来季先発へ再転向でも阪神・藤浪晋太郎に不安が消えない理由

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今年10月28日の中日戦で好投する藤浪。来季は再び先発要員に戻る構想だ(画像:時事通信社)

「先発でやっていきたいなと思っているよ。チームのバランスを考えても、今の時点では先発の方が(チームと本人)どちらのためにもなるのかなと」

11月16日、甲子園で行われた秋季練習。阪神の矢野耀大監督は、来季の藤浪晋太郎(26)の起用法についてこう語った。

「今季序盤の藤浪は散々でした。3月に女性を交えた食事会に出席し、新型コロナウイルスへの感染が発覚。5月には練習に遅刻し、二軍に降格させられました。精神的な落ち込みもあったのでしょう。9月の巨人戦で先発するも、5回途中11失点の球団ワースト記録で再び二軍に落ちています。

ただ9月下旬に一軍昇格し、リリーフ陣のコマ不足から中継ぎへ転向したのが功を奏しました。13試合に登板し、失点は2試合のみ。入団以来3年連続で2ケタ勝利をあげた、当時の自信を取り戻したようです。160km以上の速球で、打者をグイグイ押していましたから。リリーフとしての投球が評価され、来季は再びローテーション入りへ挑戦することになりました」(球団関係者)

ただ、矢野監督も無条件で先発に復帰させるわけではない。藤浪に条件もつけている。

「縦のスライダーの取得です。藤浪は横に曲がるスライダーは持っていますが、これでは先発として不十分と考えているようです。矢野監督はこう言っています。『(曲がり方が)縦のほうがいいと思っている。横に流れると抜けたり引っ掛かったりと、曲がる幅がデカくなるから(打者が見極めやすい)。縦に曲がるならベース幅の中で空振りが取れるし、打者も見極めにくい』と。

イメージは、縦のスライダーを得意とするダルビッシュだとか。ダルビッシュは藤浪にとって、18年1月に自主トレを共にするなど、尊敬する先輩投手。矢野監督も、藤浪に受け入れやすいと考えたのでしょう」(スポーツ紙記者)

再びダメだったら……

中継ぎとして実績を積み、自信を取り戻した藤浪。安心してローテーションの一角を任せられるかと思いきや、チーム内には不安視する声も多い。

「縦のスライダーを覚えても、藤浪の最大の課題は解決しないでしょう。昨年1勝もあげられなかった根本原因である、制球難が克服されたわけではありませんから。1イニングの中継ぎなら、ある程度は速球で押していけます。しかし先発として一本調子の投球では、長いイニングはもちません。藤浪は右打者への死球を恐れ、内角を攻めることができず外角中心の配球になる。2巡目以降に打ち込まれる要因です。

本人の気持ちの問題もあります。コロナ感染や相次ぐ先発での失敗で落ち込む藤浪を励まし続けたのは、今季限りで引退する抑えの藤川球児です。『この苦しい時期を乗り越えれば、必ず良くなる。腐るなよ』と言ってね。藤浪は現在『(来季)先発でやりたい』と前向きですが、一時は藤川さんの穴は自分が埋めると意気込んでいました。役割が二転三転して、藤川のやる気が維持できるか不安です」(同前)

リリーフで打者を圧倒し、本人のモチベーションも上がっていた……。では、なぜ不安要素が残る先発再転向が取りざたされるのだろうか。

「球団幹部やフロントの意向だと思いますよ。阪神では、いまだにピッチャーの花形は先発という古い考えがあります。甲子園のスターとしてドラフト1位で入団した藤浪には、中継ぎという地味な役割としてではなくエースとして華々しく活躍してほしいのでしょう。

ただ藤浪は先発として、どん底を経験している。再びダメだったら……。野球人として立ち直れないぐらいの、大きなダメージを受ける可能性もあります。先発転向と簡単に言いますが、大きなリスクをはらんでいるんです」(前出・球団関係者)

自信を持ったリリーフで安定した道を歩ませるか、再びエースに挑戦させる危険をおかすかーー。藤浪の野球人生を左右する決断は、球団が握っている。

  • 写真時事通信社

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