気軽なリツイートが犯罪になるか否かの「ボーダーライン」 | FRIDAYデジタル

気軽なリツイートが犯罪になるか否かの「ボーダーライン」

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「罪に問われるのは、最初に書き込んだ人だけではありません」

SNSでいわれのないことを書かれ、それを拡散されて迷惑をこうむった人が、最初に書いた人だけではなく、拡散した人たちも訴える事例が続いている。リツイートした人も最初に書いた人と同じ罪になるのだとか。どんな場合に罰せられるのか。荒井哲朗弁護士に聞く。 

軽い気持ちでのリツイートが…(写真:アフロ)

誹謗中傷コメントの書き込みで逮捕の可能性

2020年5月、プロレスラーの木村花さんが亡くなった。SNS上で誹謗中傷を受けていたことが原因とされ、これがきっかけとなって、SNSなどのコミュニケーションサービスやアプリなどを展開するネット事業者は、SNS上の課題への対応を迅速化し、取り組みを強化するためにソーシャルメディア利用環境整備機構を設立。

SNS上での嫌がらせや名誉毀損などを禁止事項として利用規約に明記し、こうした行為を発見した場合、利用停止などの措置を徹底するとした。

法整備が進むにつれ、事件化されるものも増え、総務省の調査によると、2019年のインターネット上の人権情報に関する人権侵犯事件は1985件。総務省が運営する違法・有害情報相談センターでは平成22年度から相談を受け付けているが、令和1年度の相談件数は、受付を開始して9年で約4倍にも上っている。

法務省の人権擁護機関が新規に救済手続を開始した事件のうち,インターネットを利用した人権侵犯事件数は,高水準を維持している(法務省HPより)

2019年、がん闘病中の堀ちえみさんのブログに「死ね」「消えろ」などという言葉を何度も書きこんだ主婦が、2020年6月に警視庁から脅迫容疑で書類送検されたりもしている。

荒井弁護士によると、SNSへの誹謗中傷のコメントの書き込みで、訴えられ罪に問われる可能性が高いのは、「名誉棄損罪」「侮辱罪(ぶじょくざい)」「脅迫罪」「偽計(ぎけい)業務妨害罪」だという。

「名誉棄損罪」とは、社会的地位や名誉を低下させるような書き込みで、刑法230条では「3年以下の懲役、もしくは禁固、または50万円以下の罰金に処する」と定められている。

「侮辱罪」とは、相手を侮辱した場合に成立する犯罪で、「デブ」「ブス」「バカ」「仕事ができない」などがこれに当たる。侮辱罪が成立すると、「30日以内の拘留、または1万円以下の科料(とがりょう)に処する」と定められている。

「脅迫罪」とは、相手の生命や身体、自由や名誉、財産などに害を与えることを書き込んだ場合に成立する罪で、堀ちえみさんのブログに書き込まれたように、「死ね」「殺してやる」「家に放火してやる」などと書くと、実行に移さなくても脅迫罪が成立し、「2年以下の懲役、または30万円以下の罰金」に処せられる。

以前ニュース等であおり運転をしたとして、無関係の女性の名前や、経営する会社がネット上に流され、会社に電話がジャンジャンかかってきたということがあった。「偽計業務妨害罪」とは、このように事実でないことを書き込み、会社の信用を傷つけたときに適用される罪で、「3年以下の懲役、または50万円以下の罰金の処する」とされている。

“いいね”と、リツイートの違いは?

「罪に問われるのは、最初に書き込んだ人だけではありません。リツイートした場合も、改めて自分が発信するわけですから、犯罪として成立し得ると思います。その場合、最初に書き込んだ人より若干軽い罪になることはありうると思います。

コメントつきでリツイートする人も多いと思いますが、そのコメントがツイートに同調するようなものであればより重い罪に問われるでしょう。同調するコメントを付けないリツイートより悪質性の高い行為になりやすいので、最初に書き込んだ人よりも重い罪になることも考えられます」(荒井哲朗氏 以下同) 

「へえ~、知らなかった。みんなに教えてあげよう」と、軽い気持ちでリツイートしても、犯罪になるというのだ。

ただ、「いいね」だけを押した場合は、それで犯罪になるとは、あまり考えられないと、荒井氏は言う。

「『いいね』は、『読みました』という意味で押す場合もある。自ら拡散をするリツイートと違って、通常の場合は犯罪にはならないと思います」

リツイート、書き込み、「いいね」に関しての罪の軽重は、ニュースサイトの記事に関しても同じ。記事に関しては、しっかり裏付けをとったうえで書かれていると思うけれど、

「万が一、その記事が訴えられて罪が問われた場合、リツイートしたり、同調するようなコメントを書き込んだ人も罪に問われます。自分で裏付けがとれないことを鵜呑みにするべきではないということです」 

アメリカ大統領選では、デモを巡るトランプ氏の投稿ツイッターが「攻撃的」と非公開になったというニュースも(写真:アフロ)

ネットでの発言は、面と向かって言っているのと同じ

加害者にならないためには、どのようなことに気をつけたらいいのだろうか。

「たとえば一般の社会では、差別的なことを面と向かって言ったらダメですよね。同じように、面と向かわなくても、第三者に『あの人、○○なんだって』と言ってもいけませんよね。コメントを書いたり、リツイートするということは、そういうこと。

ネットだからと気楽に書いてはいけない。ネットのほうがより広がるという面もあります。ネットに書くのも、実際に相手に言うのも同じなんだということを認識して、しっかり判断することが大切だと思います」 

匿名だと安心しているかもしれないが、現在、通信プロバイダ会社等に通信記録を一定期間保存させることも検討されている。さまざまな問題が表面化するにつれ、取り締まりも強化されてきている。

「これはみんなに知らせなくてはいけない」という“正義感”からネットに書き込む人も多いと言う。匿名の気安さもあるかもしれない。けれど、発信者を特定することは簡単だという。情報は責任をもって発信したい。

荒井哲朗 弁護士。早稲田大学卒業。平成13年弁護士登録。東京弁護士会消費者問題特別委員会委員長、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員、先物取引被害全国研究会東京代表、全国証券問題研究会幹事など、さまざまな役職を務める。著書に『実践先物取引被害の救済』(民事法研究会)など。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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