50歳で現役もいる…!相撲界で高齢力士が重宝されるワケ

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50歳を過ぎても現役の華吹(中央)。髪が薄くなり髷をゆうのも難しいという。19年5月撮影(画像:共同通信社)

11月場所で、2年ぶり二度目の優勝を飾った大関・貴景勝(24)。幕内では、休場が続く白鵬(35)や鶴竜(35)の両横綱に代わり世代交代が進んでいるようだーー。

だが幕下以下では、年齢など関係ない。40歳以上の力士がゴロゴロいる。

「現役最高齢力士は50歳の華吹(はなかぜ)です。番付は東序二段101枚目。34年前の86年1月場所が初土俵で、師匠の立浪親方よりデビューが1年早いんです。幕下を中心に、40歳以上の“高齢力士”は多いですよ。現在は華吹をはじめ15人います。00年代以降、特に増えましたね。トレーニングのやり方や治療法の改善で、大きなケガが少なくなったのが要因の一つでしょう」(相撲協会関係者)

なぜ下位に大ベテランが多いのだろうか。

「自分より実力のある力士が、大勢いることを知るからでしょう。決して稽古をサボっているわけではありませんが、若い頃持っていた『上位に昇ってやる』という情熱が薄らいでしまうんです。力士に定年はありません。引退は基本的に本人しだい。成績が悪くても現役を続けられるんですよ。

05年の3月場所で40歳で引退した安芸旭(最高位は東序二段18枚目)は、朝8時過ぎからの幕下の取組に勝つと、こう言って周囲を笑わせていました。『(対戦相手の)あの若造は、オレに負けるぐらいだから出世の芽はないな』と」(スポーツ紙担当記者)

ちゃんこが不味くなる

40歳を超えても引退しないのには、本人の気持ち以外の理由もある。

「角界を去った後の働き先が決まらないケースです。幕下以下は給料がもらえないので、蓄えがなく辞めても自立できない力士もいます。力士は国技館内の医療施設を無料で利用できる。カネのない高齢力士は、風邪を引いたりするとよく国技館に通っています」(同前)

いくら本人しだいとはいえ、結果が出ていなければ部屋での居心地も悪いだろう。周りは一回りもふた回りも年下の人間ばかり。他の競技ならば戦力外通告、または指導者から引退を勧められたりする。だが意外にも、高齢者力士は重宝がられているという。

「番付が下位で取組が早く終わる力士は、夕食の準備のため『ちゃんこ番』を担当することが多い。高齢の力士たちは、長年ちゃんこ番を務めています。辞められたら、味が落ちてしまうんです。所属力士に美味い料理を食べさせ元気づけるために、部屋では欠かせない存在なんですよ。

新弟子の相談相手にもなっています。相撲界には、他の社会にはない独特の風習やしきたりがある。親ほど歳の離れた兄弟子の言うことなら、若い人間も素直に聞くでしょう。長年相撲界にいるので、報道関係者の知り合いも多くいます。マスコミ対応などをすることもあるんです」(前出・相撲協会関係者)

出世を諦めた大ベテランたちは、部屋のお荷物などではない。料理人、若手の相談役、マネージャー……。土俵を離れても、彼らしかこなせない重要な仕事が山ほどあるのだ。彼らはある意味では、相撲の世界の厳しさと優しさを示す存在…ともいえるのかもしれない。

  • 写真共同通信社

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