球団別ドラフト通信簿!「この指名がファインプレー」セ・リーグ編

1位指名だけじゃない。この選手が球団にフィットする!

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2019年8月、高校日本代表との壮行試合でホームランを放った大学日本代表4番の牧秀悟(中央大)。DeNAから2位指名を受けた(写真:時事通信社)

10月26日に行われたプロ野球ドラフト会議。最終的に支配下で74人、育成ドラフトで49人の合計123人が指名を受けた。トータルで見ると事前の思惑通りに進んだ球団もそうでない球団も存在しているが、ミクロ的な視点では思わずガッツポーズが出るような指名もあったことは確かだろう。

今回はそんな『会心の指名』を12球団で一つずつピックアップしてみたいと思う。ちなみに選ぶ基準としては、意外に低い順位で実力のある補強ポイントにはマッチした選手を獲得できたという点を重視した。セ・リーグ編をお届けする。

ヤクルト

4位:元山飛優(もとやまひゆう・東北福祉大・内野手)
抽選を2度外したが、方針を変えずに上位2名は投手を指名。昨年も上位4人を投手が占めているが、チーム事情を考えるとこの方針は当然とも言える。一方の野手で会心の指名だったのが4位の元山だ。大型でも守備の動きにスピード感があり、強肩を生かしたスローイングも迫力十分。打撃にはまだ波があるものの、芯でとらえた時の長打力も持ち合わせている。

今年ショートは外国人のエスコバーと西浦直亨が守ることが多かったが、どちらも長くレギュラーを任せられる選手ではない。昨年も長岡秀樹、武岡龍世と二人のショートを獲得したが、いずれも高校卒で未知数な部分が大きいのが現状だ。国内FA権を獲得した山田哲人)の去就も微妙で二遊間の底上げは必要なだけに、総合力では大学ナンバーワンショートとも言われた元山をこの順位で指名できたことは非常に大きい。

広島

3位:大道温貴(おおみちはるき・八戸学院大・投手)
苦しい投手陣を立て直すために単独1位で栗林良吏(くりばやしりょうじ・トヨタ自動車)の獲得に成功。そして更に大きかったのが3位の大道だ。八戸学院大では早くから主戦となり、リーグ戦通算22勝をマーク。この秋も2勝2敗と勝ち星には恵まれなかったものの防御率0.25、奪三振率15.00という圧巻の数字を残している。下半身主導のバランスの良いフォームで、コンスタントに140キロ台中盤を超えるストレートは数字以上の勢いを感じる。

スライダー、フォークは決め球として十分なレベルにあり、緩急をつけるカーブ、チェンジアップなど変化球も多彩だ。典型的な先発タイプの投手で、外れ1位の候補にも名前が挙がっていただけに、この順位まで残っていたのは幸運である。近い将来、森下暢仁、栗林と強力な三本柱が出来上がる可能性も十分だ。

DeNA

2位:牧秀悟(まきしゅうご・中央大・内野手)
大学生の野手で佐藤輝明(さとうてるあき・近畿大・阪神1位)に次ぐ存在と見られていたのがこの牧だ。高校時代から長野県内では評判の打者で、大学でも早くからレギュラーに定着。昨年は3年生ながら大学日本代表の4番も務めている。

長打力は佐藤には及ばないが、下半身の強い安定したスイングでタイミングのとり方も上手く、現時点での確実性に関しては牧が上回っていることは間違いない。脚力と強肩も兼ね備えており、セカンドの守備が安定しているというのもプラス要因だ。

DeNAも牧を高く評価していると言われており、1位で指名するという可能性もあったが、2位で指名できたというのはまさに会心だったと言えるだろう。チームの野手陣は佐野恵太のブレイクはあったものの、外国人選手への依存度が高いだけに、新たな中軸候補として期待したい選手だ。

阪神

6位:中野拓夢(なかのたくむ・三菱自動車岡崎・内野手)
野手で一番人気となった佐藤を引き当てた阪神。2位から5位までは投手3人、捕手1人とバッテリー強化に努めたが、もう少し他のポジションも補強したいと思っていたところで指名したのがこの中野だ。東北福祉大時代から軽快な守備とシュアなバッティングには定評があったが、社会人での2年間でパンチ力が加わった。172㎝と上背はないものの、甘く入ったボールは楽にスタンドへ運ぶ力がある。

ショートの守備もスローイングに安定感があり、昨年外れ1位でプロ入りした小深田大翔(楽天)と比べても、総合力では決して引けを取らない。チームの二遊間は糸原健斗と木浪聖也が中心で、若手では高校卒2年目の小幡竜平も楽しみな存在だが、それ以外は手薄な印象だけに、一年目からレギュラー争いに加わってくる可能性もありそうだ。

中日の2位指名、日体大の森博人投手(撮影:加藤 慶)

中日

2位:森博人(もりひろと・日本体育大・投手)
1位では単独で高校ナンバーワン投手の高橋宏斗(たかはしひろと・中京大中京)の指名に成功。更に2位で1位候補にも挙げられていた森を獲得できたことで、投手の補強に関しては極めて大きなプラスとなった。森は高校時代は全国的には無名だったものの、日本体育大では早くからリリーフとして活躍。年々着実にスピードアップを果たし、コンスタントに150キロ前後をマークするまでになっている。

どうしてもスピードに注目が集まるが、ゆったりと下半身を使えるフォームでリリースが安定しており、両コーナーを正確に突くコントロールも高レベル。打者の手元で鋭く変化するスライダー、カットボール、ツーシームも操り、奪三振率も高い。先発でも面白いが、大学でリリーフの経験も豊富なだけに、早くからブルペン陣の一角に加わる可能性も十分だ。

巨人

5位:秋広優人(あきひろゆうと・二松学舎大付・内野手
1位で佐藤を外して方針転換し、上位で大学生投手を指名した巨人。ともに故障明けという不安はあるが、ポテンシャルは十分なだけに理解できる指名だった。そして野手で面白いのがこの秋広だ。身長2メートルという超大型選手で、投手としても140キロを超えるスピードを誇る。

まだまだ力強さやスイングのキレは物足りないものの、打つ形に悪い癖がなく、スムーズに振り出して遠くへ飛ばせるというのは得難い長所だ。これだけの大型でありながら体の使い方が上手く、脚力も備えており、長いストライドでのランニングは迫力十分。野手としてのプレーぶりは大げさではなく大谷翔平(エンゼルス)にイメージが重なる。プロのレベルに対応するのには時間がかかるタイプだが、モノになった時にはメジャークラスのスケールを感じさせる選手だ。

  • 西尾典文(にしお・のりふみ)

    スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究(PABBlab)」主任研究員。

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