ポスト嵐の最右翼Snow Man「配信ライヴ」で号泣の背景

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2020年1月22日にデビューしたSnow Man

5年後、あるいは10年後、彼らはどんな気持ちでこの日のことを思い出すのだろうか。

10月25日、横浜アリーナを舞台に開催されたSnow Man無観客配信ライヴの、全9公演のラストを飾る挨拶。トップバッターのラウールを筆頭に、全員がステージ上でそれぞれの思いを吐露し、ほとんどのメンバーが号泣するという感動の瞬間を目撃した。

ラウールに始まり岩本照で〆た「渾身の挨拶」

公演の最後にメンバーが長めの挨拶をするのは、ジャニーズファンにとってはお馴染みの光景だ。ただ、この日は記念すべきデビューコンサートのオーラス(※ジャニーズのライヴは1日3公演もザラなので、最も盛り上がる最終日最後の公演を特定してこう呼ぶ。和製英語のAll Lastの略で元は麻雀用語)で、DVD収録用のカメラも40〜50台(!)入っていた。当然、この先も永く見返され、永く語り継がれる公演だったことは間違いない。

挨拶のトップを飾ったのはメンバー最年少・17歳のラウール。ニュアンスとしては、「9公演走り抜けて、足もマメだらけで、身体は正直ボロボロ。でも、メンバーやスタッフ、ファンの人たちがいるから完走できた。自分がまだ未熟で、発言が世間を騒がせてしまうこともあるけれど、(自分たちのことを謙遜することが?)ファンを傷つけることもあるとわかったので、それは本当にごめんなさい。これから先、必ず、ファンのみんながSnow Manのファンであることを誇れるようなグループになります!」と(あくまでニュアンスだが)力強くコメントした。

そのあとも、それぞれのメンバーが、デビューまでにどれだけの長い道のりがあったかを振り返って涙したり、ジャニーさんとの思い出を語ったり、とにかく誰一人としてエピソードが被ることのない、見応え、聞き応えのある挨拶だった。

中でも、最初のラウールの決意と、最後を締めくくったリーダー岩本照の言葉が刺さった。振り付けもできる岩本は、LDHが主催するダンススクールEXPGに通っていたという話も聞くし、K-POPが台頭してからは、「ジャニーズを辞めて、いっそ韓国留学でも」と考えたこともあるほど、ことダンスに対するこだわりは強い。だからこそ、締めの挨拶で「日本発の、アイドルという文化を世界へ発信していきたい」と語ったのだろう。

そんな彼らが紆余曲折を経て、結成当初からいる6人は20代後半となった2020年1月にデビューを果たし、ファンクラブ発足から1年足らずで会員数は30万人を突破、デビューからシングル2曲連続ミリオン達成間近と、あれよあれよという間に“事務所の稼ぎ頭”の一つになろうとしている。

逆境にいるグループにこそ投資したくなるヲタクの心理

他のメンバーの挨拶にもあったが、ある時期までは「デビューなんて絶対無理」と言われていた彼らだ。かくいう筆者も、Snow Manのこの爆発的な人気っぷりは、正直予想外だった。3人の華のある強力なメンバーが加わったとはいえ、6人時代のSnow Manには、どうしても“スター”というより、“職人”的な雰囲気を感じていたせいかもしれない。ただ、そういった周囲からのレッテルを、実力で剥がしていけるところは、ジャニーズのアイドルグループの面白みの一つだろう。

アイドルが成長するためには、“逆境”が不可欠である。

“ある程度自由に使えるお金があるジャニヲタ”というのは、筆者も含め、応援するアイドルの音楽やライヴ、芝居やバラエティなどでの活躍を楽しむだけでなく、グッズに雑誌にDVDと、お金を使うことにある種の喜びを見出しているフシがある。

それだけ聞くと、「貢ぎ体質ですか?」「ホスト感覚?」と揶揄されたりもするのだが、それは違う。彼らにもっと大きくなってもらいたいから、お金を払うのだ。感覚としては“投資”というか、ある種のクラウドファンディングというか、「自担の笑顔という見返りを求める」という意味でいえば“ふるさと納税”にも近いのかもしれない。

頑張って稼いだお金は、自分の心の潤いのために使いたい。アイドルの曲は、たくさんのクリエイターの才能を結集して生まれたものだ。基本的に明るくて前向きで平和的なメッセージを発信するジャニーズは、日本が誇る潤いと和みのコンテンツ。だからこそ、彼らの音楽は日常のいろんな場面に溶け込み、殺風景な景色に彩りをくれる。

心が荒んだ時、先が見えなくなった時、塞ぎ込んだ時、アイドルの笑顔に救われた女子たち(もちろん男子もいる)は、その恩返しとして、彼らに投資する。その投資のエネルギーは、担当するアイドルグループが逆境の時にこそ増幅するのである。

