森七菜 移籍の裏にあった「仁義なき争奪戦」の深層
総力取材 芸能ワイド どうする?人生の分岐点
「円満に移籍するチャンスはいくらでもあった。なのに彼らは森の才能に胡坐(あぐら)をかき、まともに話を聞こうとしなかった。そのツケをいま、払わされているのだと思います」(芸能プロ幹部)
1月14日夜、所属事務所『アーブル』のホームページから突如、森七菜(19)の名前が消え、公式インスタグラムも全削除された。「人気急上昇中の女優にいったい何が!?」と、ファンも芸能マスコミも彼女の身を案じたのだが――取材を進めると、意外にも、芸能界では冒頭のような冷ややかな声が少なくなかった。
「翌15日には森が大手事務所『ソニー・ミュージックアーティスツ』(以下、SMA)への移籍を進めていることが明らかになり、騒動は鎮火するかに見えました。ところが、森が『アーブル』に契約解除を申し入れたのは昨年12月で、1月14日の時点では、まだ『SMA』と契約していなかったという話が伝わり、大炎上したのです。『アーブル』との契約はまだ残っていたはずなのに、本人からも『アーブル』からも何の説明もないまま、森七菜という女優が無所属、宙ぶらりんになってしまった。見切り発車にもほどがありますよ」(スポーツ紙芸能担当記者)
森が逸材であることは論をまたない。
`16年に地元・大分でスカウトされて芸能界入りするや、わずか1年で映画と連ドラ出演を果たし、`19年には2000人ものオーディションを勝ち抜いてアニメ映画『天気の子』のヒロイン声優の座を射止めた。昨年のNHK朝の連続テレビ小説『エール』では二階堂ふみ(26)の妹役、『この恋あたためますか』(TBS系)では主演に抜擢され、評価を不動のものにした。
この大ブレイクが移籍劇の発端となったのかと思いきや、前出の芸能プロ幹部は「遅くとも、森が『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)を撮影した`18年には争奪戦は始まっていた」と証言する。
「当時、『アーブル』は広告タレントキャスティング会社『ギャンビット』の一部門という位置づけ。芸能のノウハウも人的資源も不十分で、とても森のマネジメントはできないと見られていた。だから大手芸能プロが続々と『アーブル』に出向き、移籍交渉を行ったのですが……取り付くシマもなかった。最近でも、最大手の事務所が業務提携を申し出ていましたが、成立せずに終わっています」
立ちはだかったのは、森をスカウトしたマネージャーA氏だった。
「森と同じ大分出身の30代の女性で、『私はこの子に人生を賭けた』『必ずスターにしてみせる』が口グセ。テレビマンと顔を合わせるたびに森を売り込み、ツテをフル活用してオーディション情報を集めた。『悪い虫が近寄らないように』とプライベートも管理する力の入れようでした」(『アーブル』の関係者)
A氏の奮闘の甲斐あって、森は順調に売れた。『アーブル』は`19年に『ギャンビット』から離れて、新宿に事務所を構えたのだが――民放ディレクターが囁(ささや)く。
「今回の移籍騒動を受け、関係者が一斉にA氏の携帯に電話したのですが、『何も言えないんです……』の一点張り。A氏の相談を受けていた知人も『話すと(A氏が)潰されちゃうから』と口を閉ざしています。
気になるのは森の母親の動き。撮影現場にちょくちょく顔を出し、マネジメント方針にも口を出す〝ステージママ〟として有名なのですが、他事務所の関係者と連絡先を交換する場面が度々、目撃されているんですよ。今後の活動について助言を求めていたようで、『SMA』の幹部にも著名プロデューサーを介して相談があったといいます。人気女優に相応しい待遇を求める家族側と、弱小事務所の未来も考えねばならないA氏との間に溝ができてしまったのではないか」
自身の名前やSNSが消されたその日、森は『日本ジュエリーベストドレッサー賞』の表彰式に出席していた。そこには、契約していないはずの『SMA』の役員とマネージャーがいた。若き才能が日常を取り戻せるのはいつか。
『FRIDAY』2021年2月5日号より
- PHOTO:結束武郎、中村和彦(日本ジュエリーベストドレッサー賞)