高級車カーシェア会社破産の陰に見え隠れする「ヤバい人たち」 | FRIDAYデジタル

高級車カーシェア会社破産の陰に見え隠れする「ヤバい人たち」

破産した会社の”夜逃げ”直後の写真を独自入手

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埼玉県川口市内の駐車場に置かれたSグループのシェア車両。故障で不動となった車や事故で大破した車両が驚くほど多く並んでいる(撮影:加藤久美子)

高級中古車のカーシェアリングを行う会社が突然業務停止に陥り、600人以上の投資者がローン地獄に陥っている問題で、SKY CAR SHAREグループ(以下Sグループ)4社の破産手続きが開始され、11月25日以降、破産管財人から債権者に対して、車両の返却やそのほかの手続きに対しての要望などを聞く質問と回答書が郵送された。被害を受けた投資者の声を拾っていくと、ヤバい実態が浮かび上がってきた。

クルマを取り戻しに借主を訪問すると…

「Sグループ」は格安で高級車に乗れることを売りにしたカーシェアリングサービスを2018年春から展開。高級車をSグループの関連会社や一般の中古車販売店から購入し、シェア車両として提供(Sグループが預って運用)させる投資者を募集した。

投資者には一切の金額負担はなく報酬として車両代金の1割(契約時期によって一律34万円)を契約成立後に受け取った後、毎月1万円、契約終了後に100万円を受け取るしくみだった。利益に応じて配当(月5%)が還元される契約もあった。Sグループの事業停止が公開された10月8日、貸し出し中の車は200台以上もあり、数百万の借金を抱えた被害者たちから声を聴いていったところ、ある“共通項”があった。

「シェア車両の利用者がわかり、買い取り業者と共に住所をたどって行ってみたら暴力団事務所でした。返してほしいと頼んだところ、『年間契約をしているからまだ使う権利がある』と言い張り、2時間近くもめて警察が出動する騒ぎになったんです」

「『これまで通り月額20万円支払うから使い続けたい』といわれたが、結局10月も11月も支払いがなかった。相手の名前を検索したら、前科のある『反社』の関係者だとわかりました」

Sグループのカーシェアサービスを月単位で長期契約していた人のなかには、普通に新車ディーラー通りや中古車販売店でクルマを買うことができない人たち…暴力団等反社会的勢力、いわゆる「反社」の人たちがいたことがわかってきた。

「反社」は全国各地の自治体が制定した暴力団排除条例によって、新車ディーラーや中古車販売店での購入はもちろんできない。他人の名義を使用して購入することもNGだ。

東京都暴力団排除条例適用事案の中にも、自動車契約における他人の名義利用事案(指定暴力団員が、新規に自家用普通乗用車を購入するにあたり、暴力団員であれば購入できないと考え、他人名義で購入契約をしていた事案)がいくつか紹介されているほどだ。

レンタカーについても同様で、大手はもちろん、個人経営の小規模レンタカー店に至るまで、「反社」に対してクルマをレンタルすることはできない。そもそも、支払いをクレジットカードに限定しているレンタカー店も多く、クレジットカードを作れない「反社」の人々は支払いができないというわけだ。さらに、国内最大手のエニカをはじめ、個人間カーシェアリングにおいても会員登録はできない。登録時に厳重な審査がある。

それなのに、なぜ「反社」の人たちがスカイカーシェアの車を利用できたのだろうか。

取材の過程で、スカイカーシェアと投資者の契約書を入手し、文面を見てみると、投資者との契約書にも、「反社会勢力との関係が判明すると契約を解除」といった内容が記されている(下記添付の契約書、11条(6)を参照

ちなみに、スカイカーシェアにおいても利用する際には、「反社ではありません」にチェックを入れる程度の自己申告制度はあった模様。実際に貸し出し業務に関わっていた関係者はこう明かす。

「彼らは2、3人で借りに来ることが多かったですね。組織の下っ端が、借金の世話をしてもらっているようなカタギの人を連れてきていました。借受人になるのはそのカタギの人で免許証のコピーもしていました」

「反社かどうかの審査が緩いっていうのもあるでしょうけど、スカイカーシェアは月額利用が安かったのでしょう。現金で借りることもできましたからね。若い人が多かったと思います。上の人間は、こんなボロ車は使いませんよ(笑)」

