東京03が明かす「負け犬と言われた僕たちの壮絶芸人史」 | FRIDAYデジタル

東京03が明かす「負け犬と言われた僕たちの壮絶芸人史」

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昨年6月 からBSフジで放送されている『東京03 in UNDERDOGS ‐今日は負けたけど、明日は絶対勝つ‐』。コント、アニメーション、ラジオトークコーナー、歌など、負け犬(=UNDERDOGS)にフォーカスを当て、さまざまな形で東京03が演じる。

3人が、「大人のウゴウゴルーガのような番組」と語るように実験的要素が強く、どこかテレビ的ではない雰囲気も、いかにも彼ららしく見ごたえたっぷりだ。自らを「負け犬だった」と語る背景、そしてコントにこだわり続ける理由を聞いた。

なぜ「負け犬」…?

「やっぱり東京03には負けのイメージがあるんじゃないですかね。僕ら自身も負けてきたという自覚が強いし、周りにいた同世代がアンタッチャブル、おぎやはぎ、ドランクドラゴン……天才ばかりでしたから。僕たちはテレビで活躍できなかったので、舞台でライブを頑張るしかない――そういうスタンスになっていくしかなかったんですよね。それが『負け』というイメージのもとになっている気がします」

東京03・飯塚悟志はそう笑いながら話す。毎週日曜、深夜0時からBSフジで放送されている『東京03 in UNDERDOGS ‐今日は負けたけど、明日は絶対勝つ‐』は、“負け犬”にまつわるエピソードを東京03がコントやアニメなどで紹介する一風変わったコント番組だ。

「負け犬に焦点を当てるという番組コンセプトには、東京03の意向も反映されているのですか?」と尋ねたところ、冒頭の飯塚の言葉が返ってきた。それを受けて、角田晃広が続ける。

「番組で紹介する負け犬エピソードのほとんどが 、『わかるなぁ』って思いますよ。強がって『勝ちですよね!?』なんて言ってみたりはするけど、負けの方が多いですから。僕自身も東京03を結成する前は、自分のトリオ(プラスドライバー)で上手くいかずに、お笑いを辞めようと思っていたくらい。大負けです、ははは」

角田の才能を惜しんだ飯塚は、辞めるつもりでいた彼を引き留めるために、ある作戦を考える。自宅に招くと、角田が大好きな長渕剛の「Myself」をおもむろに流した。『やりたい事と やりたくねえ事とが 思いどうりにいかなくて 「夢は何ですか?」と聞かれる事がこの世で一番怖く思えた』。その一節に号泣した角田は、その後、飯塚と豊本明長のコンビ・アルファルファに加入し、東京03が誕生する。

その後の活躍は、周知のとおりだろう。『キングオブコント2009』優勝、単独公演は即完売、なにより『東京03 in UNDERDOGS』という冠番組を持つまでの彼らを、いまなお“負け犬”と認識している人はいないのではないか?

(飯塚)「今は“ツイてる”だけなんですよ。だって、テレビで活躍するという戦いから負けたのは事実ですから。『キングオブコント』で優勝させてもらって、テレビに出る機会も増えたんですけど、やっぱり俺たちは向いてないなって早々に気が付きました。自分たちなりに頑張ってはみたものの、周りが凄すぎて。

そのときもいまも気持ち的には同じで、自分たちが一番楽しいと思えるライブをしようと。そこで頑張っていたら、徐々に評価してくれる人が増えて、気が付くと今のような状況に……だから、ツイているだけだと思うんですよ(笑)」

豊本も、「負けてるなぁと思っていますけど、なるべくそれがバレないように、バレないようにやってるんですよ」と、負け犬であることを否定しない。

(角田)「優勝して、テレビでも結果を残したいという思いはありましたけど、なかなか結果がついてこないもんですから。手応えもなく、『今日も何もできないまま帰ってきたな』って、よく反省会を開いてましたね」

