朝ドラ『おちょやん』出演天才子役たちのスゴ過ぎる芸歴
杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本など主演俳優陣が舞台にズラリとそろい、「今回の物語は……」という口上とドタバタ劇で始まった朝ドラ『おちょやん』。
「最初の2週間だけやけど、一所懸命やらせてもらいます」と一発かました、千代の子供時代を演じた毎田暖乃(まいだ・のの)は、その言葉通り圧倒的な存在感でドラマを楽しませてくれた。
特に第2週は、千代の人生を大きく変える人たちとの出会いが描かれ、それに伴い名子役たちが次々と登場! そんな子役たちのプロフィールを交えながらドラマを振り返ってみよう。
コテコテの大阪弁と表情の圧がすごい! 千代役・毎田暖乃
「あほんだら!」「われ、ボケぇ!!」とドスの効いた河内弁で父テルヲ(トータス松本)をどやしつけ、アドリブで蹴りまで入れてみせる威勢の良さで、第1話から視聴者の度肝を抜いた毎田暖乃は、なんと演じた千代と同じ9歳の小学3年生!
約500人が参加したというオーディションでは、課題のセリフを聞いた製作陣が「あ、千代だっ!」と瞬時に思い、全員一致で決定したという。実は朝ドラへの出演は初めてではなく、『スカーレット』で照子(大島優子)の長女・雪子を演じており、役によってこんなにも印象が違うのかと、早くも“大女優”の片鱗を見せている注目株なのだ。
第1週「うちは、かわいそやない」では、酒や博打に溺れまともに働かない父をどやしながらも、稼業である鶏の世話や家事をこなし、2つ下の弟ヨシヲの世話する、健気な千代を熱演。その日の食べ物にも困る苛酷な状況を知り、同情する隣家の大人に対して「かわいそやない!」ときっぱり断言したり、意地の悪い継母の栗子(宮澤エマ)に追い出される形で奉公に出された際に、「うちは、捨てられたんやない。うちが、あんたらを捨てたんや!」と父に向かって大声で叫んだりと、パワフルな演技で千代の“強さ”を見事に表現した。
ところが第2週後半では、威勢の良い態度が一変。故郷の隣人だった小林から、父が夜逃げしたことを聞いてすっかり打ちひしがれ、父を亡くして泣く天海一平(中須翔真)につられて泣き出したりと、涙涙の展開に。大切なお遣いを果たせなかったことで奉公先の芝居小屋「岡安」をも追い出されて、行くあてもなく雨に濡れそぼる姿には、胸を締めつけられた。
幸いにも「岡安」の先代女将のハナに保護されて、奉公先に戻ってきた千代は、現女将のシズ(篠原涼子)に自分の辛い生い立ちを打ち明け「うちを助けてください!」と素直に頭を下げることができ、晴れて“岡安のおちょやん”に。
第3週以降の物語は、それから8年後という設定でスタート。毎田からバトンを受け取った杉咲花が、千代を演じる。
個性豊かな芝居茶屋の面々
第2週「道頓堀、ええとこや〜」では、千代の今後の人生に影響を与える人物が、次々と登場した。
まずは、千代が奉公する芝居茶屋「岡安」の一人娘のみつえ。気位の高いお嬢様を演じる岸田結光は、実は朝ドラの常連! 『あさが来た』をはじめ、『べっぴんさん』では美幸(星野真里)の娘・小雪役を、『わろてんか』では風太とトキの娘・飛鳥の少女期を演じたほか、舞台やCMにも多数出演し、着実にキャリアを積み上げている実力派。
岸田は毎田の2つ上で、11歳の小学5年生。つぶらな瞳とあどけない笑顔がなんともかわいらしく、幼なじみの一平へ好意を寄せるちょっぴりおませなみつえを好演した。千代とは、一平を巡って一悶着が起きそうな予感もあり、成長後のみつえを演じる東野綾香の演技が楽しみ。
そのみつえが想いを寄せる “喜劇界のプリンス”一平役が、『スカーレット』で川原武志(伊藤健太郎)の子ども時代を演じた中須翔真、9歳。一平は、道頓堀の人気喜劇一座「天海一座」の座長・天海天海(茂山宗彦)の息子だ。すでに子役として舞台に上がり、人気者になっていた一平だが、自ら望んでのことではないと、仮病を使って舞台をサボる曲者でもあった。
中須は、舞台から降りれば酒と女に溺れ、学校にも通わせてくれず、巡業に連れ回し続けた父を恨みつつも、いざ失ってみると寂しさや悲しさで混乱する一平の繊細な心の動きを見事に表現。成長後の一平を演じる成田凌と雰囲気が似ていてかわいいと、ネットでも話題になっていた。
最後は、「岡安」のライバル店「福富」の後継ぎ息子・福助。みつえに“アホんだら”呼ばわりされ、「俺のことかい!」とおとぼけ風につっこむ演技を披露した松本和真は、12歳の小学6年生。朝ドラは、『マッサン』(宮下カズオ役)、『べっぴんさん』(小山小太郎の子ども時代)に続いて3度目となり、『科捜研の女』シリーズなどドラマにも出演している。
成長後は井上拓哉が演じ、茶屋の仕事よりもトランペットに夢中という、なんとも頼りない跡取り息子になるという。 店同士はライバル関係だが、みつえとは良好な仲にあるので、千代やみつえとどう関わってくるのかが楽しみだ。
寂しくキツイ思いをしたけれども道頓堀で芝居に出会い、すっかり夢中になった千代は、「岡安」で働きながら、仕事の合間に舞台を覗き見するのが楽しみな女性に成長する。
さらに年季明けを迎え、自由の身になる第3週「うちのやりたいことて、なんやろ」で、千代は大きな選択を迫られることに。でもなんとなく、なんだかんだで千代なら大丈夫だろうと感じるのは、2週間威勢の良い河内弁を聞かせてくれた毎田の存在が大きい。また別の作品で逢える日が楽しみだ。
- 取材・文:中村美奈子