江原啓之×鈴木秀子 自殺者増加のなか「試練を迎えたあなたへ」 | FRIDAYデジタル

江原啓之×鈴木秀子 自殺者増加のなか「試練を迎えたあなたへ」

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オンラインでの対談となった江原氏とシスターの鈴木氏。「コロナのおかげで得たものもある」と二人は語る
オンラインでの対談となった江原氏とシスターの鈴木氏。「コロナのおかげで得たものもある」と二人は語る

女子プロレスラーの木村花さん、俳優の三浦春馬さん、竹内結子さん……。最近、名のある人が自ら命を絶つニュースが目立つ。苦しんでいるのは、有名人だけではないようだ。警察庁の調べによると、今年9月の全国の自殺者は1805人で前年比8.6%増。7月から3ヵ月連続で増えている。

新型コロナウイルス感染拡大のための生活苦、SNSによる誹謗中傷……。死を選んだ理由は、亡くなった人により違うだろう。だが結論を出す前に、少しだけ立ち止まってほしい。スピリチュアリスト江原啓之氏と聖心会シスターの鈴木秀子氏が、最新刊『日本人の希望』(講談社)で、長年聞いてきた人々の悩みや自身の生々しい体験について話し合った。二人の対談の中に、生きづらさを少しでも解消するヒントが見つかるかもしれないーー。

江原 死ぬときに、新型コロナウイルスの感染症が世界中に広がった2020年が人生最大のピンチだったと振り返る人も多いことでしょう。家族を失ったり、職を失ったり、経営していた店や会社が廃業へと追い込まれたり……。コロナの残した傷跡は深い。これから自殺者が増えるのではないかと、とても心配しています。

鈴木 ええ。やはり自分自身との対話が必要。「なぜ死にたいと思うのかな」「今、私が死んでしまったらどうなると思う?」「家族はどうなるのかな」と自問自答して、まずは心を整理することです。

江原 実は私、若い頃に自殺しようと思ったことがありまして。

鈴木 ほー。要因は「恨み」だったと分析しているのですね?

江原 よく「将来を悲観して」などと言いますが、私は悲観などしていなかった。幼い頃に両親を亡くし、経済的に苦しい時期が続いていましたし、視える体質のせいで霊現象に悩まされ……。この世はなんて理不尽なんだろうと、恨み辛みを募らせていました。その時に「これでダメなら死んでやろう」と思って始めたことが、今の私の道へとつながっているんです。

自殺未遂体験から人の気持ちを理解

鈴木 人間の感情の中で、一番爆発的な力を持つのは怒りだと言われています。そして怒りという感情は、当てつけてやりたいという衝動の源でもあります。

江原 当てつけで死んでやろうという発想自体、未熟だったなと思いますが、当時はそんなことは見えなくなっていました。

鈴木 それにしても貴重な体験をしましたね。自殺を考えた体験がなかったら、江原さんが死にたいと考える人の気持ちを理解することはできなかったでしょうから。

江原 私が自殺を考えている人にお伝えしたいのは、死んで恨み辛みを晴らしたところで、さほどのことにはならない、ということです。

鈴木 そうです、そうです。自分が損するだけです。生き続けていれば、世の中を見返すことだってできるかもしれないのに。江原さんがそうじゃありませんか。

江原 死ななくてよかったです(笑)。今にして思えば、自分の苦しみを誰かに理解してもらいたい、という甘えがありました。でも誰かに理解してもらえたとしても、それだけで人生が好転するわけではないのです。大切なのは、自分が幸せだと思える生き方を模索して、ダメモトでいいから歩み始めることだと思います。

アメリカで学んだカウンセリング方法

鈴木 さきほど江原さんは「自殺を考えたとき、自分の苦しみを誰かに理解してもらいたかった」とおっしゃいましたが、私はここに自殺を思いとどまらせるためのヒントが潜んでいるように思います。私は、これまでに何人もの自殺志願者と向き合ってきました。その限りで言えば、「死にたいから死にます」という人はいません。できれば死にたくないのです。

江原 はい。

鈴木 誰かがじっくりと自分の話を聞いてくれて、苦しみをよく理解してくれたら死ななくて済むんですよ。

江原 自殺志願者を思いとどまらせる方法について、もう少し詳しく話していただけますでしょうか。

鈴木 私はアメリカの大学で自殺志願者を支援するためのカウンセリング方法を習ってきたのですが、極めて簡単。「死にたい」と言う人がいたら、「私はあなたの選択を尊重します。ただし死ぬ前に必ず私に会いに来てください」と伝えるのです。なかなか承諾しないのですが、「必ず来ます」と約束するまで帰しません。

江原 約束したら本当に「今から死にます」と告げに来るのですか?

鈴木 来るんですよ。多くの場合、上から下まで真っ黒な衣装で。本気ですから、もしもの場合に備えて誰かに頼んで部屋の外に待っていてもらいます。そのうえで「最後なのですから、言いたいことがあれば何でも言ってください」と誘導するのです。

すると自殺志願者は「それでは最後なので話します」と前置きしてダーッと話し始めるのですが、それを黙って傾聴する。何時間でもひたすらに話を聞きます。意見をしたり、質問をしたり、感想を述べたりしてはいけません。こちらが発してよいのは「そうでしたか」とか「うん、うん」といった相槌だけ。相手が「その時、死にたいと思ったんです」と言ったとしても、「その時、死にたいと思ったんですね」とオウム返しをするにとどめます。

江原 かなりの忍耐が必要ですね。

鈴木 ええ。でも人の命を救うための活動ですから、中途半端なことはできません。目の前の自殺志願者が「もう言いたいことはありません。すべてお話ししました」と言っても、「まだ言いたことがあるのではありませんか?」と粘る必要があります。最初は恨み辛みがいっぱいなんです。でも全部出し切ると言いますよ。「死ぬのやめました」って。

江原 そうでしたか。

鈴木 ですから、やはり苦しい思いを理解してもらいたいのですよ。それは甘えではなく、本能に近いものではないかという気がします。いずれにしても怒りに満ちていた胸の内がスッとすれば、たましいの声が聞こえてきて心に響きます。

そのタイミングを見計らって「心の声に従って生きていきましょう。私もサポートします」と声をかける。すると再び「死」を意識するようになったときには、私を訪ねて来るようになるのです。こうしたやり取りを経て、しっかりした絆を築くことができれば、それは生きる希望になるのだと私は確信しています。

江原 とても奥深く、貴重なお話ですね。聞かせていただきありがとうございます。

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江原啓之(えはら・ひろゆき)スピリチュアリスト、オペラ歌手。一般財団法人スピリチュアリズム協会代表理事。1989年にスピリチュアリズム研究所を設立。主な著書に『幸運を引きよせるスピリチュアル・ブック』(三笠書房)、『予言』『守護霊』『聖なるみちびき』(いずれも講談社)がある。

鈴木秀子(すずき・ひでこ)聖心会シスター。東京大学大学院人文科学研究所博士課程修了。文学博士。フランス、イタリアに留学。スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。主な著書に『あなたは、あなたのままでいきてください』(アスコム)がある。

  • 撮影大河内 禎

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