料理家・枝元なほみから困ってる人へ「私のごはんを食べにきて」

「お正月、美味しいものを食べてもらいたくて。だから、１月１日と３日に四谷の聖イグナチオ教会で、無料の大人食堂をやります。200人分ずつ、合計400食作るから、困っている人は食べに来てくださいね」

と言うのは枝元なほみさん。10月にオープンした「夜のパン屋さん」でも活躍する料理家だ。

「ほんとはね、あったかいものを囲んでみんなでわいわい食べるのが美味しいんだけど、今回はそれはできないでしょ。だからね、いろんなおかずをお弁当パックに詰めて、選んでもらえるようにしようと思うの。１日200人分、ぜんぶ同じおかずじゃなくていいかな、と思って。いろいろ作ってね、その場で『これはこういう味ですよ』とか、『この野菜はどこどこのですよ』とかちょっとおしゃべりもしながら渡したいな」

枝元さんが、路上で暮らしている人、生活に困っている人のために「年越し大人食堂」を開くのは昨年についで２度目。前回は屋内の会場で、次々にたくさんのおかずを作って振る舞った。

「今、困っている人に、美味しいものを食べて元気になってほしいんです。前回はね『ごはん炊けましたよ～』って言って、テーブルに持っていくとみんなが『わ～』と集まってよそって食べてくれたり。一緒にね。楽しかったなあ。なんかね、ちょっと家族みたいだったの。いつもはひとりで生きてる人が多いから、家族みたいにみんなで食べるの楽しかった。今年はコロナで制約があるけれど、気持ち的にはそんな感じです」

コロナ禍に襲われた2020年。これまで「普通に」暮らせていた人もあれよあれよという間に「路上に押し出された」。そこまでではなくとも、生活が苦しくなった人は多い。

「困窮者の孤立が心配です。なかには、事業が立ち行かなくなった自営業の方など、１年前にはまったく想像していなかったような人たちも少なくありません。『助けて』と言える環境作りが急務です」（「年越し大人食堂」を主催する新型コロナ災害緊急アクション事務局：瀬戸大作さん）

今回の「大人食堂」では、同じ会場でさまざまな生活相談も受け付ける。「住むところがなくなった」「所持金が底をついた」といった深刻な内容はもちろん「仕事がなくなりそう」「給料が少なくて苦しい」「このままでは不安」という相談にも、専門家が応じてくれる。医療チームも参加する。

主催メンバーのひとり、雨宮処凛さんはこう言う。

「今、女性の相談が増えています。炊き出しとかは行きづらいかもしれませんが、ここなら。まずはちょっと見にきてほしい。この無理ゲーを生き延びるスキルが、ここにあります」

お腹が空いている人は、枝元さんのごはんを受け取るだけでもOKだ。

「悲しい事件がありました。わたしね、同世代の女性たちのことが、気が気ではありません。お腹を空かせた人がたくさんいるのに、日本には食品ロスも多い。食料はあるはず。お金も、あるはずなんです。それが、ちゃんと分配できてないんじゃないかな。

お腹を空かせて、食べるものがない人へ。美味しいごはん、たくさん作って待ってますから、どうぞ食べに来てくださいね」（枝元さん）

女性も、男性も、若い人も、もう若くない人も、ひとりぼっちで困っている人は、「大人食堂」でごはんを食べて、相談してみる。行けば、「どうしようもない」と思ってる今から、きっと抜け出せる。抜け出す第一歩を踏み出すためのいろんな方法が、きっと見つかるに違いないから。

【年越し大人食堂2021】

１月１日・３日ともに、12:00～18:00　＊参加無料、予約不要（どなたでも）

場所：東京・四谷　聖イグナチオ教会（JR・東京メトロ　四谷駅下車すぐ）

https://corona-kinkyu-action.com/2020/12/21/toshikoshi-otona-syokudo/

＊【12/31〜1/3】電話相談「コロナ災害を乗り越える　命と暮らしを守るなんでも相談会」　電話：0120-157-930（10:00～19:00）

＊クラウドファンディング「コロナ禍の年末年始、住まいを失う方にあたたかな居所と支援の手を届けたい！」https://camp-fire.jp/projects/view/347557