冬でも食べたい「オールシーズン冷やし中華」の世界 | FRIDAYデジタル

冬でも食べたい「オールシーズン冷やし中華」の世界

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ラーメン・エディター佐々木正孝氏おすすめの都内4軒!

冷やし中華はじめました――こんな貼り紙で夏の訪れを知る人も多いだろう。蒸し蒸しした夏に啜り上げるサッパリした味わいはたまらない。しかし、ちょっと待った。このクール麺は夏に限った名物ではない。通年で「冷やし中華」が食べられる、知る人ぞ知る名店を紹介しよう。

冬でもイケる! 無国籍でもしっかり冷やウマ冷やし中華専門店 HiyaChu(吉祥寺)

日本記念日協会に登録されている「冷やし中華の日」は7月7日。二十四節気のひとつ「小暑」に当たることが多く、夏らしい暑さで冷やし中華がおいしい季節になるからだという。

ところが、この「HiyaChu」は2019年2月4日、寒さも厳しい「立春」の日にオープン。

現在は吉祥寺のレストラン「Dameopataka」の間借り営業というスタイルだが、冬でもメニューは冷やし中華オンリーで勝負! 酸味がきいた「ブラックビネガー」、パクチーと花椒が爽やかな「グリーンソース」を主軸に「ウニクリーム」「キャビア」などの限定メニューをラインナップしている。

「ブラックビネガー」(800円)。クリアな丼が冷涼感をかきたてる!/冷やし中華専門店 “HiyaChu”ひやちゅう

さっそく、「ブラックビネガー」をいただこう。クリアで涼やかな器に、彩り鮮やかな具材が映える。黒酢をベースにしたソースはマイルドな酸味ながら、ニンニクやショウガもきいてパンチがある。歯切れのよい麺によくからみ、絶妙なタレ感がウマっ! きゅうりやレタス、紫玉ねぎ、オクラなど、たっぷりの野菜と混ぜ混ぜし、ドレッシング感覚でいただける。オリジナル薬味のツナチャツネを少しずつ混ぜていくと……コクのある風味でスパイシーな味変化。飽きることなく、完食まで一気通貫だ。

創作麺のようなルックスには驚かされるが、黒酢ダレにマッチする中華麺、ワカメといったおなじみのパーツを味わえば、しっかりと「冷やし中華」の満足感。クラシカルなメニューを2020年代モードに再構築した一杯と言える。

しかし、ラーメン店がワンサカある東京でも、冷やし中華専門店はかなり珍しい。ということで、店主を直撃してみた。こちらは、もともとカフェバーの店長を務めていたという三浦直子さん。「ハワイで店を出したい」という思いから、常夏の国向けの業態として冷やし中華を開発。ニューヨークのポップアップスペース「Ramen Lab」に3年連続で出店し、手応えを得て日本へ逆輸入オープンを果たした。ハワイへの出店を構想しつつ、オールシーズンで楽しめる冷やし中華の確立を目指しているという。

「私自身は酸っぱい冷やし中華が苦手なんです(笑)。かといって、ゴマダレタイプはゴマの風味が支配的になっちゃうし……野菜、さまざまな具材を自由にトッピングして楽しめるのが冷やし中華の魅力です。ココナッツ坦々やウニクリームなど、さまざまなソースを合わせながら、いつでも楽しめる冷やし中華を提案していきたいですね!」(三浦直子さん)

冷やし中華専門店 “HiyaChu”ひやちゅう 東京都武蔵野市吉祥寺本町3-10-2 1F(DA・MEO・PATAKA内) 営業時間:11:30~15:00(LO.14:30) 定休日:月曜日(2000年内は休業。2021年は1月5日より営業) アクセス:JR吉祥寺駅より徒歩8分

これぞ元祖! ルーツを感じる五色涼拌麺:揚子江菜館(神保町)

冷やし中華の最新進化系を満喫したら、原点の底力も体感してみたい。ってことで、1906年(明治39年)創業のこちらへ。1933年(昭和8年)に考案された「五色涼拌麺」は通年でオーダー可能。これぞ元祖冷やし中華の気概を感じるメニューだ。

「五色涼拌麺」(1540円)。シックな盛りつけが本格中華料理店の趣/中国料理 揚子江菜館

富士山のような立体的な盛りを構成するのはキレイに整えられた細切り具材群。錦糸卵の黄色やエビのオレンジ、きゅうりの緑が映える中、艷やかに澄んだツユも食欲をそそる。麺はつるつるのど越し絶佳の卵麺。全体的な味わいでは甘みと酸味が印象的で、キンキンに冷やしていないのにインパクトあり。トッピングと麺、ツユも徹底ミックスして平らげたい。

