「情報番組は門外漢」坂上忍が『バイキングMORE』で見せる覚悟 | FRIDAYデジタル

「情報番組は門外漢」坂上忍が『バイキングMORE』で見せる覚悟

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10月の改変期から放送時間が延長された『バイキング』。より坂上に期待がかかるが……
10月の改変期から放送時間が延長された『バイキング』。より坂上に期待がかかるが……

伝説のお化け番組『笑っていいとも!』の後継番組として、‘14年4月に産声をあげた『バイキング』(共にフジテレビ系)。まさかMCとして3時間の生番組を仕切ることになるとは、さしもの坂上忍もこのときは思っていなかったに違いない。

「スタート当初は曜日ごとにMCが立っていましたが1年後には、全日坂上がMCを担当。当初は、裏番組『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)に寄せたバラエティ番組で視聴率的にも苦戦していましたが、‘16年4月から放送時間拡大(約2時間)に伴い、坂上の発案もあり生激論を軸とするトークバラエティにシフト。識者を交えた過激なトークがネットニュースでも話題となり、視聴率も少しずつアップしていきました」(ワイドショー関係者)

そして今年の10月改変。コロナ禍の影響もあり、番組『直撃LIVE グッディ!』が終了。それに伴いおよそ3時間の生番組『バイキングMORE』が誕生する。

「フジテレビのエース伊藤利尋アナが進行役として加わり、9月28日の初回放送では、世帯平均視聴率6.3%と、『ひるおび!!』(TBS系)、『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)を抑えて、横並びトップに躍り出るなど、注目度の高さが伺えます』(前出・ワイドショー関係者)

しかしここに来て、大きな火種も見え隠れする。

未成年との飲酒トラブルが原因で、長らく活動休止に追い込まれていた俳優の小出恵介が3年7か月ぶりに来春公開予定の映画『女たち』に出演。10月22日の放送では、その話題を映画の登場シーンや明石家さんま、映画プロデューサーの声を織り交ぜて紹介。

その際、小出を応援するような番組構成に対して坂上は「このコーナー自体の構成には甚だ疑問」「この作りの中でボクはコメントできない」と制作サイドを一刀両断する事態が起きた。

「坂上は、過去にスキャンダルを起こして会見を開き、世間から非難の声を浴びた例を引き合いに出して、『肯定はしないけど、セカンドチャンスはあってしかるべき』と発言。しかし事件の真相について説明責任を果たして来なかった小出に対しては、”小出ガンバレ”とは言えない。それを言ってしまったら、晒し者になってまで説明した人に顔向けできないと、小出を後押しするような番組構成に異論を唱えたというわけです」(放送作家)

そこには「バイキング」時代、生激論の最中、非難を覚悟してコメントしてきたレギュラー陣への思い、さらには炎上を恐れず立ち向かってきた坂上自身の矜持もあったのではないか。それにしても本番前に打ち合わせをしていたにも関わらず、なぜこんな事態が起きてしまったのか。しかしこれには、放送枠拡大に伴う制作体制の変更も深く関わっている。

「『バイキング』時代は『笑っていいとも!』と同じ、バラエティ班(第二制作室)の制作でしたが、『バイキングMORE』は以前『グッディ』を制作していた報道と情報番組を制作する情報制作局が担当。番組の中身も坂上が仕切るひな壇芸人と識者の激論スタイルから、情報主体の明るく楽しいワイドショーに生まれ変わろうとしている。このスタイルで本当に良かったのか、坂上の中で割り切れない思いがあるのではないでしょうか」(前出・放送作家)

生放送にもかかわらず、納得できないことには怯まず異論を挟む。そんな坂上のスタイルを観て、私はギネスにその名を残す、ある司会者の名前が思い浮かんだ。

「昨年陥落してしまいましたが、みのもんたは長年『1週間で最も長時間、生放送に出演していた司会者』としてギネス世界記録を保持。”世界一の司会者”の名前を欲しいままにしてきました。文化放送でアナウンサーとしてのキャリアをスタートさせたみのは、35歳の時に退社。

父親の経営する会社に入社するなど異色のキャリアの持ち主。転機となったのは‘89年。45歳の時、番組『午後は◯◯おもいッきりテレビ』(日本テレビ系)の二代目司会者に抜擢され、チャンスをつかみます」(制作会社プロデューサー)

その後の快進撃は、もはや語るまでもない。ゴールデンに進出して「どうぶつ奇想天外!」(TBS系)、「クイズ$ミリオネア」(フジテレビ系)などのヒット番組を生み、昼の帯番組、ゴールデンタイムを制したみのは‘05年、満を持して朝の情報番組に進出する。

「『みのもんたの朝ズバッ!』(TBS系)が始まって一年半。みのが視聴者目線でズバッと切り込むスタイルが評判を呼び、18年ぶりに平均視聴率で横並びトップに躍り出て、みるみる内に、ギネスにその名を残すモンスターに成長していきました」(制作会社プロデューサー)

社会問題に鋭く切り込むスタイルは、みのを彷彿とさせる坂上。しかも一発本番の生放送となれば切れ味鋭い発言は、諸刃の刃になりかねない。しかし、そんなスリリングな状況すら楽しんでいるように見える。

「坂上は過去に『俳優である自分にとって、バラエティ、情報番組のMCは門外漢。明日辞めてもいいという思いでやっている』と発言。この”命懸け”の思いがあるからこそ、時に”パワハラ疑惑”を思わせる厳しい言葉や態度に出てしまうのか。しびれる真剣勝負は、坂上が好むギャンブルにも通じるところがあるのでは」(前出・制作会社プロデューサー)

秋の改変で、新たな局面を迎えた「バイキングMORE」。坂上忍は”ルビコン川”を渡る決断を下したのかもしれない。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO島 颯太

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