二階幹事長と菅総理が一日二回も飯食って話し合った「重要案件」
年明け早々か、東京オリパラ以降なのか
11月12日、永田町の政界関係者は飛び交う噂に耳を疑ったはずだ。
「菅義偉総理と二階俊博幹事長が食事をするらしい。しかも昼夜2回続けて――」
実際、二人は首相官邸で昼飯を食べ、夜は虎ノ門の高級ホテル『The Okura Tokyo』で小池百合子東京都知事を交えて会食した。多忙を極める総理が一日に2度も幹事長と会って話すことと言えば、一つしかない。
解散総選挙のタイミングだ。
その前夜には、安倍晋三前総理が野田聖子幹事長代行らと会食し、「私だったら来年1月に解散する」と話したとも報じられていた。にわかに年明け早々の解散総選挙が現実味を帯び始めた。
「その直前まで、菅総理と二階幹事長の間に隙間風が吹き始めているのでは、と勘ぐる向きがありました。外務省の振り付け通りに対中強硬姿勢を見せる菅総理と、筋金入りの親中派である二階幹事長の間に溝が生じたのではないか、というものです。会食はその噂をかき消す意味もありました。
そのうえ、二人が一日に2度も会えば、野党にも解散があるとの疑念を抱かせるには十分です。1月中旬までに第3次補正予算を成立させ、国民に10兆円規模のバラマキを行って下旬に解散。2月7日投開票が一つのスケジュールでしょう」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)
永田町関係者の間では『〈想定〉解散総選挙日程』という題名で詳細なスケジュールが出回っており、年明け解散に説得力を持たせている。最近になって自民党本部の中庭で政策宣伝車『あさかぜ号』のマイクテストが頻繁に行われているのも、選挙の到来を予感させる一因だ。
菅総理は国会で「私も『全集中の呼吸』で答弁させていただく」などと『鬼滅の刃』のセリフを引用。二階幹事長も主人公が身につける羽織の市松模様を意識したマスクをつけて記者の前に登場した。二人とも『鬼滅の刃』ブームに便乗しているように見えなくもない。
「二階幹事長の行動は変幻自在なので、つい深読みしたくなりますが、その行動原理は至ってシンプル。自民党が政権与党であり続けることと、自身が幹事長職に留まることの2点です。来年9月に訪れる総裁選では菅総理2選の流れを作って、幹事長に留まりたい。そのためには、総裁選の前に総選挙を行い、それに勝たなければならないのです」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)
現状、一月解散はないとの見方が強くなっているが、はたして――。


『FRIDAY』2020年12月4日号より
撮影:鬼怒川 毅