嵐とSnow Manの意外な共通点

現時点で、筆者の周りの嵐ファンは、「嵐の活動休止後に、メインで応援していくジャニーズのグループはSnow Man!」と宣言する人が多い。ハワイでデビュー会見を開くなど、鳴り物入りでデビューした嵐だが、アジアツアーの成功に松本潤主演のドラマ『花より男子』の大ヒット、二宮和也のハリウッド進出などが重なり、一気にスターダムに昇り詰めるまでは、横浜アリーナも埋められない、CDも大して売れないという、長い不遇の時代を経験している。

Snow Manも、最年長の深澤辰哉は、15年もの長きにわたってJr.を続け、同期に先にデビューされ、悔しい思いをたくさんしてきた。でも、その長いキャリアのお陰で、「ジャニーズのアイドルはスキルがない」という批判を跳ね除けられるだけのダンス、チームワーク、バラエティ力、コメント力を身につけられたのだ。逆境からの出発、わちゃわちゃしている楽屋的風景とステージでのカッコよさのギャップ、ファンに提供するのが和みと潤いなどの面で、考えてみれば嵐とSnow Manとの共通点は多い。

ただ、逆境に置かれている自担に投資するタイプのヲタは、お金も出すが口も出す(ことが多い)。冒頭のラウールの挨拶についてだが、彼はブログなどでも率直に気持ちを綴ることが多いので、筆者も知らないうちに何らかの形で、その「私たちの払うお金で活動が成り立っている!」と自負するファンたちの気持ちを逆撫でしちゃったのかな? と思っていた。でも、調べてみたらジャニーさんの誕生日である10月23日の夜公演で、「僕らの歌やダンスなんて、まだまだ素人みたいなもんだけど……」と発言したらしい。

全ての発言を聞いていないのであくまで推測だが、このコメントは、本気で彼が自分たちの歌やダンスを素人レベルだと思っているから出たものではない。これから世界に打って出る覚悟をしている彼らだからこそ、「自分たちはまだまだです」と認識していることを伝えたくて、「素人レベル」という言葉を使ってしまったのだろう。

令和デビュー組が見ているのは先輩の背中ではなく「世界」

ところで、この1週間前にKing&Prince(以下、キンプリ)も同じ横浜アリーナでライヴを敢行し、それもすばらしい内容だった。本当に、6月から始まったジャニーズの配信ライヴは、どれを見てもハズレがない。Jr.も含め、各グループ最低1公演ずつはチェックしている筆者だが、「これは残念」と感じたライヴは一つもなかった。ただ、キンプリのライヴは、意外にも評価が分かれ、筆者も知り合いから「思ったよりつまらなかった」という感想も聞いた。

なぜだろう? とぼんやり思いながら1週間を過ごしたのだが、Snow Manのライヴを見て、「キンプリいまいち」と言った人の気持ちが少しだけわかった。熱量が違ったのだ。Snow Manのライヴは、人数の多さやこれが最初で最後のデビューコンサートということも相まって、最初から最後までど迫力。こんなに踊るんだ! こんなに歌うんだ! こんなに仲がいいんだ! こんなに熱いんだ! こんなに楽しいんだ! こんなに嬉しいんだ!というエネルギーが、波のように何度も押し寄せてきた。

キンプリも、デビューライヴではその爆発が感じられたが、ツアーも3回目ということもあり、若干おとなしめだったかもしれない。また、いち早くメンバー主導で海外進出を目指していた彼らが、新型コロナの感染拡大で、アルバムの内容を世界を意識した最先端の楽曲から、身近な人を励ますような内容に変更したことも影響しているのだろう。

最近はプロデュース番組も人気だが、コンサートの演出を専門家ではなくタレントが担当するジャニーズは、キャリアを積むごとにセルフプロデュース力が強化されていき、それもまた投資家(ヲタ)の心をくすぐる。Snow Manは、自分たちなりのスタイルを貫き、世界に打って出ると宣言した。それは、Jr.時代に燻っていた時期を経たメンバーたちの確固たる意思である。彼らには、投資家の気持ちをバンバン熱くさせるだけのスーパーな熱量と、アンチを黙らせるスキル、盤石のチームワークがある。そして、世界がひれ伏す可能性を秘めた最終兵器ラウールが、新たな逆境の中で、やる気を漲らせている。

これまでのデビュー組は、先輩の名を挙げ、「〇〇のようになりたい」からのスタートだった。でも、令和のデビュー組は違う。彼らが目指すのは、先輩たちも見たことのない景色。誰もが“そんなの無理だよ”と決めつけるような逆境の中、実力と努力と熱量とチームワークで、新たな光を掴み取ることなのである。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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