中国料理 揚子江菜館 東京都千代田区神保町1-11-3 営業時間:11:30~22:00 定休日:無休(年末年始のぞく) アクセス:地下鉄各線・神保町駅より徒歩1分

酸味と辛みが融合! 町場の冷やし中華:江戸っ子ラーメン 珉亭(下北沢)

中華料理の伝統冷やし中華を満喫した後は、下北沢の路地へ。ここ『珉亭』は下北沢民に愛される大衆的な町中華。シンプルな味わいのラーメン、ピンクな彩りのチャーハンも絶品だが、こちらも通年で冷やし中華を提供。しかも「冷やしそば」「ねりごま冷やし」「冷やしじゃじゃめん」など、5種のバリエーションを展開しているから見逃せない。

「冷やし江戸っ子」(990円)。つるりとした細麺にすっきりツユが合う!/江戸っ子ラーメン 珉亭

こちらは筆者がこよなく愛する「冷やし江戸っ子」。デフォルトの冷やし中華に、珉亭のオリジナル漬物「辣白菜(ラーパーツァイ)」を合わせた逸品だ。辣白菜はラー油の仕込みでピリ甘辛、爽やかなあとくち。シャキシャキした歯ごたえもたまらず、きゅうりやツルツル細麺、細切りチャーシューと渾然一体にして食べるのが最高。練からしで冷やし中華らしい味変化を楽しみつつ、ハイスパートで駆け抜けられる。辣白菜の魅力が牽引し、冬でも「瓶ビールが似合う」冷やし中華。カウンターに陣取り、町中華の雰囲気に浸りながら食らいたい。

■江戸っ子ラーメン 珉亭 東京都世田谷区北沢2-8-8 営業時間:11:30~23:30 定休日:月曜(祝日の場合は翌日) アクセス:京王井の頭線・小田急線下北沢駅より徒歩3分

器もキンキン、ノスタルジックな正統派冷や中:中華そば 萬福(銀座)

大正時代に屋台から始まり、東京ノスラー(ノスタルジックラーメン)の代表格として知られるこちら。やさしい味わいの「中華そば」が名物だが、常連が熱烈に支持して通年提供されている「冷しそば(醤油味)」も、ぜひ味わいたいメニュー。

「冷しそば(醤油味)」(990円)。銀座の老舗町中華らしい、端正なルックス/中華そば 萬福

受け取って驚くのが、ヒンヤリ冷やされた丼のクール感。常温に近いぬる冷えではなく、ツユも麺もキンキンの冷やし中華が、まさに老舗の心意気。低い構えにモヤシ、キュウリ、錦糸卵、チャーシューのトッピングを放射状に敷き詰め、紅ショウガをアクセントにちょこんと載せたビジュアルにもヤラれてしまう。

酸味とコクがほどよくきいたツユは正調・冷やし中華。麺と温度差がないのでよく絡み、箸がノンストップ。夏季には「冷しそば(とりごま味)」もメニューに加わって冷やし中華は二本柱になるが、オールシーズン冷やし中華を極めるなら、この一杯は外せない。

■中華そば 萬福 東京都中央区銀座2-13-13 営業時間:11:00~15:30(L.O.15:00)、17:00~22:00(L.O.21:30) 定休日:日曜、月曜の祝日 アクセス:東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅より徒歩3分

今回は東京の名店にフォーカスしたが、仙台や藤枝など冷やし中華の通年提供が当たり前のエリアも少なくない。さっぱり食べられて、麺・ツユ・具材の一体感を味わえるのが冷やし中華の魅力。夏の風物詩にとどめておくのはもったいない! 冬でも春でも冷やし中華を思う存分堪能しつつ、本格的な「冷やし中華はじめました」シーズンインを待とう。

※記事中の情報、データは2020年12月28日現在のものです。新型コロナウイルスの感染拡大により、営業時間・定休日が変更になる場合があります。

  • 取材・文・写真佐々木正孝

    1972年秋田県生まれ。キッズファクトリー代表。『石神秀幸ラーメンSELECTION』(双葉社)、『業界最高権威 TRY認定 ラーメン大賞』(講談社)、『ラーメン最強うんちく 石神秀幸』(晋遊舎)などのラーメン本を編集し、執筆では『中華そばNEO:進化する醤油ラーメンの表現と技術』(柴田書店)に参画。ラーメンを愛し、「ラーメンの探求マインドは変態であれ、振る舞いは紳士であれ」がモットー。

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