大統領就任式へ厳重警戒…アメリカの極右が「内戦準備」の可能性 | FRIDAYデジタル
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大統領就任式へ厳重警戒…アメリカの極右が「内戦準備」の可能性

全米各地で流血もあり得る1月20日の「最終決戦日」〜黒井文太郎レポート

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1月20日の大統領就任式を狙ったテロに警戒を強める首都ワシントン AFP/アフロ

アメリカの民主主義が死んだ日。2021年1月6日、議事堂に暴徒が突入。死者5人を出す惨事となった。バイデン新大統領の就任式に向けて、国内では不穏な動きが見られる。軍事ジャーナリスト黒井文太郎が、国内外の情報を分析。そこには、震撼するような「計画」があった。

1月6日の議事堂占拠の際、ひとりの警官が死亡した。「アメリカの正義」の言葉が虚しい ロイター/アフロ

リークされたFBI内部文書にあった「計画」は

1月13日、米議会下院は、トランプ大統領に対する弾劾訴追の決議案の採択が行われ、賛成多数で可決された。トランプ支持派はこうした民主党のトランプ降ろしを「不正義な陰謀」とみなして強い反発を示しており、再び暴力に訴えてくる可能性がある。

11日にも「全米各地でトランプ支持派の武装集団によるデモが計画されている」というFBI内部文書がリークされ、米報道各社が報じた。同文書によれば、そうしたデモは1月16日から大統領が交代する20日まで、全米50州の州議会議事堂で、ワシントンの連邦議会議事堂でも17日から20日まで計画されているという。

またこの内部文書によると、FBIはあるグループの指令に関する情報を得ており、それによると、彼らは「トランプ大統領罷免の場合には、全米各地の行政機関と裁判所を襲撃する」ことを呼びかけており、さらに1月20日に「全国で政府機関を襲撃」することを計画しているという。「バイデン新大統領やハリス新副大統領、ペロシ下院議長らへの襲撃計画」を匂わす情報もあるらしい。

1月6日の「暴動」は、アメリカ社会全体にとっては「トランプ大統領の政治的影響力の弱体化」に結びついたが、過激なトランプ“信者”の間では、「1月6日に出来たことは、またやれる」と、むしろ「プラス」に受け止められている。

デモ隊による占拠から一夜あけた議事堂。室内には割れたガラス、破壊された調度が散乱していた AFP/アフロ

陰謀論を信じる極右団体の情報を分析する

連邦議事堂乱入では、身元が判明しただけでも、さまざまな団体、人々がいた。共和党員、極右過激派、白人至上主義者、元軍人などもいたが、その多くがQアノンの信奉者だったことが、1月11日付のAP通信など米メディア各社の報道から伺える。

危険な人物も目撃されている。たとえば南カリフォルニアのネオナチ組織「ライズ・アバーブ・ムーブメント」(すでに摘発されて解散)の元活動家だったビンセント・フォックスも議事堂内に侵入した。

反ユダヤ系白人至上主義グループ「グロイパー・アーミー」のメンバーも議事堂内で目撃されている。同グループのリーダーであるニック・フルエンテスの議事堂内乱入は未確認だが、集会には参加している。極右のネット・コミュニティ「アンチコム」の創設者のひとりであるゲイブ・ブラウンも、集会で目撃されている。「アンチコム」は2017年に爆弾製造マニュアルを投稿したことで知られる。

議事堂乱入そのものではなく、関連して逮捕されたなかには、あきらかに「危ないタイプ」もいた。アラバマ州から車でやってきたロニー・コフマンは、議事堂付近に乗り付けたピックアップトラックに、M4カービン銃、爆発物11個、拳銃を隠し持っていた。彼は6日夜にトラックに戻ったところを逮捕されたが、その時、拳銃2丁を所持していたという。

「これは戦争だ」ブレーキが壊れた暴走の行方

コロラド州からトレーラーで来ていたクリーブランド・メレディスは、集会に遅れて乱入には参加していないが、暴行容疑で逮捕された。彼は車内に銃器類と約2500発の弾薬を持っていたが、その中には320発の自動小銃用徹甲弾も含まれていた。彼はメッセージで「今後12日以内に多くの人が死ぬ」「民主党のペロシ下院議長を襲撃する」「ワシントンのミュリエル・バウザー市長を襲撃し、ワシントンを燃やす」「これは戦争だ。いくつかの頭を切り落とす準備ができている」などと書き込んでいた。

こうした人々の多くは、特定の組織というよりは、ネット上でのコミュニティに参加していた。そこでは、1月6日にワシントンに集まること=「アメリカのための行進」活動が、かねて呼びかけられていた。しかもそこでは「議事堂の嵐」と名付けられた議事堂侵入ルートや襲撃法についての議論もされていた。「ドアや窓を破るためにバールが必要」などとの書き込みもあった。ちなみに「嵐」という用語は、Qアノン信者によく使われる言葉である。

こうしたネット上のコミュニティは現在も意気軒高で、1月20日の新大統領就任式当日に「ミリシア(民兵)100万人行進」が呼びかけられ、バットや銃の携帯が奨励されている。

