFM3層(高齢者層)が圧倒的に多いことがわかるんです」(同)

ちなみに視聴率ナンバーワンの日テレは、これでもかというぐらいに若者層を意識した番組作りを心掛けている。『鉄腕DASH』『有吉ゼミ』『世界まる見えテレビ特捜部』『志村どうぶつ園』などがそれに当たる。

「テレ朝も若者向けの番組を作りたい。とはいえ、やはり高視聴率番組の変革は難しい。『相棒』や『科捜研の女』といったシニア向け番組の人気も重視したい。しかし、いくら番組をつくりたくてもスポンサーが離れてしまっては、制作費が逼迫する。その結果、ドラマのクオリティーも維持できなくなり、高視聴率が維持できなくなる…というスパイラルに突入してしまう可能性がある。マーケティングとデータ収集を強化するべきなんですが……」(同)

「視聴率戦争」とはよく聞かれた言葉だが、戦争の質が変わっていることに気づいたテレビ局が、最終的な勝者となりそうだ。

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