『素敵なルネッサンス』平松愛理とウッチャンナンチャンの波瀾万丈 | FRIDAYデジタル

『素敵なルネッサンス』平松愛理とウッチャンナンチャンの波瀾万丈

スージー鈴木の「ちょうど30年前のヒット曲」、今回は『部屋とYシャツと私』に先駆けてヒットした平松愛理のこの曲!

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平松愛理(写真:共同通信社)

『素敵なルネッサンス』と『部屋とYシャツと私』

ちょうど30年前のヒット曲を紹介していきます。1990年の12月5日に発売された平松愛理『素敵なルネッサンス』「♪泣きたくなるような 青い向かい風~」というあの曲です。

平松愛理と言えば、何といっても『部屋とYシャツと私』(92年)『素敵なルネッサンス』の売上枚数は約20万枚(オリコン最高位13位)、『部屋とYシャツと私』は約93万枚(同4位)なので、正直、浸透度は段違いでした。

しかし当時、合コンからの二次会カラオケの定番として、男子に向けた計算づくで選曲されがちだった『部屋とYシャツと私』に対して、単にひたすらチャーミングな『素敵なルネッサンス』の方が、私のお気に入りだったのです。

また、平松愛理のシンガーソングライターらしからぬ(?)キュートなルックス(上の写真は98年。どことなく石原さとみ的?)も、半ば脅迫的な『部屋とYシャツと私』よりは、『素敵なルネッサンス』に似つかわしいと思っていたのですが。

『部屋とYシャツと私』は、『素敵なルネッサンス』と同じく、アルバム『MY DEAR』(90年)の収録曲で、当初は単なるアルバムの中の1曲だったのですが、有線のリクエストから火がついて、それならばとシングルカットして、大ヒットとなりました。

20万枚+93万枚。90年の段階で平松愛理は、トータルで100万枚を超えるビジネス規模の種まきに成功していたということになります。

子宮内膜症、阪神大震災、乳がん、離婚――

平松愛理自身が著した『ゲキツー!! ――子宮内膜症との闘いの日々』(講談社)という本があります。これを読むと、ビッグビジネスの種をまいていた90年頃が、子宮内膜症による激痛(=ゲキツー)と、ずっと背中合わせの毎日だったということに驚きます。

痛みから逃れるための手術を何度も重ねながら、編曲家・清水信之と結婚(先の2曲の編曲担当)。不妊になる確率が高いと言われる子宮内膜症なのですが、平松愛理は子宝に恵まれ、女の子を出産。

しかし、「妊娠すれば、自然治癒すると一般的に言われる子宮内膜症」(『ゲキツー!!』)が、出産後2ヵ月で再発、苦しみ・悩み抜いた結果、最終的に平松愛理は子宮を摘出します。

それ以外にも、阪神大震災では神戸市須磨区の実家が全壊し、また、子宮摘出からたった半年で今度は乳がんを宣告され、さらに05年には清水信之と離婚するなど、あまりにも波瀾万丈な人生を歩んでいくのです。

ウッチャンナンチャンの大抜擢と脱落

さて、『素敵なルネッサンス』のヒットには、フジテレビ『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』の主題歌タイアップが付いたことが大きく貢献しました。

ウッチャンナンチャン――80年代中盤に世に出た、内村光良(ウッチャン)、南原清隆(ナンチャン)の2人組を、当時私は気に入って、彼らの出演する番組の公開収録を、何度か観に行ったものです。

忘れられないのは、今はなき新宿のコメディシアターで見た、彼らのコントです。その途中でウッチャンが、何とバク宙を決めたのです。抜群の運動神経を見せ付けられた私は「この2人組はスターになる」と確信したのものでした。

そして90年の春、フジテレビ『とんねるずのみなさんのおかげです』が半年間休むことになり、その木曜21時枠の後任にウッチャンナンチャンが大抜擢

西条昇著『ニッポンの爆笑王100』(白泉社)によれば、その一報を車中で聞いたナンチャンは「それは一生のことだ。すぐに車を戻して内村と相談しなければ」と言ったそうです。

その番組『ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば!』が合格ラインをクリア、土曜20時という、言わばフジの「お笑いゴールデンタイム」に進出したのが『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』なのでした。

ウッチャンと女性タレントちはるが演じる「マモー・ミモー」が大人気となるなど、番組は好評だったのですが、93年6月24日、まさかの大事件が起こります。

ゲストとして参加した香港の人気バンド・BEYONDのメンバー=黄家駒が、ステージ上約2.7メートルの高さから転落し死亡。わずか1週間後の7月1日、番組の打ち切りが急遽決定

せっかくつかみ取った「お笑いゴールデンタイム」からの脱落。これが災いしたのか、「その後に始まったメインの番組も視聴率的に苦戦を強いられた」(『ニッポンの爆笑王100』)のです。

青い向かい風を超えた30年後の素敵なルネッサンス

しかし、あれから30年。ウッチャンナンチャンが未だに第一線で活躍しているのはご存知の通りでしょう。そして平松愛理は今年9月30日のライブで、元夫の清水信之と、16年ぶりに共演しました。

――2ndステージの終盤では、平松さんと清水さんの娘であるHeineさんがサプライズ出演。母親と元父親が共演をすると聞き、リハーサルスタジオに遊びに来てセッションしてみたところ意気投合して、急きょライブに参加することになったという。そうして実現した親子初共演では2曲を披露。(中略)最後には感極まった平松さんが涙するシーンもあった(毎日キレイ『平松愛理:元夫&娘とコンサートで共演、感極まり涙も… 自身の代表曲やコロナ禍でできた新曲も披露』2020年10月04日)

「泣きたくなるような 青い向かい風」がびゅんびゅん吹き荒んだ後には、「素敵なルネッサンス」がやって来る――あの歌い出しの通りの30年間だったということでしょう。

  • スージー鈴木

    音楽評論家。1966年大阪府東大阪市生まれ。BS12トゥエルビ『ザ・カセットテープ・ミュージック』出演中。主な著書に『80年代音楽解体新書』(彩流社)、『チェッカーズの音楽とその時代』(ブックマン社)、『イントロの法則80's』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『恋するラジオ』(ブックマン社)など。東洋経済オンライン、東京スポーツ、週刊ベースボールなどで連載中。

  • 写真共同通信社

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