今後も就任式に向けて、トランプ支持者が何らかの行動を起こすことは間違いないが、その行動の過激度は、やはり現場で組織的行動がとられるか否かが大きい。その点で注目されるのが、極右組織だ。

トランプ支持の極右組織としてもっとも有名なのは「プラウドボーイズ」である。反移民・反イスラムを掲げる白人至上主義系グループで、反人種差別デモとしばしば衝突している。正式なメンバーは数百人とみられるが、近年非常に知名度を上げており、支援者も含めると動員数はかなり大きいとみられる。

今回の1月6日のワシントンでの集会でも、メンバーが確認されている。ただし、現在、同グループは当局の摘発を警戒し、自分たちの身元を表に出すことを避けている。もともと黒地に黄色ラインのポロシャツを着用するのがトレードマークだったが、実は昨年12月、リーダーのヘンリー・タリオが1月6日行動に向けて「目立たないように、小さなグループに分かれる。いつもの服は着ずに、黒一色がいい」などと指示していた。

実際、6日の集会ではいつものポロシャツ姿は見られなかった。しかし、前夜には集会や街中で黒シャツのプラウドボーイズが確認されており、当日も当然、参加していたと思われる。ハワイ支部のメンバーであるニック・オックスが、議事堂内からツイッター報告しており、逮捕されている。

事件後、プラウドボーイズのSNSでは、個人を特定する証拠は示されていないが、議事堂侵入での指導的役割が「誇示」されている。彼らは今後も1月20日にかけ、再び秘密裏に動くだろう。

極右「武装」集団の危険性

プラウドボーイズよりさらに危険な存在が、ミリシア(民兵)だ。ミリシアは、銃の所持が合法のアメリカで、重武装で自警することを掲げるグループだが、中西部に多く、独自に軍事訓練なども行う。全米にはいくつも存在するが、その多くが政治的には極右系である。

1月6日のトランプ派の集会では、政治的極右として知られる2つのミリシアが大きな役割を果たした形跡がある。

ひとつは、アイダホ州を本拠とする「スリー・パーセンターズ」というグループだ。これは「独立戦争時にイギリスと戦ったのはアメリカの入植者のわずか3%だった」という「誤認」をベースに、自分たちこそ「その3%の遺志を継ぐ者」と考えるグループである。

「アメリカ人から国を奪おうと陰謀を企てている悪から、国を取り戻す」と主張し、今回の選挙では、ロシアと通じて陰謀論を撒き散らしていたトランプ政権初代安全保障担当補佐官のマイケル・フリンを崇拝し、「我々はフリン将軍を先頭に、その戦いに入る準備ができている」との声明を発表している。

さらにトランプ弁護団のルドルフ・ジュリアーニ、シドニー・パウエル、リン・ウッドなどに対しても「この戦いの道を示す人物」だと称賛している。彼らこそトランプ陣営の「選挙不正デマ」の発信者たちだ。

まさにクーデター宣言のような主張だが、動員力ということでは、もっと危険なミリシアがある。ネバダ州を本拠とする「オース・キーパーズ」(誓いの守護者)だ。

彼らはミリシアのなかでもとくに、元軍人、警察官、消防士などを中心に構成され、統率されている。当然、戦闘力も強い。賛同者のリストには約2万5000人もの名前があり、その3分の2は、軍や法執行機関の勤務経歴があった。しかも、うち1割は現役でもある。もちろんそのすべてが動員できるわけではないが、ミリシアのなかでも突出した「戦力」を持つとみていいだろう。

民兵組織が「暴動」を煽動、コントロール

1月6日の暴動時、議事堂の入り口に整然と向かう一団の姿が撮影されている。彼らはいずれも防弾ベストにヘルメットを装備しており、オース・キーパーズのメンバーであることを示すワッペンを付けていた。

このワッペンを付けた集団は、デモ隊と警察がもみ合う場面でも撮影されている。彼らはデモ隊の先頭を囲むように展開し、メガホンでデモ隊を扇動していた。議事堂侵入の証拠映像は撮られていないが、負傷した仲間を建物の外に運び出す場面が、撮影されている。また、議事堂に向かう途中の一団が、「我々は議事堂内部に入った」と報告する仲間と連絡をとっていた場面も目撃されている。

同団体の創設者であるスチュワート・ローズはかねて米国の「内戦」について言及しているカリスマ的リーダーで、議事堂内では確認されていないが、議事堂外で、部下に指示している様子が目撃されている。

ちなみに、同組織の元メンバーで射撃場経営者のサム・アンドリュースが「武装し、ワシントンに一斉に集まる必要がある」と主張する動画が極右サイトで急速に拡散し、トランプ支持派の間では有名になっている。

いずれにせよ、こうしたミリシアや極右グループは今、「最後の決戦」に向けて行動を呼びかけている。当局はすでに大規模に州兵を展開させており、徹底的に警備するだろう。しかし全米の各地で、銃器で「武装」した暴走集団が結集する。何が起こるか。予断を許さない。

  • 取材・文黒井文太郎写真AFP、ロイター/アフロ

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