マナー講師さえ試行錯誤する「WEB会議のマナー」正解は? | FRIDAYデジタル

マナー講師さえ試行錯誤する「WEB会議のマナー」正解は?

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マナー講師も試行錯誤中!

「画面が閉じるまで頭を下げ続ける」「画面での位置がクライアントより上になった場合は、入り直す」など、謎のルール続出のWEB会議でのマナー。だが実際問題として、人によって言っていることがまちまちで、分からない部分も多い。ビジネスマナーの講師・清水美奈子氏に最新の状況を聞いてみた。 

国際会議もWEB会議が一般的になってきた。写真は、ASEAN外相会議(写真:アフロ)
国際会議もWEB会議が一般的になってきた。写真は、ASEAN外相会議(写真:アフロ)

現在は混乱期。正式なマナーが固まるまで、半年くらいかかりそう!?

コロナ禍の中、一般的になったWEBでの会議や商談。先方に失礼があってはいけないと、ネットでWEB会議でのマナーを調べてみるが、「本当にそうなのか?」と首をかしげたくなるものも多く、混乱は増すばかり。

「セミナーでも、WEB会議に関する質問を多くいただくのですが、私たち講師としても試行錯誤の状態。マナーとして定着するには、あと4ヵ月~半年かかるのではないかと思います」(清水美奈子氏 以下同)

プロでさえ試行錯誤の現在、いったいどうすればいいのか?

「基本は“リアル”と同じです。たとえば、社外スタッフとの会議の場合、リアルだとお迎えする側は10分くらい前から準備に入りますよね。オンラインでも同じです。

また、訪問する側も、リアルでは5分前に受付に行って、約束の時間には挨拶をして、本題に入れるようにしているはず。オンラインでも5分前にクリックして、音声や画像のチェックをしておくという感じです」

リアルでは訪問者が上座に座っていただくのが基本だが。WEB上では、画面の上が上座になるのだろうか。

「この質問も時々受けることがありますが、各参加者の画面に映っているレイアウトは、機能操作しない限り、それぞれ違っています。ですから、上下を気にする必要はまったくありません

Zoomでは、最近、参加者の画面レイアウトをホストが操作できる機能が追加されました。このような場合は、発表者や議長を上列に配置して、手話通訳などがいる場合は隣に配置するなどして有効に活用すると良いでしょう」

清水氏によると、WEB会議でも、リアルでも、ビジネスシーンで大事なことは、「印象管理」と「生産性」。「印象管理」とは、相手にいい印象をもってもらうために、行動や表現をすること。「生産性」とは、無駄な行為をしていないかどうか考えることだ。

ホストが参加者の画面の配置を設定できる機能「カスタムギャラリービュー」を追加したZoom。ネット上では、「謎のマナーが増えそう」との声も
ホストが参加者の画面の配置を設定できる機能「カスタムギャラリービュー」を追加したZoom。ネット上では、「謎のマナーが増えそう」との声も

マナーの基本は、相手への“心遣い”。事前メールでの情報提供は重要

そもそもマナーとは、相手に対する心遣いや思いやりが基本となっているもの。

「ホストになる場合は、常に “先方が迷わない”ようにご案内することを心がけるといいと思います。

たとえば、招待する側は、前日までにURLや出席者の詳細などをメールでお送りするほうが、状況や使用するアプリなどを前もって把握できて、安心することができますよね。

大人数や接続に不安な人が多いときには、会議を予定通りスタートできるように、開始10分前から入室できるように設定しておき、『10分前から入室可能です』などの案内や要望を伝えるのも親切かと思います」 

質問が多いという“退出時”の問題も、 

「ホスト側が、『これで終了します。みなさんをお見送りしますので、先に退出なさってください。今日はありがとうございました』と一声を掛ければ、相手も退出するタイミングに悩むこともないと思います。 

また、社内会議で、まだ議論が残っているかなという場合は、『議論を続けたい方は、チャットでお知らせください』と言って、ホストは残っていればいい。 

研修であれば、受講者から質問があるかもしれないというときは、『これでいったん終了します。私どもはまだ残っておりますので、質問がある方は受け付けております。今日はお疲れ様でした』と言えば、出席者は“迷うことなく”それぞれ自分の次の行動に移れます」

退出するタイミングを悩むのは時間の無駄。「生産性」を考えればホスト側の声かけは大事だ。

WEB会議では事前に名刺交換できないことも多い。

「初対面の際は、Zoomなどの名前表記は、相手にわかりやすく表記すると良いでしょう。

複数の企業が同席する場合、進行側が事前にメール等で『名前を漢字表記+企業名』を入れてもらうように案内を入れることもあります」

WEB会議をスムーズに進めるためには、会議前後のメールがリアル以上に重要になる。

■WEB会議の悩みに関する意識調査(株式会社ビズヒッツ調べ) 

WEB会議で困っていることのダントツ1位は、「音声や映像の不具合」だった。WEB会議をしたことがある全国の男女527人(女性277人/男性250人)にインターネットによる任意回答調査(調査期間:2020年9月1日~15日)
WEB会議で困っていることのダントツ1位は、「音声や映像の不具合」だった。WEB会議をしたことがある全国の男女527人(女性277人/男性250人)にインターネットによる任意回答調査(調査期間:2020年9月1日~15日)

今どき“デキるヤツ”は、WEB会議を仕切れる人材!?

リアル以上にホストの役割が大切になってくるWEB会議。マナーが混とんとしているいまは、特に重要だ。

「たとえば、会議の初めに、“その会議でのルール”を伝えるのもいいと思います。

WEB会議では、同時に何人かが話すと聞き取りにくいので、発言するときは手を挙げてもらうとか、発言の最後に“以上です”を添えてもらうなど、人数や議題にあわせてルールを設けると進行しやすくなります。

自己主張の強い人が多い海外での会議では、音声が重なり、収拾がつかなくなることも多いようで、“意見はチャットに書きこむ”というルールも、よくあるようです(笑)」

これからはWEB会議をいかにスムーズに仕切れるかが、“デキるヤツ”の条件になりそうだ。

まだまだわからないことだらけのリモート会議。悩むことも多いが、

「WEB会議の最低限のマナーは、“コミュニケーションとして視覚・聴覚情報を整え、意識する”ことです。

ライティング、画角、ノイズに気を配ることは基本です。忘れがちですが、会議の内容を録画・録音するときは、先方にひと言断るのもマナーですね」 

清水美奈子 全日本空輸株式会社にて9年間、客室乗務員として勤務し、国内線・国際線のチーフパーサーとして乗務。新入社員教育やインストラクターなどの人材育成や組織改革のさまざまなプロジェクトを担う。退職後、日本サービスマナー協会認定講師として、各種研修を担当する。

  • 取材・文中川いづみ

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