コロナ禍の年末年始を生き延びるために…支援団体の取り組み

【相談窓口・支援リストつき】困ったら、繋がる。生きることを諦めないで!

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この空の下に、家を持たない人が4000人はいるという。寒い冬の夜、どこでどう過ごしているのか…。相談窓口、支援リストを活用してほしい

事件が起きるたびに繰り返される哀しみと疑問

11月16日早朝、渋谷区幡ヶ谷のバス停で路上生活の女性が殴り殺された。11月28日の23時、小田急線玉川学園前駅で、80代と50代の母娘が線路に身を投げた。12月11日、大阪市のマンションで、68歳と42歳の母娘の亡骸が発見された。室内にあった所持金は13円。死因は「餓死」。

ニュースに、多くの人が心を痛める。なんとかならなかったのかと、その死を惜しみ悲しむ。だれか、なにか、なんとかならなかったのか、公的な支援は届かなかったのか、と。

「相談件数、SOSの連絡はとても増えています。生活保護は権利ですから、困ったときは遠慮する必要ありません。

今、困っている人。我慢して、寒いなか路上に出なくていいんです。東京都ではこの年末年始、家がない人のために1000室のビジネスホテルを用意しています。寝るところがない人は利用してほしい。申請がわからない人は、相談してほしい」

生活困窮者ための支援団体「つくろい東京ファンド」の代表、稲葉剛さんは力強くこう言った。

つくろい東京ファンドの稲葉さんは、大学生の時に新宿の路上生活の人と関わり始めた。政府へ働きかけ、路上を「夜回り」をして野宿の人たちに声をかける活動を続けている

生活保護の仕組みは日本中どこでも受けられる。住民票がなくても「今いる場所」の役所で申請ができる。なのになぜ、こういう支援を受けずに寒空に外で寝たり、食べるものがなくて命を落とす人がいるのだろう。

「申請のハードルが高すぎるんです。役所の窓口ではいまだに『水際作戦』が行われていて、申請をしづらくさせている自治体が多いです」

困っている人は「敵」なのか

水際作戦。「海岸に砲列を敷き、地雷や鉄条網で陣地を作り、敵を撃滅するもの」。家を失い、今日食べるものもなくなって役所にやってくる申請者は「敵」なのか。撃滅すべき敵なんだろうか。

「役所に行っても、生活保護の申請用紙はそこに置いてありません。窓口に行って、生活保護を受けたいと言うと、そこから『相談」という名の聞き取りがはじまり、長いときは数時間かかります。そして申請の用紙をもらうこともできず帰されることも少なくありません」

稲葉さんたち民間支援団体のメンバーは、困窮者のSOSに答え、役所への申請に同行することもある。11月に出版された『コロナ禍の東京を駆ける』には、4月の緊急事態宣言で居場所だったネットカフェなどを追われ路上に出た人たちを支援するようすがリアルに記録されている。

コロナ以前は深夜営業のマックで寝ていた女性は、深夜の営業がなくなり、寝る場所を失った。もうダメだと思いながら1年間、ネットカフェや路上を転々としながら生きてきた若い男性。高齢の小型犬と一緒に路上に出てしまった女性。それぞれの事情があり、苦境がある。

役所の対応には驚かされることばかりだ。

「全部が全部ではないんです。なかには、親身な職員もいます。でも残念ながら少数派ですね。

コロナ禍で、これまでぎりぎりだった人が路上に押し出されてしまった。とくに、寮や住み込みの仕事をしていた人は、失業と同時に家を失ったんです。女性も増えました。20代から30代の若い、働けるのに働ける場所がいきなりなくなってしまった人も多いです」

生活保護を受けることに拒否感がある人も多いという。「自分なんかが受けていいのか」と思ったり、不仲な親族へ連絡されることを嫌ったり、理由はさまざまだ。かつての「バッシング」も尾を引いている。が、日本の生活保護不正受給は0.4%。諸外国に比べ格段に低い。

お腹を空かせたある相談者は、支援スタッフと大戸屋に入り「なんでも好きなものを頼んで、たくさん食べてください」と言われたのに、一番安いざるそばを選んだ。「天ぷらは?」と勧めたら「ここでうまいもん食べちゃうと、この後が辛くなるから」と答えた。

