菅野美穂、中谷美紀、篠原涼子…アイドル時代の知られざる苦労

久々のドラマ主演が話題となっている菅野美穂（43）。『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』（日本テレビ系）で、売れっ子恋愛小説家のシングルマザーを演じており、初回視聴率は10.3％と好調の二ケタ発進。43歳になる菅野の変わらないキュートさにも、注目が集まっている。

菅野といえば長年、多数の作品で主演を張り続け、数々の演技賞も受賞している。まさに“大御所女優”と言える存在だが、意外にもその芸能活動のスタートはアイドルだった。菅野と同世代の芸能記者は次のように振り返る。

「菅野さんが所属していた桜っ子クラブさくら組は、1990年代前半に活躍したグループ。当時、テレビ番組内でオーディションをおこないアイドルや歌手を生み出す、という企画が人気だったのですが、さくら組も『桜っ子クラブ』（テレビ朝日／1991～1994年）というバラエティ番組内で結成されたグループです。その中で菅野さんはそこまで目立つ存在ではありませんでしたが、早くから女優として活躍していた。

さくら組じたいは、番組の終了とともに94年に解散したのですが、彼女は演技力を武器に、むしろ解散後ブレイクした印象です。ここまでの地位に上り詰めるとは思いませんでしたね」

「何だこの美少女は！」

実は菅野と同じ40代女優には、同様にアイドル出身の意外な大御所女優が多くいる。そこから菅野と同レベル、いや菅野以上の地位に登り詰めた女優についても紹介したい。

「一人は菅野さんと同じさくら組出身の中谷美紀（45）です。抜群の美少女ぶりとスタイルの良さで目立っており、歌唱中もよくアップを抜かれていたのを覚えています。そんな逸材を業界が放っておくはずがなく、93年にソロデビューしました。

その後、日本石油（現ENEOS）のCMに出演すると、アイドルとしての中谷を知らなかった人たちが『何だこの美少女は！』と騒然とした。そこから一気に、女優としてスターダムを駆け上がった印象があります」

さて、もう一人のアイドル出身大御所女優といえば、あの篠原涼子（47）だ。もはや国民的トップ女優といってもいいほどの存在だが、そこに至るまでの道のりはというと、菅野や中谷とは比べものにならないほどの苦労を重ねているようだ。

「篠原が所属していたのは1990年に結成されたTPDこと東京パフォーマンスドールです。TPDはアイドルといってもダンスパフォーマンスを売りにした、どちらかというとカッコイイ系のグループでした。それだけに当時の若者にはあまり受け入れられず、篠原さんも売れるきっかけをグループの外に求めていた印象があります。

それが『ダウンタウンのごっつええ感じ』（1991～1997年／フジテレビ系）への出演でした。誰かの目にとまることを切望して、お笑い番組で何年も体を張り続けていました。同じ時期に同番組に出始めた松雪泰子（48）が、４ヵ月ほどですぐに人気が出て卒業していきましたから、心中ツラいものがあったと思います」

諦めなかった甲斐あって、篠原は小室哲哉の目にとまる。『恋しさとせつなさと心強さと』（1994年）でソロデビューしたのだ。

「これがミリオンヒットとなり、大ブレイクしました。ところがあまりに最初のヒットが大きすぎたため、その後はこの壁が越えられなかった。芸能人としてもこのまま消えていくものと思っていたのですが、彼女には幸運なことに演技の才能があった。

女優としてジワジワ評価を高めていき、2005年の『anego』（日本テレビ系）で大ブレイクを果たしました。その後は『アンフェア』（2006年／フジテレビ系）や『ハケンの品格』（2007年、2020年／日本テレビ系）など代表作を多数輩出。アイドル出身の現役女優では、一番大成した存在ではないでしょうか」

アイドル全盛時代と言われて久しい昨今。アイドル活動を足がかりに、女優に転身していった存在も数えきれないほどいる。いつか菅野や篠原たちのように、その中から日本を代表する女優が再び生まれるのだろうか。