やりたい事とやりたくねえ事とが、思い通りにいかない。「キングオブコント」優勝後もそんな状況が続く中、『ゴッドタン』と『ウレロ☆シリーズ』で居場所を見いだせたことが大きかったと、彼らは振り返る。

(飯塚)「無理をしないで、自分たちのまんまをテレビで出させてもらった感じでした。それがよかったんです。どちらの番組も、プロデューサーは佐久間(宣行)さん、構成(脚本)としてオークラ…と東京03のいいところも苦悩も知っている二人が関わっていたこともありがたかったです」

『東京03 in UNDERDOGS』は、前述した番組を彷彿、いやそれ以上に東京03の三人が自由に演じて、楽しんでいる姿が印象的だ。「この番組の構成もオークラが担当していて、彼から“大人のウゴウゴルーガ”のような番組を目指すと伝えられました。負け犬がテーマなのも、僕たちと付き合いが長いオークラの提案なのかもしれない」と飯塚が教えるように、同番組はコントはもちろん、アニメーション、ラジオトークコーナー、歌パート、負けたときに使える英会話講座など、ありがちなコント番組とは一線を画す実験的なコーナーが多い。

(豊本)「短いコンテンツがババババっと連続で続くイメージなので、他のコント番組とは違う感覚だと思います」

コント番組だけどコント番組じゃない。テレビなんだけどラジオっぽさもある。ばかばかしいんだけど無駄に知的だったりする。負け犬がテーマなのに笑えてくる――。“大人のウゴウゴルーガ”とは言い得て妙だ。

(飯塚)「ここまで自由にやらせてもらえるのは、BSだからかもしれないですね」

(角田)「地上波にちょっと苦手意識を持っているような僕らみたいな人間からすると、すごくいい場所かもしれない」

だからといって、「地上波を窮屈に感じているわけではない」と飯塚は付言する。

(飯塚)「僕らはそもそもテレビのど真ん中に行ったことがないので、それほど窮屈な思いもしていないんですよ(笑)。ど真ん中で活躍されている方は、もっとやりたいことがあるだろうし、番組のコンセプトに従う部分もあるだろうから、葛藤があるのかもしれない。でも、僕らはその葛藤がない」

最近は、角田が『半沢直樹』をはじめ役者として活躍するなど、各々が「ど真ん中の仕事」にかかわる機会も増えている。「角ちゃんは役者としてもっと売れる」と飯塚が言うと、「いやいやいや」と角田は謙遜する。が、「売れるって」と譲らない。それを微笑みながら見守る豊本。コントで見たことがある既視感。

(飯塚)「ツイているとは言ったものの、進化していかないとこの状況は続いていかないと思っているんですよ。コントとは違う分野で、僕たち3人がそれぞれ成長して、それを持ち帰ることでもっと面白くなっていくと思います。そういう意味でも、いろいろなことができる『東京03 in UNDERDOGS』は面白いんですよね。東京03を発展させるには、ある程度、他分野でも結果を出していかなければいけないと思っていますから」

いずれにせよ、東京03にとってはテレビも「ひとつの活動の場」。勝負の場は「舞台にある」という考え方は一貫して変わっていない。

昨年から続く新型コロナウイルスの猛威は、いまだ止む気配がない。昨年11月に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで行われた第22回東京03単独公演『ヤな塩梅』は、入場者数の制限を行うなど感染症対策を講じた上で開催。

「久々だったので、めちゃくちゃ楽しかったんですよね。新しいことをする中でも、やっぱり舞台でコントをやっていたい。改めて再確認しました」

そう三人は声を弾ませる。

「もったいないかも」

昨今芸人のYouTube進出が加速しているが、東京03の公式チャンネル「東京03 Official YouTube Channel 」の動画は、ほぼコントのみ。

(飯塚)「DVDを発売しても、すぐに違法アップロードされるでしょ? 対策を取ってすべて消したんですけど、よくよく考えると『YouTube で見てます!』ってすごい言われてたなって(笑)。 もしかしたらこれってもったいないのかも……と複雑な気持ちになりまして、だったら自分たちで管理してネタをアップすれば、DVDのセールスにもつながるんじゃないのかと。

