新井浩文、ピエール瀧から流れが変わった「作品に罪はない」論争 | FRIDAYデジタル

新井浩文、ピエール瀧から流れが変わった「作品に罪はない」論争

<芸能リポーター・石川敏男の芸能界”あの出来事のウラ側は……”㉛>

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二審でも実刑判決が下った新井被告。被害者との示談は成立したが、裁判所は厳しい判断を下した(‘19年)
二審でも実刑判決が下った新井被告。被害者との示談は成立したが、裁判所は厳しい判断を下した(‘19年)

<芸能リポーター・石川敏男の芸能界”あの出来事のウラ側は……”㉛>

派遣型マッサージ店の女性従業員に性的乱暴をしたとして強制性交罪で逮捕され、一審で懲役5年の判決を受けた元俳優・新井浩文被告の控訴審が東京高裁であり、一審判決を棄却。懲役4年の判決を言い渡たされた。

初公判にも判決にも姿を見せなかった新井被告だが、彼が一番欲しかった判決は、執行猶予。残念ながら、執行猶予はまたつかなかった。裁判長は、

「一審判決の結論は当裁判所も支持できるものと判断した」

と実刑判決を支持。ただ控訴中に新井被告が、被害者に300万円を支払い和解が成立したことも明らかになり、控訴審では実刑が一年短くなった。

映画『血と骨』『アウトレイジ・ビヨンド』などで名バイプレーヤーとして活躍していた新井被告が、マッサージ嬢に性的乱暴を働いたと言われたのは‘19年2月。裁判では、新井被告と被害者女性の証言はことごとく食い違った。

「力づくで犯された」と言う被害者と、性行為の事実を認めたうえで、新井被告は「女性の反応に、同意を得たと思った」と反論。裁判では言葉にもできないやり取りが続いた。

新井被告は自分が出演して、加害者役女性との演技で“再現ドラマ”を制作し、その夜の行動をきめ細かく撮影し、証拠資料として裁判所に提出したこともあった。しかし、一審の裁判長は、

「犯行は卑劣で悪質と言うしかない。同じ種類の事件の中でも重い部類に位置付けられ、実刑は免れない」

と、断罪。しかし新井被告は、すぐに控訴したのだ。どうしても勝ち取りたかった執行猶予。彼は、韓国や東南アジアの映画などに出演するつもりで、多くのオファーが届いていたとも言われた。

保釈金500万円を即日に払い保釈された。その後は、彼が俳優の道に進むことになった大先輩女優・大楠道代さん(旧安田)の長野・軽井沢の別荘での隠遁生活を送った可能性も報じられた。最初は、大楠さんの付き人だった時代もあった。

彼女が新井被告の衣食住すべてを面倒見ていると伝えられていて、その生活は今でも続いているという。大楠さんは、かつて俳優・若山富三郎さんの愛人だった。

若山さんが2度目の妻と離婚した理由も、同棲が始まっていた大楠さんが原因。その大楠さんは、当時、大映映画で大女優・山本富士子さんの再来と言われた美人女優だった。戦後の「ミス日本」女優第一号だ。

話はそれたが、新井被告が主演していた映画『善悪の屑』は、当然お蔵入りになってしまった。林遺都さん、馬場ふみかさんらが出演。事件を起こした俳優、女優、タレントらが出演していた映画、ドラマ、ラジオなどの公開が「自粛」と言う形で中止されたのだ。

ただ、この事件のころから「作品に罪はあるのか」という世論が高まってきたように感じる。事件を起こした俳優と「作品」は関係がない、というものだ。テレビはタダで観ることができるが、映画などはチケット代を払うから見たい人が来るという論理だ。事故、事件、不倫スキャンダル。そして大麻・覚せい剤などで逮捕される芸能人。そんな中、ピエール滝さんが新井被告の1か月後に麻薬取締法違反容疑で逮捕された。

多くの公開前映画に出演していたピエールさん。逮捕翌月に公開が迫っていた映画『麻雀放浪記2020』は重要な役で出演していたが、ノーカットで公開されることがいち早く発表された。

その後、ピエールさんは懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を受けるが、翌年には映画『ゾッキ』に出演(‘21年公開予定)。執行猶予中は仕事は自粛するという芸能界の“暗黙のルール”も形骸化させてしまった。

今年に入ってからは、ひき逃げで逮捕された伊藤健太郎さん、大麻で捕まった伊勢谷友介さんらの出演している映画は公開されるし、新しい作品にも出演が決まっている俳優もいる。あくまでオレの考えだが、たしかに公開を中止にすると共演者や周囲に迷惑がかかる人が大勢いるのも分かっているが、それでも作品は先に延ばしにするのがいいと思っている。サラリーマンなら、覚せい剤だって、暴力だって、一度罪を犯せばそのほとんどが職場を失う。芸能人は「自粛」が解ければ、たいていは戻ってこられる場所があるんだから、やはり「自粛」も「制裁」も必要だと思うな――。

  • 石川敏男(芸能レポーター)

    ‘46年生まれ、東京都出身。松竹宣伝部→女性誌記者→芸能レポーターという異色の経歴の持ち主。『ザ・ワイド』『情報ライブ ミヤネ屋』(ともに日本テレビ系)などで活躍後、現在は『めんたいワイド』(福岡放送)、『す・またん』(読売テレビ)、ラジオは福井放送、ラジオ関西、レインボータウンFMにレギュラー出演中

  • PHOTO蓮尾 真司

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