「恋愛トークのプロ」小沢と徳井が結婚について本気で思うこと

BSフジ『恋愛マルシェ』はここがすごい

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あえて、ただ「話す」だけの恋愛番組

80年代の『ねるとん紅鯨団』、90年代のトレンディドラマ群、00年代の『あいのり』、10年代の『グータンヌーボ』『テラスハウス』――。フジテレビの歴史を振り返るとき、移りゆく時代のときどきで、恋愛コンテンツの名作を生み出してきたことがわかる。

そのフジテレビが今年の秋から、衛星波のBSフジにて、『恋愛マルシェ』という恋愛心理バラエティーを放送している。2019年春に始まった前身番組『ビニールハウス~恋愛促成栽培~』同様、小沢一敬(スピードワゴン)と徳井義実(チュートリアル)がMCを務め、ゲストとともに今の時代の恋愛について語る――というシンプルな内容だ。

なぜ、いまあえて“話すだけ”の恋愛コンテンツを作ろうと思ったのか。番組を企画・制作したBSフジ編成局編成部企画担当部長・谷口大二氏が答える。

「『ビニールハウス~恋愛促成栽培~』の開始当初は、美男美女の恋愛リアリティーショー『テラスハウス』が目を集めていました。一方、現実は少子化・未婚率の上昇など、いわゆる『草食化』が進行していて、もう少しシンプルに恋愛そのものについて語る番組をつくれないかと思っていました。

そこで理想形である『テラスハウス』へ出荷する前の段階――という意味で、『ビニールハウス~恋愛促成栽培~』と名付け、未婚のこじらせ40代コンビ・徳井、小沢の両氏にオファーしました。

『ビニールハウス』は、10~20代の若者の恋愛を後押しするというスタンスで番組をすすめていましたが、リニューアルした『恋愛マルシェ』(※マルシェ=フランス語で「市場」)では、ゲストの女性タレントの恋愛観をベースにしながら、よりBSの視聴者層に合った30~40代の現実的な恋愛の在り方を探っていきたいと考えています」

40代コンビの「リアルな恋愛トーク」

ドラマみたいな恋をする時代はとうの昔に過ぎ去り、かといって恋愛リアリティーショーのような「高嶺の花」にはなりきれない。現代の恋愛事情を未婚のこじらせ40代コンビが紐解いていく姿は、リアリティーショーとは違う「リアル」があって面白い。徳井・小沢両氏も、その「リアル」を楽しんでいるようだ。二人がこの番組にかける意気込みを語る。

徳井「昔はキュンキュンするために恋愛コンテンツを見ていたのが、最近は『テラスハウス』を筆頭に、『こういうところが嫌なんだよね』みたいなイヤ目線で恋愛コンテンツを見る傾向に変わってきているように感じますね。“する”ものから“観察する”“考える”ものに、恋愛が変わってきているというか」

小沢「恋愛ドラマが盛り上がっていた時期がいつだったかなって考えたとき、バブルの頃だと思うんですよね。恋愛とお金はすごく似ていると思っていて、お金も大切だけどお金が一番になったら人生を間違えてしまう。恋愛もそうじゃないのっ?て。ないとしんどいけど、持ちすぎるとまわりが不幸になることも、恋愛とお金の共通点」

人気芸人でありながら、ともに独身男性。同期という関係性で、プライベートでも仲の良い二人だからこそ、肩ひじを張らずにトークが転がっていく。「語っているつもりはなくて、喋っているだけ」。そう二人は笑う。

徳井「僕らが結婚していたら、いろいろ喋ったところで、『とはいえ結婚ってそういうもんだから』ってなってしまうけど、していないからこそ好き勝手なことを言える」

小沢「そうそう。着地してないからね、我々は。ずっと落下中。ワーーッて騒いでいる感じを楽しんでほしいなぁ」

『恋愛マルシェ』では、ご意見番として“恋畑耕作”なる番組マスコットキャラクターが登場する。1980~90年代にフジテレビで数々の恋愛ドラマを手掛けていた敏腕制作マン…としか明かされていないが、恋愛がまぶしいものだった時代を知る耕作さんの証言を聞くと、ずいぶん様変わりしたことを痛感する。

小沢「部室で二人で喋っていたら、『お前らまだそのステージにいるの?』と先輩に話しかけられる…耕作さんの存在は、そんなイメージですよね。若い子にとっては俺らが先輩だろうし、我々にとっての先輩が耕作さん」

また、トークに特化するからこその、この番組の魅力について徳井は、「シンプルな構造だからこそ本音で言えるところはありますね。他の番組やったら口にしないことを、『恋愛マルシェ』だったら言えるし、言いたい。案外、恋愛系の番組って本音が言えてないと思うんですよ」と教える。

だからといって、説教くさくなることはない。さながらそのやり取りは、ラジオを彷彿とさせるほど軽妙で洒脱。むしろ、最大公約数に合わせるようなかしこまったコンテンツの方が説教くさくなってしまいがちだ。

小沢「恋愛系の番組って、正論を言ってほしいみたいなところがあるよね。飲み心地の良い水を出してほしいんだろうけど、俺たちは沈殿物がある状態の水しか出せない(笑)」

地上波と違いBSならではの利点もあるという。

徳井「恋愛バラエティを作るとなると、年齢層や男女比などを考慮して、バランスのいいキャスティングになると思うんですけど、BSということもあって、この番組は偏り切っている(笑)。結婚せえへん人が増えていることが問題なんだとしたら、その当事者がMCをやっているわけですから」

