『京アニ放火事件』から約1年半……判決を待つ遺族の悲痛な思い
36人が死亡、32人が重軽傷を負い、日本中を震撼させた『京都アニメーション放火殺人事件』。
発生から約1年5ヵ月を迎えた‛20年12月16日、京都地検は青葉真司容疑者(42)を殺人や放火など5つの罪で起訴した。
起訴を受けて、遺族の一人は懸命に声を絞り出し、次のように語った。
「今まではメディアの応対もさせてもらっていました。でも青葉被告のことがニュースになるたびに動揺して、思い出して悲しんで……だから今は、本心で言うと報道すらなくなってほしい。あれから家族が大変なんです。夜になったら毎日泣いて……。こんなん言うたらアレやけど……早く死刑になってね、落ち着きたいと思うんですよ」
事件発生時から現地で取材を重ねている全国紙社会部記者はこう話す。
「本人も概ね容疑を認めており、『極刑を覚悟している』という旨の供述を行っているようです。ただ、裁判が始まるまでにはかなりの準備期間が必要になると見られています。
新型コロナウイルスの影響、青葉被告が依然として寝たきりの状態であること、そして何よりも公判開始を妨げる要因になっているのが、被害者の多さです。60人を超える被害者がいるので、手続きだけでもかなり煩雑になります。遺族の捜査協力ももちろん必要となりますが、深く傷つかれており、協力どころではないという方も多い。
京都府警、京都地検はできるだけ早い判決を目指して捜査を進めていますが、公判開始までにはかなりの時間を要するでしょう」
遺族が望む〝決着〟がつくのは、まだまだ先になる見込みだ。


写真:加藤慶、時事通信社