戦略的に動画をアップし始めたんじゃなくて、『もったいないかも』から生まれた偶然の産物。アップする動画がコントばかりなのは……それ以外にやりたいことがあんまりないからなんですよね」

チャンネル開設をした2017年当時は、ほとんどの芸人がYouTubeチャンネルを持っていなかった。積極的に動画配信を利用したPRはじわじわと浸透し、なんと10代の間でも「東京03が面白い!」と人気が爆発するまでに。豊本は「嬉しいけど、そういう子たちが、学校で他の友達と話が合うのか心配になります」と笑うが、昨年8月からは、NHKの中学・高校生向けの歴史番組『アクティブ10 レキデリ』でレギュラーを務めているほどだ。

(飯塚)「10代から人気が集まるなんて夢にも思わなかった!(笑) ホントに人気があるのかと疑っていたんですけど、僕が出させていただいていた『青春高校3年C組』に出演する10代の子たちに聞いたら、本当に僕らのコントをYouTube で見ているんですよ……。信じられないと言うか、本当に面白くて見てんのかなって不安に思っちゃいましたよね」

東京03の単独公演を訪れると、客層の多くが酸いも甘いも経験しただろう30代以上が多い。ある程度人生経験を積んできたからこそ、人間の悲哀やおかしさが分かる――と思っていたのだが、年齢関係なく「面白いものは面白い」と伝わることを証明してしまった。

「逃げんな!」の時代から

そんな東京03に、コント好きの若手芸人があこがれるのも納得だろう。ゾフィー・上田、かが屋・加賀、ハナコ・秋山、ザ・マミィ・林田からなるコントユニット「コント村」など、新しい世代も台頭してきた。「東京03のようにコントだけで食べていきたい」と口にする若手は少なくない。

(飯塚)「頼られるのはありがたいやらはずかしいやら、ですよ。ただ、いちファンとして彼らのことを応援したくなりますよね。というのも、僕たちが若かったときは、『コントだけで食べていきたい』なんて言おうものなら、テレビで活躍することが当たり前の時代だったから、『あまい!』って怒られた。

でも、今はYouTubeなどもあるから現実味がある。そういう意味では恵まれているなとも思います。僕たちですか? 何回も『逃げんな!』って怒鳴られたので、そんなことは途中から言わなくなりました(笑)。

そんな自分たちは、いまはコントで食えている。やっぱり『ツイてるな』って思いますよね。こうやってBSフジでコント番組ができるのは、今まで頑張ってきたご褒美なのかなって。僕と豊本は、『夢で逢えたら』が大好きだったから、テレビでコントができるのは、本当に夢みたい」

繰り返し、「ツイている」と彼らは口にする。そして、「人に恵まれた」とも。

(飯塚)「人力舎という事務所のおかげもあります。『キングオブコント』の優勝後、普通だったらテレビの仕事を優先して入れていくと思うのですが、全国ツアーがやりたいというと、それを実現させてくれた。当時、健在だった先代の社長から、『お前ら、優勝してテレビに出たいなんて思ってないだろうな』って言われたんですよ(笑)。そういう人だったから、僕らも選り好みができたというか」

かつては負け犬だったかもしれない。でも、それを笑い飛ばすためには何が必要か。『東京03 in  UNDERDOGS』は、そのヒントを教えてくれる。

「東京03 in UNDERDOGS ‐今日は負けたけど、明日は絶対勝つ‐」
BSフジ 日曜 深夜0:00~0:30(1月17日・24日の2回は0:30~1:00に放送時間が変更)https://www.bsfuji.tv/underdogs/

  • 取材・文我妻弘崇撮影丸山剛史

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