『天国と地獄』綾瀬はるかには「キャラ強ドラマ」がよく似合う | FRIDAYデジタル

『天国と地獄』綾瀬はるかには「キャラ強ドラマ」がよく似合う

キャラが立っている役ほど好演するそのワケは?

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綾瀬はるかが2年ぶりに、連続ドラマへ主演する。タイトルは『天国と地獄〜サイコな2人〜(以下、天国と地獄略)』、共演は高橋一生。放送枠はTBS系日曜21時、お父さんたちが明日からのエネルギー補給をするドラマタイムである。

スタート前から内容に期待が高まる理由の一つに、綾瀬はるかが演じるキャラクターがある。今まで数々の作品に出演してきた彼女を観ていて思うのは、特殊なキャラを演じるほど、他の女優陣に比べて強烈な輝きを放つということだ。ドラマをより楽しく見るためにも、このポイントをよーく覚えておいて欲しい。

やる気スイッチの入り方、芸能界随一

綾瀬が“濃キャラ”を演じると最高すぎる――。この現象を確信したのは、彼女が一昨年の『第70回NHK紅白歌合戦』で紅組の司会を務めていた時のこと。普段の綾瀬といえば、各所で見せる天然ボケ全開の可愛らしいキャラクターで知られている。そのボケを観たい視聴者の期待を裏切らず、曲紹介は噛んでしまうことが多かった。3回目の司会とは思えない初々しさを醸し出していたのだ。

そして番組が中盤に差し掛かる頃、コントコーナーがあり、総合司会の内村光良とともに、金髪ウィッグをつけて“シャーロット”というキャラに扮して登場。その瞬間に彼女が纏っていたボケムードは一転、カタカナ英語だらけのセリフを一切噛むことなくスラスラと披露して、“濃キャラ”を完璧に演じていた

その様子に笑いを通り越し感動を覚えてしまった。そこで気づいて彼女が出演していたドラマ作品を振り返ってみると、キャラ設定が固まっている役柄ほど面白く演じていることに気づく。

まずは「ぶちょお〜!」のセリフを思い出す『ホタルノヒカリ』(日本テレビ系・2007年)の、恋愛するよりも寝転がっていたい雨宮蛍役。美人臭を消した、完璧な干物女を演じていた。このドラマ、続編も放送、映画化もしたというからそこには彼女の力が作用したはず。それから女芸人がモノマネを頻繁にする『JIN-仁-』(TBS系・2009年)の、橘咲役も往年の時代劇ファンの見解からすれば疑問に思った部分もあっただろう。それでも完璧なキャラを手中にしていた。

そしてこのパワーを決定づけた2作品がある。まずは『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系・2017年)特殊工作員という過去を持つ伊佐山菜美役は一見すると、衣装でも隠しきれないスタイルの良さが際立つ、主婦役。ただ一度、スイッチが入るとどんな敵も強靭な力と技で倒していく。そして戦い終えると、家に戻っていく。菜美はおとなしい性格の設定だったのに、工作員の血が騒ぐ時の演技は完全にキャラが立っていた。強烈なキャラだけではなく、静かなキャラも綾瀬の手にかかればいつの間にか、ドロン、と濃厚になっている。

“天然ボケ”と“濃キャラ”の間で今日も揺れる

2020年の年頭にスペシャル版が放送されていた『義母と娘のブルース』(TBS系・2018年)こそ、“濃キャラ”演技が確立されていた。感情を表に出さない、淡々とした性格、口調の宮本亜希子役。常にきっちりとしたまとめ髪で、メガネ着用、スーツ姿が基本のキャリアウーマンという役柄は、ギャグと紙一重だった。そんなお堅い亜希子だったけれど、義娘へのたゆまぬ愛情を見せる様子に、放送中何度も泣かされてしまった。

“濃キャラ”も様々な種類があって、近年では怪演と呼ばれるサイコパスなキャラを演じることが話題に上がることが多い。ただ前述してきた綾瀬の出演作を見直すと、キャラ自体が強烈ではないものの、彼女が演じることで急に濃くなっているパターンがほとんどだ。元々、原作があるのでそのキャラを生真面目に演じているのだろうか? それとも良きタイミングで神が降臨してくるのだろうか? いずれにしても彼女が役に着地する瞬間を覗き見してみたい。

こんなパワーを持つ綾瀬が挑む『天国と地獄』警視庁捜査第一課の望月彩子(綾瀬)が、ベンチャー企業の社長と入れ替わってしまうという内容だ。原作はなく、脚本家・森下佳子によるオリジナル作品、そして意外にも刑事役が初挑戦となる彼女の新境地を、目を見開いて確認しようと思う。

※『天国と地獄』は1月17日(日)21時スタートです

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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