ついにジャニーズ事務所も動いた芸能界「薬物検査」事情と問題点
暗い影の解決に動いた
12月15日発売の「女性自身」は、11月末にジャニーズ事務所が自主的にタレント全員に対し薬物検査を実施したと報じた。立会人監視の元で厳正な検査を行い、今後は半年に1度をメドに検査を行っていくと言う。
昨今の芸能界といえば、薬物問題に揺れてきた。
‘19年にはピエール瀧、沢尻エリカが。今年に入っても、槇原敬之や伊勢谷友介らが逮捕・起訴されている。
芸能界に暗い影を落とす薬物問題。ジャニーズ事務所とて他人事ではなかった。
「事務所を辞めていたとはいえ、‘17年には元KAT-TUNの田中聖が大麻取締法違反容疑で逮捕(その後、証拠不十分で不起訴処分に)。同じく元KAT-TUN田口淳之介が、‘19年に恋人の小嶺麗奈と共に逮捕されています。古くは、光GENJIの赤坂晃が覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕され、翌日に事務所を解雇されたことがありました」(芸能レポーター)
そんな中で報じられたジャニーズの“自主的”薬物検査。テレビ局やCM業界からは好感を持って迎えられているようだ。
「CMなどに起用したタレントが薬物事件などを起こせば、それこそ莫大な違約金が発生する。当然、プロダクション側としても大損失です。ですが、スポンサー企業や広告代理店側だって、スキャンダルは迷惑そのもの。予定していた販促キャンペーンが行えなかったり、ポスターなどの印刷物を貼りかえたりするなど、莫大な手間がかかりますからね」(広告代理店関係者)
また、ここにきて目立つようになって芸能事務所からの独立問題。それらも微妙に影響しているという。
「やはり、タレントが芸能プロダクションに所属する意義はなんだろうというのを、事務所の経営者側が真剣に考えだしたということでしょう。つまり“この事務所に所属している人は、薬物にはクリーン”というイメージは、タレント本人にも有利に働くワケです。個人事務所では“自分で検査しています”といっても、そこまで信頼感は得られないですからね。スキャンダルに敏感になっている現代だからこそ、差別化を図れるということでしょう」(テレビ局関係者)
ジャニーズ事務所と良好な関係を築いてきた女性週刊誌がこの取り組みについて“書いた”というのも、その辺の狙いがあったのかもしれない。それでも、検査していれば問題は解決という訳ではない。新たなジレンマも生じている。
「表立って発表はしていませんが、大手芸能プロダクションの中には、すでに薬物検査をしているところは何社かありますよ。ただ、大きな問題も残っている。もし、薬物検査で陽性のタレントが出た場合にどうするかということ。
警察に通報するのか、それとも世間に黙って解雇するだけなのか――。
正直、事務所サイドもこれには頭を抱えていますよ。アメリカのように、自ら薬物使用を公表し、治療に専念するということが日本ではなかなか理解を得られていない。検査するだけでなく、陽性が出た場合の対応についても、芸能界の中でガイドラインのようなものが必要になってくるのでは。
“公表→治療”という流れが進み、医師がOKを出せば仕事に復帰できる。芸能界が進んでそれを行うことで、薬物治療に対する社会全体の考え方が変わるきっかけになればいいが……」(芸能プロ関係者)
臭いものにフタをするだけでは、何も解決しない。薬物治療の問題を芸能界から変えることが出来れば、社会全体に与える影響は大きい。ジャニーズ事務所をはじめとする、芸能界全体の英断を期待したい――。
- 取材・文:荒木田 範文(FRIDAYデジタル芸能デスク)
- PHOTO:桑田 真