「世間に申し訳ない。生きている価値がない。もう死のうかと思う」という相談者もいるという。

「生活保護は憲法に定められた権利ですし、公的支援はほかにも社会福祉協議会の貸付や住居確保給付金など状況に応じていろいろあります。でも広報が足りなくて、情報が必要な人に届いていません。困ったらとにかく相談してほしい。年末年始も、相談会を開きます」

ともかく生き延びて。元気になったら、また働けるようになったら、そのときは保護を抜ければいいのだ。

年末年始を乗り越えるための取り組みが始まった

12月15日、用紙を手に入れるのもたいへんな生活保護申請のために、オンラインで申請書類を作成できる無料サービス「フミダン」が始まった。これで虚しい「水際作戦」を終わらせようという試みだ。そもそも、困っている人は「敵」ではない。

年末年始、都内23区では江戸川区が窓口を開けることを決めた。が、ほとんどの役所は閉庁になる。申請はファックスでも受け付けるので、「フミダン」が活躍する。

厚生労働省は「ためらわずにご相談ください」と、異例の広報を始めた。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsuhogopage.html

また、12月31日から1月3日まで「コロナ災害を乗り越える 命と暮らしを守るなんでも相談会」が電話相談を受け付ける(0120-157-930/10:00~19:00)。

民間の支援団体が合同で取り組む「新型コロナ災害緊急アクション」では、12月31日と1月1日、3日に相談会を開く。食料の配布もある。相談者を確実に誘導し、必要な支援に「必ず繋げる」。支援のためのクラウドファンディングも行っている。

東京都は、家がない人の年越しのために、12月21日から使えるビジネスホテルを1000室用意している。神奈川県は70室程度。千葉県での実施は、現在申し入れ中だ。

公園のベンチでは眠らせない。わたしたちはみんな当事者だ

公園のベンチ。本来なら大人3人がゆったり座れるような大きなベンチの真ん中に、肘掛けが取り付けられている。「排除アート」だ。ベンチで横になることができないように。寒くて、疲れて、お腹を空かせた人が、公園のベンチで体を休めることもできないように。

日比谷公園のベンチにもがっちりした冷たい肘掛けが設置されている。誰も、公園のベンチなんかで寝たくはない。けれどもほかに行き場のない人もいる

「しばらく、雇用の回復は見込めません。困窮者の孤立が心配です。困っている人に必要な情報を伝え、福祉制度も活用しながら生活再建のお手伝いをする。コロナ収束まで、全力で支えます」(稲葉さん)

今、多くの民間団体が必死に活動をしている。困窮者に寄り添い、支えている。お腹を空かせて心細い思いをしている人に届くようにと願って。

コロナ禍、1年前には思いもよらなかったことが起きている。生活の困窮は、もう人ごとではない。身近に迫る危機だ。わたしたちは今や、みんな当事者なのだ。困っている人は「助けて」と声をあげていい。生きることを諦めないで。あなたは今、ひとりかもしれないけれど、繋がれる人が、場所が、確かにここにある。

【相談窓口・支援・クラウドファンディング】

*【受付中】東京都による年末年始の一次宿泊所提供(ビジネルホテル1000室用意)東京チャレンジネット 電話:0120-874-225 /女性専用ダイヤル:0120-874-505

*【12/31〜1/3】電話相談「コロナ災害を乗り越える 命と暮らしを守るなんでも相談会」 電話:0120-157-930(10:00~19:00)

*生活相談、食料配布、宿泊支援など「新型コロナ災害緊急アクション」年末年始相談会(12/31@東池袋中央公園、1/1と1/3@四谷聖イグナチオ教会)

https://corona-kinkyu-action.com/2020/12/21/toshikoshi-otona-syokudo/

*生活保護申請書類が簡単に作成できる「フミダン」https://fumidan.org/ 

*新型コロナ災害緊急アクション(相談受付)https://corona-kinkyu-action.com/sodan/

*クラウドファンディング「コロナ禍の年末年始、住まいを失う方にあたたかな居所と支援の手を届けたい!」https://camp-fire.jp/projects/view/347557

  • 撮影tenhana

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