犯人とされる男を逮捕も…北関東家畜窃盗の「誰も知らないその後」

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送検されるトゥン被告。最年長だったため、仲間内では「兄貴」と呼ばれ、親しまれていた

「犯行の首謀者と考えられているベトナム人は起訴され、勾留中です。彼を逮捕した10月以降、被害は報告されていません」(全国紙社会部記者)

`20年6月から、群馬県を中心に北関東で相次いだ家畜や果物の大規模な窃盗事件。被害総額が3000万円にものぼる中、群馬県警は窃盗団のアジトと見ていた太田市内のシェアハウスを家宅捜索。居住していたベトナム人19人のうち、リーダーと目されるレ・ティ・トゥン被告(39)ら13人を10月26日に逮捕し、事件は解決した……かに思われた。

「逮捕容疑は入管難民法違反だったのですが、全員、窃盗事件については関与を否定。トゥン被告こそ無免許運転による道交法違反など別件で起訴しましたが、嫌疑不十分で釈放された者も出てきた」(前出・社会部記者)

この一報を受け、現地では不安の声が上がっているという。7月から8月にかけて、実際に被害にあった群馬県内のぶどう農家の関係者が語る。

「まだ新たな窃盗被害は出ていないですが、今後どうなるかはわからない。正直、今はやるせない気持ちでいっぱいです。できることは少ないですが、引き続き防犯対策は強化していきます」

件のシェアハウスからは冷凍ニワトリ30羽のほか、牛刀やモデルガン、金属バット、模造刀などの武器も押収されている。近隣住民がタメ息をつく。

「何人かは帰ってきたんだけど、12月に入ってからはまったく姿を見なくなったね。今もベトナム人たちは暮らしているけど、覚えている限りでは逮捕されたベトナム人らとは別人だと思うよ。昼間はまったく姿を見ないから、それぞれの職場で働いているんじゃないかな」

トゥン被告ら19人のベトナム人が暮らしていたシェアハウス。同じ建物が4棟連なっている。トゥン被告らは、このうちの2棟を借りていた。3DKで家賃は1棟3~4万円程度
一斉逮捕後は新たな住人が住んでいるものの、整備までは手が行き届いていないのか家の劣化はかなり進んでいる

釈放されたメンバーは、果たしてどこへ行ってしまったのか。新たにシェアハウスで暮らし始めたというベトナム人に話を聞くべく、自宅へと訪問した。

シェアハウスは木造の平屋建てで専有面積は60〜70平米ほど。玄関の横には釣竿が何本も立てかけてある。使い込まれた様子からすると、いまでも近くのため池などから魚を獲ってきているのかもしれない。そう考えると生活格差にめまいを覚えそうだった。「ごめんください」と呼びかけると、家の中から20代と思われる青年が一人出てきて、我々の対応をしてくれた。

――ここに住んでいたレ・ティ・トゥンさんをご存知ですか?

「よくわからない」

――いまは何をしていたの?

「みんなでご飯を食べてた」

――今は何人いるの?

「6人」

――――10月26日以降も、警察が来たことはある?

「この前も来た。ただ、何もなかったよ」

その後もやり取りを重ねたが、前の住民たちとは関りがなかったようで、青年からは容疑者たちのその後について情報を得ることはできなかった。

最後に「ありがとう」と伝えお辞儀をすると、青年は丁寧にお辞儀を返し、家の中へ戻っていった。

今年の冬は例年にも増して厳しい寒さが予想されている。事件が繰り返されないことを祈りたいが――。

 

  • PHOTO蓮尾真司(送検写真) 結束武郎(シェアハウス)

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