『七人の秘書』に刑事や女弁護士も…テレ朝“七人ドラマ”多数の訳

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『七人の秘書』で主演を務める木村文乃。視聴率は右肩上がりに伸びており、番組最高を更新している

刑事、弁護士、板前…いずれも「七人」

コロナ禍が続く中で迎えた秋ドラマも中盤に入り、視聴率とネット上の盛り上がりの両面で明暗が分かれている。

視聴率の面で圧倒的な勝ち組となっているのが、『七人の秘書』(テレビ朝日系)。『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)や『ハケンの品格』(日本テレビ系)を手がけた脚本家・中園ミホらしく、「陰の存在である秘書が上級国民に鉄槌を下す」という痛快な勧善懲悪ドラマがウケて、11月19日放送の第5話は世帯視聴率15.2%を獲得した。

ここで気になるのは、“七人”というフレーズ。これまでもテレビ朝日は、“七人(7人)”というフレーズを含むタイトルのドラマを放送し続けてきた。

現在最もメジャーなのは、2015年から毎年夏に6年連続で放送されている東山紀之主演の人気シリーズ『刑事7人』だろう。さらに、2006年と2008年には釈由美子主演の『7人の女弁護士』、1991年、1993年、1997年には賀来千香子主演の『七人の女弁護士』が放送された。

また、1997年には老舗料亭を取り戻すために立ち上がる七人の板前を描いた水谷豊主演の『流れ板七人』を放送。深夜ドラマでも2015年に『ドラマ!7人のアイドルゴーゴー!』、スペシャルドラマでも2011年に佐藤浩市主演の『最後の晩餐~刑事・遠野一行と七人の容疑者~』などが放送された。

なぜテレビ朝日は長年に渡って“七人”のドラマにこだわり続けているのか?

7色の個性的なキャラと『七人の侍』

「7」という数字を聞くと、多くの人が「ラッキーセブン」という言葉を思い浮かべるだろう。レシートを見たら「777円」だったり、スロットで「スリーセブン」になったり、野球でも7回のことを「ラッキーセブン」と呼び、甲子園球場で風船を飛ばして応援が盛り上がる。仏教やキリスト教でも「7」という数字は特別視されているし、「七宝」や「七福神」というフレーズも見逃せない。とにかく縁起のいいイメージがあり、テレビ朝日に限らず各局ともに「7」を好んで使う傾向が強い。

また、舞台・舞踊の世界では一人の役者が7つの姿を見せる「七変化」というものがあるように、「7」という数字には「さまざまなキャラクターを描き分ける」という意味もある。実際、『七人の秘書』は、銀座クラブのナンバーワンホステス(木村文乃)、警視庁勤務の空手有段者(菜々緒)、留学経験のあるバイリンガル(大島優子)、仕事のできない素朴な秘書(広瀬アリス)、ズバ抜けた医療知識を持つSEのエキスパート(シム・ウンギョン)、刑務所に入っていた元政治家秘書(室井滋)、影の秘書軍団の元締め(江口洋介)と7つの個性が色分けされている。

制作サイドのメリットとしては、7人の個性を生かして、さまざまなシーンを作り上げることが可能。とりわけ刑事や探偵などの事件モノは、事件解決までのバリエーションを増やしやすく、連ドラとして「第1話はキャラ、第2話はこのキャラ……」と順番にスポットを当てることで興味を引きつけていける。1クールの連ドラに3~5人では少なく、制作サイドとしても7人いたほうが都合はいいのだ。

その他にも、「7人がそろったときの映像的な迫力がある」「フレッシュな若手俳優に経験値を、玄人ウケするバイプレーヤーに活躍の場を与えられる」などのメリットもあり、視聴者としても、多彩なキャラクターを見られるお得感と好きなキャラクターを見つける楽しみがある。

そして「七人」と言えば、現在も国内外で「最高傑作」と称えられる黒澤明監督の映画『七人の侍』にふれないわけにはいかないだろう。同作は1954年公開の映画だが、侍たちの魅力あふれる姿が作り手たちのお手本として受け継がれ続け、視聴者も「七人」というフレーズを聞いただけで心躍らせてしまうなど影響力が強い。

いわば、「七人」はクラシックなスタイルの1つであり、なかでも『七人の秘書』が放送されているテレビ朝日木曜21時台の『木曜ドラマ』は中高年層の視聴者が多いため、「七人」と聞いただけで視聴動機になりうるのだ。ただ、テレビ朝日は『木曜ドラマ』に限らずプライム帯で放送しているドラマの視聴年齢層が他局より高いだけに、今後も定期的に「七人」の作品は制作されていくだろう。

「主要キャラは7人」のドラマは多い

ここまで読んで気づいている人も多いだろうが、「七人」はテレビ朝日の専売特許ではなく、他局もさまざまなドラマを放送してきた。

その筆頭は、1961年~1969年の毎年と1978~1979年、さらに何度も単発版が放送された『七人の刑事』(TBS系)。また、1964~1966年には森繁久彌主演の『七人の孫』(TBS系)。同じTBSで言えば、1986年の『男女7人夏物語』と1987年の『男女7人秋物語』も大ヒット作となった。

2010年代に入っても、2012年の『七人の敵がいる!~ママたちのPTA奮闘記~』(東海テレビ・フジテレビ系)、2013年の『山田くんと7人の魔女』(フジテレビ系)、2016年の『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(テレビ東京系)、さらに現在『ヴィレヴァン2! ~七人のお侍編~』(メ~テレ)が放送されている。

単発ドラマでも、1976年の『全員集合!7人の仮面ライダー!!』(毎日放送・TBS系)、1998年の『七人のOL ソムリエ』(TBS系)、2009~2018年まで放送された『警視庁南平班~七人の刑事~』(TBS系)、2019年の『天 赤木しげる葬式編「アカギと7人の男たち」』(テレビ東京系)など、各時代に放送されてきた。

また、タイトルに「七人」というフレーズがなくても、2012年の『ラッキーセブン』(フジテレビ系)のような刑事・探偵ドラマ、さらには学園ドラマ、ラブストーリー、青春群像劇なども「主要キャストは7人」という作品が多く、今なおベースの人数になり続けている。

  • 木村隆志

    コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。ウェブを中心に月20本強のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、地上波全国ネットのドラマは全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

  • PHOTO川上孝夫

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