いまだ行方不明…小倉美咲ちゃんの母が語る「頑張り屋の娘へ」
発生から1年3ヵ月 山梨県道志村キャンプ場女児失踪事件
「まさかこんなにも会えないとは、’19年9月には思ってもいませんでした。1年以上も経っているので、今は身長も大きくなっていると思います。親としてその成長を見守れなかったことが悔しく、娘にも申し訳ない気持ちで一杯です」
’19年9月21日、小倉美咲ちゃん(8)が山梨県道志村のキャンプ場で行方不明になり、現在も見つかっていない。
母親のとも子さんが、あらためて現在の心境を本誌に語った。
コロナ禍の中、とも子さんらはSNSで情報発信し、20年7月にはホームページも立ち上げて、捜索活動を続けている。一方でインターネット上の心無いコメントに、とも子さんは苦しめられてきた。
「正直、SNSには誹謗中傷のメッセージもあるのですが、苦しくても娘のために辞めるわけにはいきません。取材を受けさせていただくと、『なんでメイクしているんだ』って批判されてしまったり、行っていないのに、『楽しそうに買い物していた』と書かれたこともありました。
私がトリマーとして働く店には、当初は1日30件ほど、イタズラ電話がかかってきていました。店や車の写真を撮られて、ネット上にアップされたことも。家の前で遊んでいた長女が見知らぬ人に車の中から名前を呼ばれたことまでありました」
日々の生活は一変してしまった。
それでも、とも子さんは美咲ちゃんを想って前を向き続けた。1年が過ぎて、考え方も変わってきたという。
「ボロボロの私が出ているメディアを、もしどこかで美咲が見たら『自分のせいでママがこんなになっちゃった』って落ち込むだろうなって思ったんです。それからは取材を受ける際には最低限のマナーとして化粧をしたり、心境が変わりましたね。ちょうどその頃、誹謗中傷に対して逮捕者も出たので、私自身も少し落ち着くことができました」
先日、とも子さんの写真を自身のブログに掲載した挙句、事実無根の書き込みした名誉棄損の疑いで、69歳男性が逮捕されている。
チラシ配りが思うようにできない中、とも子さんはネット上を中心に情報提供を呼びかけている。元埼玉県警察捜査第一課刑事の佐々木成三氏はこう指摘する。
「第三者が連れ出さなければ、山梨県から当時7歳の女の子が遠くに行くことはできません。誰かが美咲ちゃんを匿っている可能性が高いと考えた時、犯人が普通の生活をしているとは思えない。例えば一人暮らしなのに、子供用の商品をネットショップで頻繁に買っているなどが考えられます。不審な人物が周囲にいないか、気にしてみてください。些細な情報提供が突破口になるということを、私自身が何度も体験しています」
有力な目撃情報は寄せられていないが、とも子さんは強い意志を持ち続けている。
「ホームページから情報を寄せてくださる方も増えました。国道413号を通った、当時のドライブレコーダーの映像があれば提供していただきたいです。また、チラシを配りたいとご協力くださる方が、ホームページを通してご連絡をくださることもあります。私たちだけで配ることのできる範囲は限られていますので、すごく有り難いです。
時間が経った今では日本のどこにでもいる可能性があります。そう思って気にかけてくださる方を一人でも増やしたい。美咲は運動会の前には一生懸命にリレーの自主練習をしていました。頑張り屋の娘だということを私はよく知っています。だから、どこかで家に帰れると思って頑張ってくれているはずです」
とも子さんの切実な想いを誰もが心に留めておくべきだろうーー。
- 写真:濱崎慎治(小倉とも子さん) 結束武郎(キャンプ場)