『ジャルジャル』福徳秀介 コント師が恋愛小説を書いたワケ | FRIDAYデジタル

『ジャルジャル』福徳秀介 コント師が恋愛小説を書いたワケ

『キング オブ コント2020』優勝 4年の歳月を費やして書き上げたデビュー作はホロ苦くて泣ける!

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書影がプリントされたTシャツを着用して取材に応じた。本の表紙に使われているのは以前福徳秀介が飼っていた愛犬の写真だ
書影がプリントされたTシャツを着用して取材に応じた。本の表紙に使われているのは以前福徳秀介が飼っていた愛犬の写真だ

「恋愛ってええなあって思ってもらいたい。学校や会社が楽しくないって人にもなにか明るい光みたいなものを感じてほしい。そんなことを考えながら今回の作品を書きました」

そう語るのは人気お笑いコンビ『ジャルジャル』の福徳秀介(37)だ。今年9月、同い年の一般女性と結婚を発表し、その2週間後には、第1回から参戦し続けた『キングオブコント2020』で念願の王者に輝いた。活動の場はテレビや劇場だけにとどまらず、’18年2月からはコンビでのユーチューブチャンネルに毎日欠かさず新作コントを投稿。オリジナルの持ちネタは8000本を超えている。

そんな彼が11月11日、初となる長編小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』を上梓した。「恥ずかしいからプロポーズもLINEで言った」というシャイな福徳らしい、繊細な恋愛小説だ。

「アホみたいに真っ直ぐに心の奥底にあるものを書いたので、相方の後藤(淳平)や知り合いには読まれたくないです。恥ずかしいので。奥さんも同じで、もし家で一緒にいる時に感想を伝えようとしてきたら、話題を変えますね(笑)」

本作の舞台は、福徳自身の母校である関西大学だ。リア充な生活を送る学生たちをやっかみながら、友達の少ない一人暮らしを送る主人公。だがある時、自分と同じく一人ぼっちなのに、周囲に臆することなく自由にふるまっているヒロインに心を奪われてしまう。そして不器用ながらも彼女へアプローチすることで、二人の距離は縮まっていく。

「主人公のモデルは僕ではないです。登場人物は架空でも、実際に通っていた大学を舞台にしたほうが、リアルに書ける気がして……。主人公が好きになる女の子はどんな子かなって考えて、そして次は二人が出会ったらどうなっていくんやろうって妄想して。時には、『ここで一回挫(くじ)けさせるけど、お前また這はい上がってこいよ!』って主人公に声をかける気持ちで書くこともありました」

すべてが本人の実体験ではないが、それでも共通点はあるという。

「僕も大学生のころ、大教室で綺麗な女の子が一人だけ立ちあがると、目を奪われて好きになりかけていた。だから主人公がヒロインと出会うシーンは、自分自身の思い出が投影されているかもしれないですね(笑)。学生生活を満喫している人たちを妬(ねた)んでしまうところも実は似てます。僕、大学の中で下駄を履(は)いていたんですよ。『あいつは下駄を履くくらい変な奴だから、一人でおっても平気なんだろう』って思われたかったんです。

当時は、友達は欲しいけど、欲しいと感じることもダサいって葛藤していました。でも今は、人気者を遠くから見る〝友達少ない系〟の人も、それはそれでオッケーやんって思えるようになってきて。それを作品にも描けたらと考えました」

「作る」ことへの情熱

今まで生きてきた経験や感情を、これでもかと詰め込んだ。プロットは3ヵ月で書き上げたが、何度も改稿を重ね、書き上げるまでに4年を要したという。

「書く時は、スマホかタブレットです。出版が決まったあと、編集の方に『半分くらい削りましょう!』って提案された時は一瞬途方に暮れたんですけど(笑)、初めの2年間はずっと一人で書き直しを続けていたので、第三者に意見をもらえて楽しいとすら感じました」

モノづくりに対して、ずば抜けた感性がある。だからコントのネタも、執筆へのエネルギーも尽きることはない。

「(上を見上げながら)この部屋、天井に照明がいくつもありますよね。この変わった形のライトが落ちてきた時、どこに立ってれば助かるかなあ、とか。よく見たら壁も斜めやん! とか、そんなことを常々考えてるんです。日常にはいつもアイデアが潜んでいるから、今のところはネタも無限に作れそうです」

次回作にはまだ着手していないというが、書くことへの情熱は高まっている。

「たっぷり時間をかけて書きたいですね。今作とは違ったテーマになると思いますが、恋愛が一番人の背中を押すような気がしているので、次も必ず恋愛要素を入れたいです!」

本誌未掲載カット 『ジャルジャル』福徳秀介 実力派コント師が恋愛小説家になったワケ
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『FRIDAY』11月27日号より

  • 撮影會田 園

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