「偏っているからいいんだよね」と小沢もうなづく。

小沢「恋愛においても偏った意見があってもいいと思うの。みんなまともぶっているけど、意外とまともじゃないんだよって」

徳井「収録だって、スタジオとは言えないようなリハ室でやっているくらいですからね。でも、楽屋みたいな雰囲気で話せるから、ゲストも思い切ったことを話してくれやすい。豪華なセットが組まれると構えてしまうところがあるけど、これくらい素朴だからこそ引き出せるものもあるんかなと」

数々のドラマを作ってきた耕作さんも、YouTube などがある中で、テレビでラジオ的なトーク番組をする意味は大きいと話す。

「ドラマが絶好調と言われていた当時から、“ながら視聴”というものがあって、どうやって耳に届かせるかが大事だった。何かのきっかけでドラマを見せなくてはいけないから、見せ場で主題歌を流すという演出を取り入れていたわけです。音楽がかかると、ながらをしていた人が面白い展開が始まるのかなと注目して、ドラマを見てくれる。スマホをずっと見ている今とそんなに変わらない。

関心を引くためにいろいろな仕掛けをしてきましたが、実はきちんと話をするほうが人間って聞いてくれる、注目してくれるところがあると思うんですよね。そのときに、話している人の表情が見えることがテレビの強み。本音で話しているのか、照れながら話しているのか、そういったことが伝わるのがテレビですよね」

テレビでシンプルに話をする場合、「誰が話をしているかが重要」とも歴戦のテレビマンは付言する。

徳井「それこそ恋愛を語るなんてのは誰でもできるし、テレビじゃなくてYouTube でもできること。そう考えると、成立させてしまう小沢さんは、やっぱりすごい人やなと」

小沢「そうやって俺に背負わすところがあるよね!?悪いところだと思うよ」

フジテレビの恋愛コンテンツへの取り組みが、耕作さんを介して垣間見える様子も面白い。異なる時代の恋愛のレイヤーが浮かび上がってくる、まるで恋愛の考現学。「自虐ネタを持っている人が一番モテるんですよ」とは、耕作さんからのアドバイスだ。

耕作さん「気取った人たちと一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだりしたところで、胸襟を開く人なんていない。この二人は自虐の宝庫だから、ゲストも話しやすいやすいんだと思う」

小沢「なるほど。しかも、徳井君はこの一年で自虐が増えたからね!」

徳井「ごぼう抜きしてしまい……。申し訳ございません」

『ビニールハウス~恋愛促成栽培~』の放送から数えると、1年半以上恋愛について語ってきたことになる。リニューアル以降は、ゲストとして登場した野呂佳代、芹那、最上もが、重盛さと美らに、未婚のこじらせ40代コンビが、面白いように振り回されている。

徳井「恋愛については、今の時代のほうが話すことが多いかもしれないですね。昔やと、結婚することが当たり前だったでしょうけど、今はいろんな選択肢がある。その分、話すことも増えていると思います」

耕作さん「昔、会社で『結婚してる人と結婚していない人、どっちが出世するか?』という話をしたことがあったの。そのとき上司に言われたのが、『結婚してる人間だろう。人生の決断をできない人間が、仕事の決断をすることはできない』と。でも、今は『しない』という決断もある」

小沢「そう! 逆に言うと、結婚した人は悟った人かもしれないわけで。恋愛って、誰かの恋愛の話、自分の恋愛の話をしたところで、何も参考にならないからすごいの。過去の恋愛は何も参考にならない」

徳井「恋はいつでも初舞台ね。小沢さん、よく言ってるもんね」

小沢「うん。本やSNS を見ていると、『これが正しい恋愛だ』『これが幸せである』みたいなことが書かれているけど、幸せを演じている人は多いけど、本当に幸せな人かどうかは分からないと思うの。だから、誰かと比べないことだと思うんだよね。SNS でいいねされる人生が正しい人生だとは思わない。――急に真面目なトーンで話すのが、小沢スタイル」

恋愛に対して憶病になっている人、結婚に二の足を踏んでいる人、そんな人たちに「どんなメッセージをおくりますか」と尋ねると。

徳井「人類誕生からあった価値観とは別に、誰かが決めた価値感もあるわけで、それにとらわれるのは違うんちゃうかなと。今の僕がいうと変な感じに聞こえてしまって申し訳ないんですけど、恋愛に関してぐらいは、みんな自分らしくあってほしい」

小沢「大勢でカラオケに行ったとして、自分が入れた曲のあとに、他の誰かが気付かないうちにたまたま同じ曲を入れてしまった……。『あの子が歌うんだったら』って、自分からそっと被っている曲を消せるような、そんな繊細な人にこそ『恋愛マルシェ』を見てほしい」

徳井「すいません、小沢さん。わかりません」

「ただ喋っているだけだから。伝えたいことは何もないのよ」と笑い飛ばす。その姿を見ると、『もうちょっと偏ってみてもいいのかも』なんて思える人が、きっと増えるに違いない。

 

「恋愛マルシェ」はBSフジで毎週日曜 午後10:30~11:00 より放送中!

  • 取材・文我妻弘崇撮影丸山剛史

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