超ビッグネームが続々来日!ラグビートップリーグの「見どころ」
世界最優秀選手ボーデン・バレットはサントリーに加入

日本代表がベスト8進出という快挙を成し遂げた『ラグビーワールドカップ2019 日本大会』から約1年。ラグビーに再び熱い視線が集まっている。スポーツライターの宮崎俊哉氏が声を弾ませて言う。
「トップリーグのラストシーズンはすごいことになりましたね。海外の超一流選手が続々と日本のチームに移籍してきたんです。野球で例えるなら、メジャーリーグのトップ選手たちが大勢日本に来たようなもので、開幕前から大きな話題になりました」
ワールドクラスの選手が一堂に会し、ぶつかり合う『ジャパンラグビートップリーグ』。延期を経て、2月20日に開催されることが決まったが、海外選手はどんなプレーで会場を沸かせてくれるのか。
「最も注目すべきはサントリーに加入したニュージーランド代表のボーデン・バレット(29)ですね。『オールブラックス』の絶対的司令塔で、パスやランなど個人技も超一流。しかも、現役バリバリでこれからピークを迎える選手です。世界一の選手と言ってもいいでしょう。
グレイグ・レイドロー(35)のNTTコミュニケーションズ移籍も衝撃的でした。日本代表は’15年のワールドカップで彼がキャプテンを務めていたスコットランド代表に惨敗しました。彼が放つ正確無比なキックやパスで試合を完全に支配されたので、レイドロー一人に負けたと言っても過言ではありません。’19年にリベンジを果たしましたが、そんな宿敵である日本によく来てくれたなと思います」(前出・宮崎氏)
トヨタ自動車にはオーストラリア代表のキャプテンを務めるマイケル・フーパー(29)が、NTTドコモには前回ワールドカップの優勝国・南アフリカのエースであるマカゾレ・マピンピ(30)がそれぞれ加入した。今なぜ有名海外選手が日本に集まってくるのか。ラグビーライターの向風見也(むかいふみや)氏はこう分析する。
「理由は三つあると考えています。まずは金銭的な条件が良いことです。フランスなどコロナ前の欧州リーグにはやや見劣りするかもしれませんが、ニュージーランドや南アフリカなど南半球の選手にとって日本は自国リーグよりもはるかに高額な年俸を見込める国の一つになっているんです。
二つ目は環境です。日本の治安の良さはやはり抜きんでています。出身国によっては『子供が外で遊べるなんてすばらしい』と言っている選手もいるほどです。ワールドカップ日本大会を経験した選手の中には、飲食店やホテルでの〝おもてなし〟が気に入ったという人も少なくありません。
歴史的背景も一因となっています。トップリーグは日本代表監督を務めたエディ・ジョーンズなど世界的なヘッドコーチたちを多く起用してきました。彼らはチームを強くするために、グラウンド内外で良い影響を与える選手を常に探しています。すると結果的に、国際舞台で実績を残した選手が集まるわけです。
また、日本でプレーした選手が母国の仲間と連絡を取り合い、良い評判を広めたこともトップリーグに人が集まる要因になっています。ラグビーは『人が人を呼ぶ』スポーツだと言われています」
’22年1月に、トップリーグは発展解消し、新リーグとして生まれ変わる予定だ。まだ発展途上の日本ラグビー界にとってスター選手の来日は、大いに刺激となるに違いない。
「彼らと国内選手がぶつかることによって、世界レベルの実力を肌感覚で知ることができます。日本代表チームの強化につながることを期待しています」(前出・向氏)
’19年のワールドカップは日本を沸かせた。’21年はトップリーグから「第三次ラグビーブーム」が始まるかもしれない。

グレイグ・レイドロー(35)

マイケル・フーパー(29)

マカゾレ・マピンピ(30)

『FRIDAY』2021年1月29日号より
写真:共同通信社 アフロ撮影:足立百合