新型コロナワクチン 接種者や研究者が「すべての疑問に答えます」 | FRIDAYデジタル

新型コロナワクチン 接種者や研究者が「すべての疑問に答えます」

ワクチン解禁に沸く一方で、知りたいことは増えるばかり 日本はいつから? どんな手続きが必要? 高熱や吐き気など、副反応は大丈夫?

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アメリカでの接種風景。血液ではなく細胞へ直接ワクチンを届ける筋肉注射なので痛みが強い。接種は数秒で終了 写真:アフロ
アメリカでの接種風景。血液ではなく細胞へ直接ワクチンを届ける筋肉注射なので痛みが強い。接種は数秒で終了 写真:アフロ

ついに、世界的パンデミックも収束に向かうのだろうか。

12月8日、イギリスでファイザー社(アメリカ)とビオンテック社(ドイツ)が共同開発した新型コロナワクチンの接種が始まった。14日にはアメリカでもスタート。世界中でワクチンへの期待が高まっている。とはいえ、副反応や持続期間など明らかになっていない部分も多い。本誌は今回、研究者や治験者らに取材。コロナワクチンの疑問を解き明かした。

疑問① 副反応はある?

東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授は語る。

「副反応はあります。実際にイギリスでの接種者からは、全身の倦怠感や筋肉痛といった軽度のものから、アナフィラキシーのような強いアレルギー反応までさまざまなものが報告されています」

さらに恐ろしい副反応が起きる可能性もある。9月にファイザー社が行った最終段階の臨床試験に参加した、カリフォルニア大学看護学校のクリステン・チョイ助教授が振り返る。

「接種翌日に40度以上の高熱が出て、まったく起き上がることができなくなりました。さらに注射を打った箇所が握り拳大に腫れ上がってきて……。こんな症例は事前の説明でも知らされていなかったので本当に怖かったです。幸いにも熱は翌日に下がり、腫れも引きましたが、あの時の恐怖は今も忘れられません」

疑問② ブラジルでは臨床試験中に接種者が死亡する事例も。ワクチンの接種で死亡する可能性はあるのか?

寺嶋教授は限りなく0に近いとしながらも、最悪の可能性についても言及する。

「もちろんあり得ます。それ以外にも考えられる重篤なケースとして、例えば脳や脊髄が炎症を起こす脳炎や脊髄炎などがあり得ます。これらは後遺症の可能性もあるきわめて重い症状です。また脳炎や脊髄炎は発症まで約1ヵ月かかるため、副反応だと認められるまでに時間がかかる可能性もあります」

疑問③ 日本人にも治験は行っているのか?

ファイザー社製の臨床試験には約160人が、アストラゼネカ社製の試験には250人の日本人が参加している。そのため、特定の人種にだけ効果がないという可能性はないと考えられている。

疑問④ ワクチンの有効率は?

「『有効率』とは接種することで、しなかった場合と比べて何割が予防に成功するのかを示す数値です。インフルエンザワクチンが40~60%と言われる中、90%以上の数値を記録。あとは持続期間。インフルエンザワクチンは抗体が4~5ヵ月持ちますが、コロナワクチンは明らかになっていません。効果絶大でも1年に何度も接種しないといけないようでは実用的とは言えません」(前出・寺嶋教授)

疑問⑤ 日本での接種開始はいつから?

今月2日、費用を全額国が負担することを盛り込んだ予防接種法改正案が成立した。しかし肝心の〝解禁日〟は未定。厚労省幹部が内情を明かす。

「田村厚生労働大臣と西村コロナ担当大臣のどちらが主導権を握るのかが明確でなく、認可についてはまったく話が進んでいません。一部では来年6月を目途に認可されると報じられましたが、あくまでも菅総理は『十分な量のワクチンを確保すること』を約束したに過ぎない。東京五輪でさえ間に合うかどうか……」

疑問⑥ ちゃんと国民全員に行き渡る量を確保できるの?

現在、日本政府はファイザー社をはじめとした3社から約2億回分の提供を受ける契約を結んでいる。しかし、それでは足りないと別の厚労省関係者は語る。

「仮に接種者を20歳以上だけに限っても人口は約1億人。さらに厚労省は必要接種回数を2回と見積もっています。いま手配されている量でもギリギリといった状況、それも予定通りに届いた場合です。実際に国民全員に行き届くのはまだまだ先になると思います」

疑問⑦ 受ける時の手続きはどうやるの?

手続きに関しても簡単とは言い難い。医療従事者や高齢者といった優先接種者から順に、厚労省から『接種券』が発行される。届き次第、ワクチンの流通管理を行う専用システムから、接種できる施設の予約の空き状況を確認。その後、電話などで予約を入れる。

「かなり手間が掛かりますし、ネットに慣れていない高齢者が対応できるかどうか疑問が残ります。また電話やネットへのアクセス集中にどう対応するのか、課題は山積みです」(前出・厚労省関係者)

ワクチンですべてが解決するわけではない。コロナとの戦いはまだまだ続く。

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『FRIDAY』2021年1月1日号より

  • 写真アフロ(1~2枚目)、時事通信社(4枚目)

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