水道がなくても水が使える機械を開発!『WOTA』CEOの自信 | FRIDAYデジタル

水道がなくても水が使える機械を開発!『WOTA』CEOの自信

2021ブレイク確実のニュースター大集合!

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手洗いだけでなく、トイレよりも雑菌が多いとされるスマホも除菌可。前田氏は東京大学大学院卒で総長賞受賞

真っ白なドラム缶の上に設置された蛇口に手をかざせば、きれいな水が流れる。水を口に含むと、柔らかな口当たりだ。手洗いの間、スマートフォンも紫外線照射で除菌できる。

水循環型ポータブル手洗い機『WOSH』がいま注目を浴びている。開発者で『WOTA』代表取締役CEOの前田瑤介氏(28)はこう語る。

「AIを活用して3段階のフィルターに通すことで、水を何度も再利用できるようにしました。ドラム缶状の『WOSH』に20リットルの水を補充すれば、連続で500回以上の手洗いができます。

水道設備は不要で、電気があればどこでも使えるし、持ち運びもできます。すでに都内のカフェやデパート、歩行者天国に設置し、沖縄にも先行納入しています」

2011年3月10日、前田氏は東京大学の合格発表を見るために地元・徳島から上京。翌11日に東日本大震災が発生した。水の供給が止まり、パニックに陥った首都・東京の脆弱さが起業の出発点となった。

前田氏は「井戸のような水のインフラができれば」との思いを抱き、研究開発に励み、2014年に別の東大生が創業したWOTAに加わる。2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨、2019年に台風が直撃した千葉県などの被災地で、排水を浄化して再利用するシャワー「WOTABOX」が避難所で力を発揮した。

同社が開発したこの機械では、100リットルの水で一日100人がシャワーを浴びることができ、しかも排水はわずか2リットル。被災者に大いに喜ばれた。避難所では、次の目標も見つかった。

「避難所では、手洗いに特化した機械も望まれていました。仮設トイレが設置されても、水道がないので手が洗えない。避難所は、感染症の温床とも言える場所です。不特定多数の人が集まるのに、水を使えなければ、感染症対策がなかなか進みません。

せめて仮設トイレの脇に手洗い機があれば感染症対策になるだろうと思い、2019年9月、WOTABOXを分解して組み直し、簡易版として作ったものがWOSHの原型です」

前田氏が振り返るように、WOSHはもともと、被災地での災害支援のためのものだった。そんな中、新型コロナの感染が世界的に拡大し、手指消毒の観点から大きな注目を集めるように――。

「2020年1月末、あるカフェチェーンの経営者の方にWOSHをお見せしたら、是非、店の入り口に置きたい、と言われました。その頃、日本国内でも新型コロナウイルスの感染者が増え始めていて、トイレに行って手を洗ってからレジに並ぶお客さまが目につくようなっていたそうです。

入口で手を洗ってから店内に入ってもらったほうが清潔だけど、入り口には水道がないので、どうすべきかを考えていたタイミングのようでした。ちょうどWOSHがその方のニーズにマッチしたのでしょう。

さらに水を循環して使うWOSHが店頭にあることで、『水を無駄にしない』という環境に対する意識や価値観をお客さんに知ってもらえるという効果もあるのではないでしょうか」

WOSHは1台月2万2000円(税別)で24ヵ月間リース可能で、販売は昨年12月に始まったばかり。11月末時点で予約は4000台を超えていたという。

「まだ自社で工場を持つ体力はないので、関西にある電機メーカーの工場で月1000台生産しています。2021年前半には、徐々に出荷台数も引き上げていく予定です。

いつでもどこでも手が洗えるように、コンビニや駅、空港、病院、デパート、球場など、人が集まる場所すべてにWOSHが置かれるようになって、街の景色を変えてみたい」

世界的にも注目を集めるベンチャー企業の社長だが、スーツは「4〜5万の既成品」。趣味について尋ねると「散歩」と即答し、こう続けた。

「私は徳島の田舎出身で、子供の頃の遊びといえば、川下りでした。水に浮かんで川を下っていくと、良いアイディアが浮かんだり、集中力が高まったりするんです。でも、東京にはそういう川がないので、もっぱら散歩をしています」

河川が多い日本は水に恵まれているが、世界的に水は貴重な資源である。世界保健機関(WHO)によれば、世界で7億8000万人以上の人々が安全な水を手に入れられずにいる。そして、水不足によって300万人を超える人々が毎年亡くなっている。

シンガポールでは、下水を飲料水に再利用するための取り組みが始まるなど、水をめぐって各国が研究・開発を競っているのだ。

「2050年には世界の半数が水不足に直面するという推計もあります。今も世界の病院の16%にはしっかりとした手洗い設備がない。手も洗えずに手術をする国が世界にはあるんです。

日本だけでなく、世界の島嶼部、乾燥地域、そして人口密集地など、多くの場所で水を浄化して再利用できるようになれば、水不足問題を解決できる。私たちの活動がその一助となればと思っています」

2021年に前田氏はWOSHをまずはアメリカ西海岸に出荷する予定だ。

ポータブル水再生プラント『WOTA BOX』(右)を使用すれば、災害時に水道がなくてもシャワーを浴びられる
本誌未掲載カット 前田瑶介・『WOTA』代表取締役CEO 2021ブレイク確実のニュースター大集合

『FRIDAY』2021年1月22日号より

  • 撮影鬼怒川毅

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