渡部、東出、W木下…不祥事で「許されないタレント」の境界線
なぜこんなに違うのか?
不倫、淫行、パワハラ、恫喝……近年、芸能界ではさまざまな不祥事が絶え間なく起こってきた。しかし、不祥事を起こした有名人のその後については、明暗がくっきり。許される人と許されない人の分かれ目はどこにあるのか。テレビマンや広告代理店の担当者らへの取材から、〝復帰の境界線〟を探る。
境界線① 不祥事の内容
民放の番組には、バラエティであれワイドショーであれ、必ずスポンサーが存在する。タレント起用を決めるうえでスポンサーの意向は絶対だ。重視されるのは、何よりタレントのイメージ。当然、不祥事の内容がエゲつないほど、復帰は難しくなる。大事なのは、不祥事前のイメージとのギャップだという。
「顕著な例が、『アンジャッシュ』の渡部建(48)です。清潔なイメージを売りにしてきたのに、『多目的トイレ不倫』ですからね。とくに女性視聴者からの嫌悪感はすさまじいものがありました」(民放キー局プロデューサー)
’16年に20歳年下美女とのラブホ不倫が報じられた三遊亭円楽師匠(70)は、その点、大きなダメージはなかった。
「令和になった今でも、『オンナ遊びは芸の肥やし』と考える視聴者は少なくありません。『千鳥』の大悟や『オードリー』の春日俊彰も浮気が発覚しましたが、芸能活動にはほとんど影響しなかった」(広告代理店プランナー)
不祥事の内容については、傷ついた人がいるかどうかも重要だという。
「渡部は妻の佐々木希を、’20年に唐田えりかとの不倫が報じられた東出昌大(32)は妻の杏を傷つけたことが大きなイメージダウンにつながった。あえて言えば、違法薬物で逮捕されたほうがまだマシだったかもしれません。薬物は直接的に傷つけた人がいない分、法に基づいて罰を受け、禊(みそぎ)を済ませれば、復帰はできる。元プロ野球選手の清原和博なんかが良い例。沢尻エリカもしばらくすればドラマに起用されて話題を呼ぶかもしれません」(前出・プランナー)
境界線② 不祥事後の対応
この点でも渡部は大失敗だった。’20年12月にやっと会見を開いたが、「申し訳ありません」と繰り返すばかり。一方、会見が大成功となったのが、’17年に未成年淫行が本誌報道で明らかになった狩野英孝(38)である。リポーターから「相手が未成年だと気づいたのはなぜか」と問われ、「野生の勘」と答えた狩野の会見は、もはや伝説となっている。
元毎日放送プロデューサーで同志社女子大学学芸学部メディア創造学科教授の影山貴彦氏が言う。
「視聴者は会見で見えるタレントの〝素の部分〟を見逃さない。〝素の部分〟を言い換えれば、タレントの持つ華とも言えると思います。狩野のあの会見を見た多くの人が、『憎めないヤツだな』と思った。真面目にやっているのに笑えてしまう。それが狩野の華であり、華があるタレントは世間に求められるのです」
境界線③ 事務所への忖度
明暗がハッキリと分かれたのは、『雨上がり決死隊』の宮迫博之(50)と『ロンブー』の田村亮(48)だろう。亮はすでに復帰。宮迫のテレビ返り咲きの目処は立っていない。
「宮迫と亮がそろって会見を開いたとき、吉本は激怒したんです。事務所が必死に情報収集しながら最善策を模索している最中に勝手に会見したうえ、会社を公然と批判したわけですからね」(吉本関係者)
その後、宮迫は砂をかけたままユーチューバーとしてデビュー。一方の亮は相方の田村淳に仲介に入ってもらいながら、吉本との和解を果たした。
「以前ほど事務所の影響力というものはテレビ界にありません。しかしバラエティ番組を作るうえで、吉本芸人に頼らざるを得ないのもまた事実。吉本が嫌っている宮迫をわざわざ起用したいというテレビマンはいないし、そうしなければいけない理由もありません。吉本に限らず力のある事務所への忖度は存在します」(前出・プロデューサー)
境界線④ タレントの格
ジュエリーデザイナーとの逢瀬を楽しんでいた渡辺謙(61)の〝NY不倫〟が発覚したのは’17年3月。乳がん闘病中だった妻・南果歩を裏切っての不倫だっただけに、バッシングされる要素は揃っていたように思えるが、さほどダメージは受けなかった。前出・影山氏が言う。
「不祥事を起こしたタレントが大きすぎる存在になると、〝叩きづらい〟という大衆心理が働くんです。渡辺謙は世界的にも実績のある大物俳優であり、日本の誇りですからね。その点、世間が小物と判断した場合は、バッシングが激しくなる。顕著なのは木下優樹菜(33)でしょうか。特別な芸があるわけでもないのにテレビに出ている、と視聴者から判断されているタレントは容赦なく叩かれます」
唯一無二の演技派俳優や視聴率を持っている大御所といった替えの利かない有名人は、多少の不祥事では揺るがないというわけだ。
復帰の時期は、①~④の基準に、こんな要素を加味して判断されるという。
「SNSやネット掲示板、ニュースサイトのコメントなどは常にチェックしています。そこで好意的な声が多ければ、スポンサーへのプレゼン材料になります。そして、最後はタレント本人の人柄。現場から復帰させたいという声があるかどうか。結局、周囲の人が熱意をもってサポートしない限り、不祥事タレントの復帰はありえないんです」(前出・プロデューサー)
不祥事は令和になっても続くだろう。有名人の〝その後〟を決めるのは、彼らの身の処し方次第だ。
許されない人
雨上がり決死隊 宮迫博之
TKO 木下隆行
石田純一
木下優樹菜
東出昌大
許された人
渡辺謙
チュートリアル 徳井義実
三遊亭円楽
バナナマン 日村勇紀
ロンブー 田村亮
『FRIDAY』2021年1月22日号より
- PHOTO:坂口靖子 島颯太 結束武郎 斎藤雅昭 濱﨑慎治 山田宏次郎 西原 秀 アフロ 蓮尾真司 原 一平 川上孝夫 等々力純生