突然業務停止した高級カーシェア会社「破産Xデーメモ」を独自入手

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高級中古車のカーシェアリングを行う会社が突然、業務停止に陥り、600人以上いる投資者が「ローン地獄」の被害を受けている問題が新展開を迎えた。10月30日付で「S社」(SKY CAR SHAREグループ、以下「Sグループ」)に投資した主婦が数百万円の借金を抱えるまでの経緯を伝えたが、その後の追加取材で、「Sグループ」の計画倒産を想定させるメモを独自入手した。

「計画倒産」をにおわせるメモの中身とは

上記の写真は埼玉県川口市内某所でみつかった廃棄資料の中から発見された「破産Xデー」に関するメモである。これは、法人の破産ではなく、代表者の自己破産について書かれたものと思われる。

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「上ノ山さん…ハサン 200万」
「Xdayを決めたい」
「会社と代表セットで管財人に+α払う」
「ヨノウキン(予納金)目安100万ずつ」+「ベンゴシヒヨウ(弁護士費用)100万ずつ」☆個人で残せるお金99万まで
「10月くらいまでに600万と99万×3=900万まで?」

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などと、生々しく書かれている。

いつ誰が書いたものか定かではないが、「10月位まで」とあるように、Sグループの経営が怪しくなってきた7月~9月に書かれたものではないかと推測される。

まずここで、「Sグループ」に投資した人たちのローン地獄の実態を振り返ってみよう。

「Sグループ」は格安で高級車に乗れることをウリにしたカーシェアリングサービスを展開し、高級車をSグループから購入し、シェア車両として提供(Sグループが預かって運用)させる投資者を募集した。投資者は、「Sグループ」の関連会社を通じて2年または7年ローンでメルセデスベンツやBMWといった高級中古車を購入し、利用者に貸し出すことで、利益に応じて配当が還元される仕組みだ。

10月30日付で紹介した主婦も1月から開始し、7月まではSグループから一度も滞りなく入金(ローン代金+保険料+月々の謝礼)があったが、8月に入金が遅れる旨の通知を受け、10月8日にいきなり「事業停止」という一方的なメールが届いた。その主婦は記事公開時点で380万円もの負債が残った。

主婦以外の多くの投資者も「9月にまとめて2か月分支払う」と告げられていて、9月にも支払われなかったことで、「入金はいつになるのか!」との質問に「10月9日に支払う」との回答を得た人もいる。

ちなみに10月9日とは、事業停止を発表した翌日である。明らかに意図的にこの日を指定したのだろう。もちろん、その日にローン代金などの振り込みは行われなかった。

ただ、このメモを見て「やはり計画倒産だったのか!」と考えるのは早計かもしれない。破産に詳しい弁護士はこう明かす。

「破産は、段取りを組んで計画的に行うことが一般的。このようなメモがあってもおかしくはない。計画倒産というのは最初から倒産して踏み倒すつもりで、お金を借りたり、商品をツケで仕入れたりすることをいうので、これをもって計画倒産とは言えないでしょう」

なお、メモに「法人と代表セットで」とある。これはつまり、「法人の破産と代表の自己破産をセットで」という意味だろうと推測される。

ちなみに法人破産の場合、財産は100%消滅するが、個人破産においては財産の保持が認められる。個人の場合は破産しても、そのあとの生活があるため最低限度の財産保持は補償されているのだ。

メモにあるようにその金額の上限は99万円。具体的には現金、生活保護、年金などが保持してよいと認められる財産となる。なお、税金についても法人の税金は消滅するが、個人の税金は個人破産した場合の税金は「非免責債権」に該当し、免責しても税金の支払いはしなければならないという。

被害を受けた投資者に待つ厳しい現実

11月14日、「Sグループ」から委託された代理人弁護士から、カーシェアの車が停まっている川口市内の駐車場で、被害を受けた投資者への緊急説明会が行われた。

当初、その日に車両を返却する予定になっていた投資者7、8名への対応を弁護士から説明して欲しい、という要望に応じて個別対応する予定だったが、投資者への説明をわかりやすくするために「受任のご連絡」と書かれた用紙を準備した。ただ、弁護士はその場メディアがいるとは知らなかったようだ。配られた「受任のご連絡」には、以下のような内容が書かれていた。

・カーシェアリングサービス「スカイカーシェア」の運営に関わる4社、(株)SERIAS(セリアス)、(株)ランドコアサービス、(株)anchor(アンカー)が近日中に破産手続き開始の申し立てを行う。
・破産手続き開始までは、現状を保全するためコーディアルの事務所を一時閉鎖する。
・車両の返還については体制が整い次第、ホームページ(http://cordialcar.net)で開示する。

などが書かれていた。

冒頭のメモに書かれている「上ノ山」とは、「受任のご連絡」に書かれていた(株)SERIAS、(株)ランドコアサービス、(株)anchorの代表取締役 上ノ山章博氏である可能性が高い。ただ、注意しなければいけないのは、14日に発表された「受任通知」は法人についてのみで、代表者個人の破産手続きについてはこれからと思われる。

弁護士が説明に来たとはいえ、被害を受けた投資者に待つ現実は厳しい見通しだ。車の返還を求めている投資者たちに話を聞くと、査定額が恐ろしく低い。たとえばBMWに対して400万円のローンを組んだ人は、その車に破損等もあり、査定額は20万円と言われて愕然としている例も存在するのだ。

投資者たちは今後、車両に関しては現在、駐車場からの移動はもちろん、場内に入って車両を確認することも一切できない状態になっている。ただ、Sグループ4社が破産手続きを開始すれば車両の返還が始まることになり、返還の順番も決まった。

また、車両が見つからない人に関しては発見の手助けを行い、未納車に関してもできる限り調査を行う。管財人との調整で車両返還を含めた今後の対応の方向性が決まれば郵送にて投資者全員に書類を送付する。破産手続きの状況やQ&Aについてはホームページ(http://cordialcar.net)を通して発信し、コールセンターを設置して、車両の引き渡しなどについてオーナーがすぐにわかるように情報を提供するという。

ただ、被害を受けた投資者に話を聞いていくと、ローン審査のプロセスも不透明な部分が多く、Sグループの破産手続きがはじまっても、被害者の心が休まるのは当分先のことになりそうだ。

代表の上ノ山氏のものと思われるブログ。本人の立場を明かしてはいないが、スカイカーシェアを立ち上げたばかりの頃。20歳の彼女も「私のお金で」スカイカーシェアを利用していることを自慢気に書いている
  • 取材・文加藤久美子

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