女性の貧困、性暴力に向き合ってきた自民党女性議員の問題意識 | FRIDAYデジタル

女性の貧困、性暴力に向き合ってきた自民党女性議員の問題意識

看護師出身の衆院議員・木村弥生が「女性・女の子に緊急支援」を訴える理由

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性被害、とくに教育現場での性犯罪防止にも力を入れる。「女の子の可能性を伸ばして、生きる力を応援したい」という

この悲鳴が、聞こえているか

コロナ禍に、生活の苦しさを訴える声がやまない。この声は、政府には届いていないのか。

自民党の「女性活躍推進特別委員会」が菅義偉首相に「緊急提言」を手渡したのは11月24日だった。そして12月4日、首相は就任後2度目の記者会見の冒頭、新型コロナ対策について語るなかで「ひとり親世帯への緊急支援」を約束した。年内にも実施の方向だ。提言の一部が実現する。

これまで、なにかと後回しになっていた女性、福祉の問題。女性の困窮、そして自死が目を覆うほどに増えているなか、さすがに看過できなかったのだろう。

この問題に取り組んでいる同委員会事務局長の木村弥生代議士はこういう。

「女性、とくにひとり親の問題は、ほんとうに深刻です。わたしは看護師としても窮状を見てきました。コロナ禍で、その困窮がよりいっそう深まっています。手をこまねいてはいられません」

困窮する女性の声は、届いているのか。女性が生きづらい社会は、誰にとっても生きづらい社会だ

「コロナ対応の中核に『女性・女の子』を」の理由

「子どもに食べさせるものがなくなった、という悲痛な訴えが届いています。もともと、女性は平均的に所得が低い。そのなかでのコロナショックで、女性の多い職場、小売や飲食などのサービス業が、大きなダメージを受けましたから。所得の男女格差を埋めなければならないんです。でも今、まずは現金。そして、継続して仕事をしていけるスキルの獲得です」

提言には「デジタル分野での就業を促す教育の機会」も盛り込まれている。

「手に職をもつこと。経済基盤をしっかりもつことは、女性だけでなく男性にも、誰にとっても必要だと痛感しています」

木村さんは、30代の後半に一念発起して勉強し直し、看護師の資格をとった。

「早くに結婚して、子育てをして、専業主婦だったんです。

これ以上結婚生活を続けるのは難しいと思っていたのに、自分が経済的に自立していないことで離婚を躊躇(ためら)っていた数年がありました」

子どもが高校生になったとき、離婚を決意した。

「不安でした。でも、看護という専門性の高い仕事をもったことで踏み出せたんです」

自民党らしくないと言われても、「社会的に弱い人」を助けなければ

「今日も、LGBTの民間団体の方のお話を聞きました。こういうことって『自民党らしくない』とか『カネにも票にもならないことに熱心だ』とか、よく言われますけど(笑)。黙っていられないんです」

2014年の総選挙のとき、木村さんは日本看護協会に勤めていた。看護界からの「候補」として推せんされて自民党北関東比例ブロック名簿下位の34位に名を連ねる。自民躍進によって「まさかの当選」。東京出身だが、2017年は京都3区に出馬、2度目の当選を果たした。

「父が政治家でしたが、苦労する母を見ていたので選挙も政治も大嫌いで政治家にはなりたくなかったんです。で、大学を出てすぐ結婚しました。けれども、40歳近くになって自立。気がついたら政治の世界にいました」

DVシェルターは「売春防止法」で対応の旧弊

性暴力やDV被害に苦しむ女性とも向き合ってきた。

「日本のDV対策はとても貧相です。シェルターはもともと売春防止法が法的根拠で、いまの時代にはそぐわない制度。虐待の問題も性暴力の問題も、支援が足りているとは思えません。現場からみたらどれも『冷たい』。女性や弱い人にとても冷たいと思います。

『女性活躍』の会合でヒアリングに呼ばれる民間の女性の方、みんなキラキラして、強くて眩しかった。それは素晴らしいことなんです。でもね、ほんとうにこの社会で『女性活躍』を実現するなら、まず、全体的な底上げ、今弱っている方たちの問題をなんとかしなければならないと思うんです」

「女性活躍」とは、女性がばりばり働いてハイヒールで颯爽と闊歩することではない。女性が人間として生きてゆく基盤をまずは整えることなのだ。

「選択的夫婦別氏制度は『自分らしく生きる』というひとつの形ですよね。結婚で改姓するのは96%が女性です。少子化で、一人っ子同士の結婚など実家の氏を大切にしたい人たち、現実に困っている人たちがいる。男女問わず、若い世代、『自分らしく生きたい』人たちが希望をもてるようにするのが、政治の役割だと思います」

自民党内での議論も深まり、党内保守といわれる議員の賛同も得られたと思ったら、「反対派」の声が俄然大きくなり、議論は大きく後退した。けれども、

「18年間、議論すら封印されていたんです。今回、第5次男女共同参画基本計画案をはかる合同会議で4回、あわせて7時間以上、毎回50~60人の自民党議員が議論を重ねました。それだけでも一歩踏み出せたといえます」

選択的夫婦別氏(別姓)は「今後の検討課題」になった。議論できないという民主主義に反する状態からは「前進」した。

「男女格差を表すジェンダーギャップ指数、日本は153か国中121位です。やるべきことはたくさんあるんです。でも今はまず、弱っている人、困っている人に支援を届けなければ。困窮に女性も男性もありませんし、シングルマザーへの給付金だけでは解決にはなりません。

医療現場の疲弊も深刻です。ナース服を着て現場に出たいくらいだけど、今の立場でできることをきちんとやらなければ、とあらためて思います」

人生を諦めないで「考えていく」意味

「わたしね、自分の人生をほぼ諦めていた時期があったんです。なんでだろう。自分に自信がなかった。でもね、今こうして働けている。セカンドチャンスです。人生のセカンドチャンス、サードチャンスを作りたい。もっともっと考えていきます」

日本の国会議員は、衆議院462人、参議院242人の、計704人いる。その全員を「わたしたちが」選挙で「選んだ」。この704人が、特定の団体の利益ではなく、一部の声の大きい人たちの利益ではなく、わたしたち国民のために考え、働いたら。まずは、今、どこでだれが困っているか、なにを優先すべきかを考えたら。誰のための政治なのかを考えたら。

「考えていく」

なんでもわかっていると思ったらそこで終わってしまう。「考えていく」ことを続けたい。

ちなみに、日本の国会議員704人中、女性議員は97人。女性国会議員比率は193か国中、165位だ。

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