10代「めるる」と「りんくま」に目をつけたバラエティの勝算とは | FRIDAYデジタル

10代「めるる」と「りんくま」に目をつけたバラエティの勝算とは

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’20年の『日本メガネベストドレッサー賞』で特別賞を受賞しためるること生見愛瑠。”今年の顔”のひとりといっても過言ではない(写真:共同通信社)
’20年の『日本メガネベストドレッサー賞』で特別賞を受賞しためるること生見愛瑠。”今年の顔”のひとりといっても過言ではない(写真:共同通信社)

「めるる」の快進撃と「りんくま」の台頭

今、テレビ業界で10代のタレントが強く求められている。その理由は、今春の視聴率調査がリニューアルされたことにともない、番組制作の視聴ターゲット戦略が変わったから。高齢層の視聴が数字に反映されやすい「どれだけの世帯が見たか」という世帯視聴率ではなく、年齢層ごとの詳細がわかる個人視聴率が重視されるように大きく変わったのだ。

なかでも発信力があり、消費に積極的な若年層の視聴を求めるスポンサーは多い。だからこそ民放各局は若年層に見てもらうための番組制作を進めはじめているのだが、鍵を握っているのが10代のタレントたち。その筆頭格が現在18歳の「めるる」こと生見愛瑠であり、民放各局へのバラエティ出演が相次いでいる。

ここ2週間あまりだけを見ても、『トリニクって何の肉!?』(朝日放送・テレビ朝日系)、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)、『あいつ今何してる?』(テレビ朝日系)、『トークィーンズ』(フジテレビ系)、『王様のブランチ』(TBS系)、『スクール革命!』(日本テレビ系)、『世界くらべてみたら』(TBS系)、『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)、『有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?』(テレビ東京系)、『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)、『ゆるNSクラブ』(フジテレビ系)、『THE突破ファイル』(日本テレビ系)などに出演。今年のテレビ出演本数は150本超という快進撃を見せている。

一方、ここ数か月間で一気に台頭してきたのが現在19歳の「りんくま」こと久間田琳加。10月から『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)のシーズンレギュラーとして生放送のバラエティに挑戦したほか、『ウケメン』(フジテレビ系)、『ジョブチューン』(TBS系)、『EXITV』(フジテレビ系)、『パズドラ』(テレビ東京系)、『ガールズクラフト』(NHK Eテレ)、『林先生の初耳学』(MBS・TBS系)などに出演した。

さらに、今月12日から「フジテレビの花形である土曜8時の放送を目指す」というコンセプトの新番組『Do8』がスタートし、「りんくま」は、3時のヒロイン、ぺこぱ、四千頭身の芸人3組とともに出演が決定。芸人ではない唯一のキャラクターであり、期待の大きさがうかがえる。

「ワイプ」でも際立つ満面の笑み

ではなぜ「めるる」と「りんくま」は今、バラエティで期待されているのか。冒頭に挙げたように「スポンサー受けのいい若年層視聴者を集めるため」であることは間違いないが、それならば他の10代タレントでもいいだろう。

「めるる」と「りんくま」が選ばれているのは、まずそれぞれ『Popteen』『Seventeen』のトップモデルであることが挙げられる。人気の高さはもちろん、カメラで撮られることに慣れているため、よく「テレビ映えする」という声を聞く。全身、半身で撮られたときの佇まいはもちろん、常に満面の笑みを視聴者に向けられることが大きい。

たとえば、ワイプ画面での彼女たちの笑顔は、他のタレントと比べても際立って印象的であり、楽しげなムードを醸し出すことができる。つまり、「そこに佇んでいるだけで番組や共演者をさりげなくアシストできる」とみなされているのだ。

加えて「めるる」も「りんくま」も、ほどよい天然キャラであり、MCのツッコミによって軽めのボケが引き出されることで、お客さん状態ではなく出演者として存在することが可能。このあたりの満面の笑みと、ほどよい天然キャラは、かつての小島瑠璃子、少し前では藤田ニコルと池田美優を思い起こさせる。

ただ、その小島瑠璃子は26歳、藤田ニコルも22歳、池田美優も22歳と、実績と経験を得て次のポジションに移っているため、バラエティの現場としては「下の世代がほしい」ところ。「それは知らない」「これが流行っている」など10代目線のリアクションは、大人にとって新鮮なものであり、同世代から見たらテレビの中で数少ない共感できるものとなる。

バラエティ勝負か、女優業本格化か

バラエティ慣れした他の先輩タレントたちと並び立つことで、どうしても「トークが下手」「芸がない」などと揶揄されることも少なくないが、彼女たちに求められているのはそこではない。

むしろ、「中途半端にトーク力を見せようとする」「無理やり芸を作って披露する」という若手タレントのほうが作り手にとってはやっかいであり、共演者に気をつかわせてしまいがち。その点、彼女たちは「華のある佇まいと笑顔を見せる」「ほどよい天然ボケがにじみ出る」という求められた役割をこなしているのだ。

また、「めるる」「りんくま」というキャッチーかつ、共演者も視聴者も親しみを込めて呼びやすいニックネームも起用理由の1つだろう。藤田ニコルの「にこるん」、池田美優の「みちょぱ」がそうだったように、「めるる」と「りんくま」も最初こそ違和感があっても浸透していくはずだ。

「めるる」は、指原莉乃、いとうあさこ、若槻千夏、ファーストサマーウイカ、池田美優、3時のヒロインとともに、バラエティ巧者の女性タレントだけを集めた『トークィーンズ』に起用されるなど、すでに安定したポジションを得た。また、12月1日発売の『Popteen 2021年1月号』で専属モデルを卒業し、さらなるバラエティでの活躍が期待されている。

一方の「りんくま」は、『Seventeen』の専属モデルを務め、バラエティへの出演も増やしながら、現在放送中の『マリーミー!』(朝日放送・テレビ朝日系)で連ドラ初出演ながら主演を務めている。『Seventeen』には、北川景子、榮倉奈々、桐谷美玲、波瑠、新川優愛、森川葵、中条あやみ、広瀬すず、永野芽郁など、女優業を本格化させていった先輩が多いだけに、「りんくま」もこちらに続く可能性はあるだろう。

バラエティ中心で勝負するのか、マルチタレントを目指すのか、女優業を本格化させていくのか。いずれにしても、彼女たちに対する業界関係者の「テレビの新たなスターになってもらいたい」という思いは、視聴者が思っている以上に大きい。

  • 木村隆志

    コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、インタビュアー。ウェブを中心に月30本程度のコラムを提供し、年間1億PV超を記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。著名人専門インタビュアーとしても活動している。主な著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

  • 写真共同通信社

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