「冬なのに富士山山頂にほとんど雪がナシ」の異変が意味するもの | FRIDAYデジタル

「冬なのに富士山山頂にほとんど雪がナシ」の異変が意味するもの

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例年に比べ圧倒的に山頂の積雪が少ない富士山。12月23日、都内から撮影
例年に比べ圧倒的に山頂の積雪が少ない富士山。12月23日、都内から撮影

「あれっ? おかしいな」

朝、自宅のベランダから富士山を見て、そう感じた人は多いのではないだろうか。そう。今冬は12月下旬になっても、山頂に雪がほとんどないのだ。気象庁によると、富士山は例年9月下旬から10月上旬にかけて初冠雪。12月になれば、山頂が真っ白に覆われることが多い。ネット上には、不穏な書き込みが溢れる。

〈大災害の予兆では。急激な温暖化の影響?〉

〈まるで夏と冬が逆転したよう。異常気象か〉

〈新潟県などでは大雪が降っているのに富士山に積雪がないのは恐い〉

最大の原因は、降水量の少なさのようだ。日本気象協会によると、11月以降、太平洋側の地域で降った雨が極端に少なかったという。11月22日から12月21日までの30日間で、山梨県甲府市と静岡県静岡市の降水量は0.0mm。河口湖や御殿場など富士山周辺地域でも、降水量は平年比の10%前後なのだ。

「低気圧が通過すれば、雨雲が流れ込みます。標高3000m以上の富士山に阻まれ、山頂で雪が降るでしょう。しかし10月以降、高気圧の勢力が強く晴れの日が続いていますからね」(地元紙記者)

1200℃のマグマが活性化か

雨が降らないから、山頂に雪がないーー。だが、ことはそう単純ではないという見方もある。災害発生の危険性を指摘するのは、武蔵野学院大学特任教授で地震学が専門の島村英紀氏だ。

「1200℃になるといわれる地中のマグマが活動を活発化させ、富士山の地表温度が上昇。わずかに降った雨も、雪になる前に溶けている可能性があります。富士山が最後に噴火したのは、300年ほど前です(江戸期1707年の宝永大噴火)。地球の長い歴史から見れば、300年などつい昨日のようなものでしょう。いまだに火山活動が続いていると考えるべきです。

にもかかわらず、何が原因で噴火が起きるか正確なことはわかっていません。山頂にも温度計や地震計が設置されていますが、どんな数値が出れば危険水域に達したことになるのか、明確に判明はしていないんです」

300年前の噴火では、約2時間後に火山灰が関東一円に降り注ぎ農作物などに甚大な被害が出たとされる。神奈川の小田原藩では、米が災害前の収穫量に戻るまで90年を擁したという。正確な数字は不明だが、相当な餓死者が出たと推測される。

「現代のほうが、被害ははるかに大きくなりますよ。火山灰の細かい粒子は、パソコンや精密機械の中にも入り込みます。大半のシステムが機能しなくなり、交通や医療はパニックになるでしょう。人体への直接的被害もはかりしれません。吸い込めば肺に障害が出ますし、コンタクトレンズと目の間に入れば失明しかねませんから」(前出・島村氏)

富士山周辺では今年、富士五湖のひとつ精進湖の水位が上昇し第六の湖が出現するなど、異常な現象が続いている。

なにごともないことを祈りながらも、警戒心をもち、つねに「その時」に備えておくことは大切だろう。冬でも地表がさらけ出た山頂から、われわれはなにを受けとればよいだろうかーー。

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