「あちこちぶつけて返してくることも多かったですよ。『上の者が乗っていて自分は返却に来ただけ』って言ってましたね」

10月8日、Sグループが事業停止を発表した直後、債権者会社4社のひとつである株式会社SERIASの社内。モノが散乱している
投資者がSグループと交わした契約書の一部

反社の人々にとって都合のいいサービス

Sグループのサービスを調べると、結果的に「反社」の人々にとって都合のいい内容になっていた。

1日単位でシェアする短期利用の他に、月単位で貸し出す長期利用という方法もあり、1日1万円前後の短期利用と、1か月10~20万円を中心とする長期の2種類で、割合としては、短期:長期=1:9で長期利用が圧倒的に多かった。

スカイカーシェアの予約サイトには車とオーナー、そして1日(24時間)の料金(平日と休日)が記されており、シェア希望者はまず会員登録を行ってから、車を選んで予約し、受け渡し場所などを配車スタッフと相談して、鉄道の駅などで引き渡し&返却を行っていた。レクサスの場合、1日(24時間)あたり平日6800円、土日祝7800円。レンタカーで借りる場合の1/2~1/3程度という安価な設定だった。

そして、シェア利用者の「9割以上」が使っていた月単位の「1か月シェア」は、どんなシステムなのか?車種と料金の一例をあげてみると以下のようになる。

●メルセデス・ベンツS400H 15万円~
●ポルシェ・パナメーラ 20万円~
●メルセデス・ベンツCクラス 10万円~
●BMW 4シリーズ 10万円~
●トヨタ アルファード 8万円~

車の使用に月20万も出せるほどの資金力があるならば、普通に新車や中古車を買った方が圧倒的にトクである。会社で使うならリース契約が便利だし、昨今、人気の「車のサブスク」だって余裕だ。保険料、点検費用などすべて込み。月々20万円以下で半年ごとに新車のレクサスに乗れるサブスクもある。それができない人たち、いわゆる「反社」の人たちが高級中古車を月単位で乗り回せるシステムになっていたのだ。

Sグループの運営実態

「わナンバー」にならない高級車が格安でシェアできる!という触れ込みで、スカイカーシェアのサービスが本格的に始まったのは2018年春。1年後の2019年6月頃には250台、2020年10月の破綻時には約650台のシェア車両を抱えるまでになった。

スカイカーシェアはSERIAS(セリアス)を中心にしたグループ会社で高級車専門のカーシェアリングマッチングサービスである。公式サイトには以下のようにサービスの説明をしている。

≪SKY CAR SHAREは一般のオーナーと個人間で自家用車を共同使用できるサービスです。

共同使用とは、個人間において自家用車の使用・管理に関する実質的な権限と責任を分担し、車両を共同で使用するものです。

レンタカーのように貸主と借主の関係で車両の貸渡を行うものではありません≫

「一般のオーナーと個人間で自家用車を共同使用できるサービスです」とあるが、Sグループの運営方式について事情を知る国交省自動車局旅客課に確認したところ、こんな回答が返ってきた。

「車両の使用者名義は投資者本人であっても、車を運営会社に完全に預けて、オーナーが自由に使うこともできず、カーシェアとして貸し出す方法は、『共同使用』とは言えません。また、『自動車を使用する』とは、車に乗ることの他に、日常的な点検や整備など車を管理することも含まれます」

投資者とSグループとの間で、自動車共同使用や運営委託に関する何らかの契約があったとしても、上記の被害者の声のように実態としてオーナー本人がクルマをまったく自由に使えない状態では共同使用とは言えず、道路運送法第80条の1「自家用自動車の有償貸渡し(レンタカー事業)」が適用される事業となる。簡単に言えば、レンタカー同様、「わナンバー」として登録しなくてはいけないということだ。国土交通大臣の許可を得ない無許可営業は、100万円以下の罰金や当該自動車の使用禁止処分などを受ける。Sグループは違法な運営だった可能性が高いのである。

Sグループで配布されていた車の買い付け表。車種や年式に応じた値段設定が記されているが、実際にはこの値段よりはるかに安い車両を独自のルートで仕入れていた
草がからまったタイヤの車も放置されたままだ
  • 取材・文加藤久美子

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