エリート大阪大院生が「爆破予告」で逮捕されるまで

福山紘基容疑者 (22) 中学時代は生徒会長、大学時代は「文部科学大臣表彰」を受賞 「ネット上の擬似宗教にのめり込んでからアイツはおかしくなった」

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東京・代々木署から送検される福山容疑者。容疑を否認しているが押収したパソコンに爆破予告の書き込みをした痕跡が残されていた

「天文学と生物学を融合させ、生命の起源を探りたい」

そう夢を語っていたエリートがなぜ爆破予告を繰り返したのか――。

11月4日、警視庁はネット上の掲示板に高知大学と高知県立大学を爆破すると書き込み、両大学の授業を休講させたなどとして、福山紘基(ひろき)容疑者(22)を威力業務妨害の疑いで逮捕した。福山容疑者は大阪大学の大学院理学研究科に通う秀才。大学3年生のときには全国の学生が自主研究を発表し競い合う『サイエンス・インカレ』でトップの成績をおさめ、「文部科学大臣表彰」を受賞している。

奈良県奈良市の高級住宅街で生まれ育った彼の素顔を知る中学時代の同級生はこう明かす。

「中学時代の成績は学年トップでした。数学のテストで満点を叩き出し、クラスのみんなから拍手されていたのを覚えています。教師陣の信頼も厚く、生徒会長を務めていました」

何が彼を変えてしまったのか。同じ研究室に所属していた後輩男性は福山容疑者のある「異変」に気づいていた。

「おかしいな、と思ったのは大学4年生の卒論の時期からでした。僕と福山さんが在籍していた理学部生物科学科の卒論は他学部と比べてもとくにきついんです。

福山さんみたいに院に進んで研究者を目指す場合は、高成績を取らないと今後に響くので相当ストレスを感じていたと思います。福山さんは卒論の合間に、ネットで愚痴(ぐち)を吐くのが気晴らしだと言っていました。そこで誰かに向けた誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)などを日常的に行っていたそうです」

彼を追い詰めていた要因はもう一つある。福山容疑者の父親が大阪大学の元教授で、現在も大学院に籍を置く研究者なのだ。卒論の重圧と父親からの期待が彼を追い詰めていたのかもしれない。

そんなプレッシャーに苦しんでいた福山容疑者の心の拠(よ)り所がネットだった。そこで福山容疑者が出会ったのが「恒心教(こうしんきょう)」と呼ばれる擬似宗教である。

「恒心教を名乗る爆破予告が今年に入り、130件以上に上り、福山容疑者も逮捕時に〝教徒〟であると供述しています。今回の事件では警視庁捜査一課のネット解析班やサイバー犯罪対策課も動いています。本人は容疑を否認していますが、過去の爆破予告での福山容疑者の関与を捜査する予定です。今後、余罪も明らかになっていくでしょう」(全国紙社会部記者)

恒心教に教祖はおらず、宗教団体としての実体もない。ネットリンチや爆破予告を行うネット上に存在する団体だ。活動はダークウェブ上で行われている。「Tor(トーア)」というパソコンの接続履歴を匿名化するソフトを使い、「教徒」間で情報共有を行っていたとされる。

「多分、最初はほんのいたずらやストレス発散のつもりだったのが、のめり込んでいき、エスカレートしたのではないでしょうか」(前出・社会部記者)

将来を嘱望(しょくぼう)された若者が思わぬきっかけで道を踏み外した。ネットに潜む悪意が福山容疑者を蝕(むしば)んだのだろうか。

’19年3月、『第8回サイエンス・インカレ』で表彰される福山容疑者。(大阪大学公式ホームページより)

『FRIDAY』2020年11月27日号より

  • 撮影蓮尾真司(1枚目)

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