「アイツはカネで揉めていた」柏崎切断殺人 容疑者の素顔と闇
「アイツは兄とカネで揉めていた」 7つに切断され衣装ケースと押し入れに遺棄されていたのは住人の兄だった
なぜ男は実の兄を殺害し、バラバラに切断しなければならなかったのか――。
10月19日、新潟県柏崎市内のアパートでバラバラ死体が発見された。わずか3日後に事件は急展開を迎える。10月22日午前、現場から遠く離れた東京・池袋署に所在不明だったアパートの住人男性が「兄弟を殺した」と、関与をほのめかして出頭したのだ。警察は佐藤和夫容疑者(48)を遺体遺棄の疑いで逮捕した。
「10月19日に衣装ケース中から胴体と右足が、21日に台所に面した押し入れの中から頭部と残りの手足が見つかりました。いずれも厳重に袋詰めされ、発見を遅らせる狙いがあったと見られています。遺体は死後半年以上経過しており、一部白骨化していたそうです。
司法解剖を進めていますが、損傷が激しいため死因の特定には至っていません。時期や経緯は捜査中ですが佐藤容疑者は東京に逃亡していて、豊島区池袋の建設会社で働いていました。今後は遺体損壊、殺人容疑での再逮捕を視野に取り調べが行われる予定です」(全国紙社会部記者)
佐藤容疑者は兄を殺害した後、東京で何をしていたのか。なぜ出頭したのか、同じ建設現場で働いたことのある元同僚男性に話を聞いた。
「今年6月、アイツと工事現場で出会いました。鉄筋工と報道されていますが、実際は足場作りなど、とび職に近いことをしていました。物静かな男で真面目に働いていましたよ。少しつれない態度をしていましたが、現場慣れしていて、重宝されていましたね。あまり人付き合いはしない人だったけれど、話しかければいろいろとしゃべってくれるので、休憩中によく話したものです。今年の4月から現場に来ていると言っていましたね。
あと知人女性に世話になっていたそうです。アイツはその女性の家に住まわせてもらっていたようでした。テレビで事件が全国に報じられて、これ以上は逃げきれないと思い、女性に自分の犯行を打ち明けたんでしょうね。出頭した時に付き添っていたのはうちの会社の上司ではなく、その女性が勤める会社の人だったと聞いています。女性に説得されて、自首することを決心したんだと思います」
佐藤容疑者は元同僚男性に自分の経歴や家族関係について明かしていた。
「片親で早くに死別したらしく、新潟・長岡の中学を出てすぐに大工を目指して働き始めたと言っていました。東京に来る前は新潟の原発で作業員をやっていて、東日本大震災後に福島第一原発でも作業員を一時期やっていたそうです。アイツは3人兄弟の真ん中だったそうですが、みんな早くに自立して別々に生活をしていたので、弟とは長年会っていないと聞きました」
佐藤容疑者は兄の話になると苦々しげな表情を浮かべたという。元同僚男性が続ける。
「休憩中に『兄貴はダメなやつだ。どうにかしなきゃいけない』とアイツが言っていたのを覚えています。家に借金があるのに兄貴は働かないし、貸したカネも返してくれないと怒りを滲(にじ)ませて文句を言っていたことが何度かありました。短い付き合いだったけれど、とても人を殺すようには見えなかった。ただ、兄とカネで揉めていて恨んでいたのは間違いないと思います」
金銭トラブルが殺意に繋がったのか。佐藤容疑者は取り調べに対して素直に応じているという。
『FRIDAY』2020年11月13日号より
- 撮影:蓮尾真司(1枚目)