屈辱は巨人だけじゃない…日本シリーズ「4連勝で勝利」の歴史 | FRIDAYデジタル

屈辱は巨人だけじゃない…日本シリーズ「4連勝で勝利」の歴史

巨人が2年連続でソフトバンクにスイープされた。日本シリーズ、存亡の危機?

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今年の日本シリーズでMVPに輝いた栗原陵矢(ソフトバンク)

野球界では、同一カードやシリーズを連勝で勝利することを「スイープ」という。今回の日本シリーズは、ソフトバンクのスイープ(4連勝)で終わったが、これは日本シリーズ史上7回目のことだ。日本シリーズのスイープの歴史を振り返ろう。※(勝)(敗)は勝ち投手、負け投手

1959年 南海―巨人 総得点 南海22―12巨人

第1戦 南海○10-7●巨人(勝)杉浦(敗)義原
第2戦 南海○6-3●巨人(勝)杉浦(敗)藤田
第3戦 南海○3-2●巨人(勝)杉浦(敗)義原
第4戦 南海○3-0●巨人(勝)杉浦(敗)藤田
MVP杉浦忠

最初のスイープも今年と同じホークス対ジャイアンツだった。南海はここまで4回巨人と日本シリーズで対戦していたが、すべて敗退していた。南海ナイン、鶴岡一人監督にとって「打倒巨人」は悲願だった。南海は、エース杉浦忠が4試合すべてに登板し、圧巻の4戦全勝。文句なしのMVPになった。南海ホークスは御堂筋パレードで大阪市民と喜びを分かち合った。

1960年 大洋―阪神 総得点 大洋11―7大毎

第1戦 大洋○1-0●大毎(勝)秋山(敗)中西
第2戦 大洋○3-2●大毎(勝)島田源(敗)小野
第3戦 大洋○6-5●大毎(勝)権藤(敗)中西
第4戦 大洋○1-0●大毎(勝)秋山(敗)小野
MVP近藤昭仁

2年連続で日本シリーズはスイープゲームに。今度はセの大洋がやり返した。前年最下位の大洋が新任の三原脩監督の「三原マジック」でセを制覇。その勢いのままにパの大毎オリオンズに完勝した。すべて1点差の好勝負。総得点差はわずか4点だった。第4戦で決勝タイムリーを打った近藤昭仁がMVPに選ばれた。しかし大洋は翌年、また最下位に戻るのだ。

1990年 西武―巨人 総得点 西武28―8巨人

第1戦 西武○5-0●巨人(勝)渡辺久(敗)槙原
第2戦 西武○9-5●巨人(勝)潮崎(敗)斎藤
第3戦 西武○7-0●巨人(勝)渡辺智(敗)桑田
第4戦 西武○7-3●巨人(勝)郭(敗)宮本
MVP デストラーデ

3回目のスイープは30年後。西武は渡辺久信、渡辺智男が巨人を完封。打ってはオレステス・デストラーデが16打数6安打2本塁打8打点、打率.375と活躍しMVPに選ばれた。

なお、第2戦の西武の先発は今年のソフトバンク監督の工藤公康、27歳。巨人の4番左翼は32歳の現巨人監督、原辰徳だった。

2002年 巨人―西武 総得点 巨人29―9西武

第1戦 巨人○4-1●西武(勝)上原(敗)松坂
第2戦 巨人○9-4●西武(勝)桑田(敗)石井
第3戦 巨人○10-2●西武(勝)工藤(敗)張
第4戦 巨人○6-2●西武(勝)高橋尚(敗)松坂
MVP二岡智宏

12年後に今度は巨人が西武に雪辱。第1戦は同じ1998年ドラフト入団組の巨人、上原浩治と西武、松坂大輔の投げ合いになった。工藤公康はこの年は巨人に所属し39歳だが第3戦に先発し8回自責点2で勝利投手に。巨人の監督は新任の原辰徳だった。MVPは19打数9安打1本塁打5打点、打率.474の二岡智宏だった。

2005年 ロッテ―阪神 総得点 ロッテ33―4阪神

第1戦 ロッテ○10-1●阪神(勝)清水(敗)井川
第2戦 ロッテ○10-0●阪神(勝)渡辺俊(敗)安藤
第3戦 ロッテ○10-1●阪神(勝)小林宏(敗)下柳
第4戦 ロッテ○3-2●阪神(勝)セラフィニ(敗)杉山
MVP今江敏晃

ロッテはレギュラーシーズンは2位だったが、プレーオフでソフトバンクを破って日本シリーズ進出。そして阪神に大勝。4試合制では最大の得失点差となる。ロッテは阪神に一度もリードを許さず。阪神のホームランは「0」。これも日本シリーズでは唯一の記録。MVPは15打数10安打1本塁打4打点、打率.667の今江敏晃だった。

2019年 ソフトバンク―巨人 総得点 ソフトバンク23―10巨人

第1戦 SB○7-2●巨人(勝)千賀(敗)山口
第2戦 SB○6-3●巨人(勝)高橋礼(敗)大竹
第3戦 SB○6-2●巨人(勝)石川(敗)戸郷
第4戦 SB○4-3●巨人(勝)和田(敗)菅野
MVP グラシアル

レギュラーシーズン2位だったソフトバンクがCSで西武を破って令和最初の日本シリーズ進出。巨人をスイープした。巨人はエースの菅野智之が腰痛のためCSでの登板を回避。日本シリーズも第4戦まで投げられなかった。菅野は巨人3連敗の第4戦に先発したが、4回にグラシアルに3ランを打たれ敗戦投手となる。MVPは16打数6安打3本塁打6打点、打率.375のグラシアル。

2020年 ソフトバンク―巨人 総得点 ソフトバンク26―4巨人

第1戦 SB○5-1●巨人(勝)千賀(敗)菅野
第2戦 SB○13-2●巨人(勝)石川(敗)今村
第3戦 SB○4-0●巨人(勝)ムーア(敗)サンチェス
第4戦 SB○4-1●巨人(勝)松本(敗)畠
MVP 栗原陵矢

新型コロナ禍でペナントレースは3ヵ月遅れ、公式戦の試合数も120試合に短縮。巨人は社会人野球のため東京ドームが使えず京セラドーム大阪をホームグラウンドとした。異例づくしのシリーズだったが、ソフトバンクが史上初の2年連続スイープ。巨人は屈辱の8連敗を喫した。MVPは、14打数7安打1本塁打4打点、打率.500の栗原陵矢が選ばれた。

7回のスイープのうち5回はパ・リーグ球団が達成している。最もスイープの回数が多いのは、ホークス(南海、ソフトバンク)の3回、スイープされた回数では巨人の4回が最多だ。史上空前のV9(9年連続日本一)を達成した巨人だが、昨今はパ・リーグに勝てない状況が続いている。

今年の巨人の完敗で、セ・パ両リーグの「野球の質」の違いが取りざたされている。スイープが続けば、日本シリーズの存在意義さえ疑われることになろう。
巨人、そしてセ・リーグはドラスティックな改革に着手すべきではないか。

  • 広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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