「菅はある意味安倍よりタチが悪い」近田春夫がそう思うワケ | FRIDAYデジタル

「菅はある意味安倍よりタチが悪い」近田春夫がそう思うワケ

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音楽活動50年、近田春夫がコロナ禍に思う「そんなのインチキじゃん?」 

「的確に時代を先走る男」近田春夫さんが此の度、自伝『調子悪くてあたりまえ』を上梓。長引くコロナに思うことの多い昨今…。なぜこのタイミング? コロナ禍に何を考えていた? というわけで人生の先輩に「世の中あれこれモヤってるけど、そこんとこどう思う?」をガッツリ聞いてきた。

「全部書いちゃってかまいませんよ」とお許しをもらったので、近田さんの本音をズバズバ書かせていただきます!

安倍晋三は結局、逃げちゃったんだと思う

前回取材をお願いしたのは「無症状感染者がヤバいらしい」との話が浸透してきた1年前の初春のある日。思えば皆、コロナ初心者であった。

225日に最後のライブがあって、そのときはギャグでマスクをしたまま歌ったりしてたんですよ。まだその程度の認識で、オリンピックだって一応やるだろうぐらいに思ってたんですよね」(近田春夫さん 以下同)

当時の安倍政権のコロナ対応について、近田さんは「ある程度は評価してあげないと、本人もイヤになっちゃうはず。ただ、それと一連の不誠実な対応は別だから」と言っていた。

「その意見は変わらないですよ。当時はまだ情報が錯綜していて、一生懸命やってもあれくらいしかできなかった気がするんです。でも森加計とかの問題は別。桜だってちゃんと説明するとか言って、何の解決にもなってない。結局途中からはサ、安倍晋三さんは逃げちゃったんだと思いますよ。だって体調悪いといっても、その後入院したわけでもないじゃない。方便というか、ホント逃げたと思うよ」 

「なるたけどっちにもつかないようにするという、グレーゾーンの異様な細分化っていうのが日本語の特徴。“頑張るように努力します”というくらい無意味なものだからサ」。全ての政治家に聞かせたいこの金言!

反論できないけど納得できない。国民の中に溜まり続けるマグマ

そして9月、急転直下で菅内閣が発足する。 

「菅っていう人はある意味、安倍晋三よりタチ悪いよね。あの人は要するに、こずるい処世術で政治という会社の中で出世して、社長にまで上り詰めたかったというだけですよ」 

いきなりなかなか手厳しい。そう思う理由はどこにあるのだろう。

「安倍晋三にはまだ憲法改正だとか、そういう大義が自分の中にあったけど、菅っていう人にはどんな国にしたいという目的が見えない。そういう人を平気で総理大臣に仕立て上げる自民党って危険だよ。自覚がないんだと思う。

彼の処世術の中で最強のスキルは、相手が反論できない答え方をするということ。反論できない。けど納得もできない。そんなマグマみたいなものがどんどん国民の中で高まって、反感だけが増えていく。本人も内心“こんなはずじゃなかった、もっとうまくいくはずだった”と思ってるんじゃないかな。

身内に対しても場当たり的に、同じスタイルでやってきてるんだと思う。何もかも自分が正しいと言われると、周りの人もめんどくさくなるじゃない? だから今、自民党とかイデオロギーがどうとかじゃなく、あの人格の人がリーダーであることに危機感を覚えますよ。

それと、いちばんの問題は古すぎるよ。安倍だってもう古いよ。逆に言えばサ、そんな歳を取った人でもやっていけるぐらい政治って簡単なものなんじゃないの? 元タレントみたいな人が大臣やってたりするじゃない。だれでもできるんだなと思うもん」 

手をこまねいているだけでは、社会は変わらない。「こんな時代だからこそ打って出ないとダメなんだ」というのは近田さんが再三口にする言葉だ。

「国を変えるためには、選挙以外は暴力革命しかないからサ、それは困るじゃない? だったら手間がかかるし地道なことでも選挙に行く以外に方法はないよね。Twitterで発言する前に選挙に行かないと。行かないで発言するのはあまり意味ないですよね」 

アーティストはなぜ思いを形にしなくなったのか 

この状況下では、みんないろんなことに対して不平不満があるはずだ。近田さんは昨年夏、YouTubeで「PANDEMIC〜WHO is criminal?〜」を配信した。

WhoWHO、あ、これ笑えるわと思って作っただけで、別に何かを告発してるわけでもないけど、それにしてもこの状況に対して、なぜ表現者たちは思うところを形にしないのかなと不思議で。例えば昔、エイズが蔓延したときとかアフリカの救済だとか、いろんな社会的なことに対し、アーティストが自分なりの考えを作品を通して表明するのが普通だった時代がありましたよね。

それがなくなっちゃったのはなんでだろうと。ヒップホップのアーティストなんて全然言わないじゃない。興味がないのか、あるいはそういうことと表現活動は別にするのが今のトレンドなのか、よくわかんないですけどね」

コロナ以降、日々思うことを書き綴っているという近田さん。「愚痴っても楽しんでも歴史は一方向にしか進まない。だったらこの状況でどうやって新しいことを始められるかを考えなくちゃ」。写真は1月28日(木)発売の自伝『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』

日本の音楽シーンとともに歩いてきた近田春夫の「自分史」 

そんな動向に気づくのも、近田さんが音楽シーンを舞台の袖から50年、見続けてきたからだ。しかも困ったことにいったん仕組みを把握するとあとは飽きるだけなので、次々に新しい音楽に浮気し、それらは近田さんが飽きた頃、日本国内に定着していく。ロック、歌謡曲、テクノ、アンビエント、ハウス、ヒップホップ、トランス、まさに「何でもござれ」。だから自伝『調子悪くてあたりまえ』は、この50年間の日本の音楽史を語る上で非常に貴重な資料となっている!のだが…。

3月に朋友、アラン・メリルがコロナで他界。ライブ活動自粛。さらに年末には週刊文春で24年間続いた連載「考えるヒット」が終了しての自伝出版となると、「え、まさか集大成だの店じまいだの考えていないでしょうね」とハラハラしてしまったのだが…。

「そうじゃなくて、『超冗談だから』というアルバムを出すにあたって川口さん(『インドカレー屋のBGM』というアルバムを、好きだという理由だけで出しちゃうような、ひとクセあるビクターのディレクター)が“大体近田春夫ってことでそんなに売れるわけもないんだから、やれるだけのことは全部やりましょう”といろいろ考えてくれて、“なんかここは自伝ですよ!”と、販促のひとつとして自伝を出そうとしたら、それとは別にリトルモアさんの方で僕が自伝を出さないかなっていう話があって、それが偶然にうまく重なったんですけども」 

販促? でも『超冗談だから』の発売は2018年10月。全然販促になっていませんが?

「だよね。しかも僕は去年が音楽活動50周年と思っていたんだけど、編集作業中に、1年ずれてる、今年が50周年だと気づいて。だとしたら今年は古希だし、結果的におさまりがいいな、ああ1年伸びてよかった♪って」 

なんといい加減な。でも、古希ということもあり、秋元康さん、安齋肇さん、こぐれひでこさん、手塚眞さんなど、そうそうたるメンバーが肖像画を描いてくれています。

「そこなんですが…」と、ここで登場したのは編集を担当したリトルモアの加藤基さん。「普通であれば若かりし頃の写真を載せるべきですが、ありとあらゆる画像が失われておりまして、デザイナーの発案で、結果的にこうなったという…」

「探せばどっかにある」と今さら言い訳する近田さんだが、なんともゴージャスなアクシデント! しかも中には「これは17世紀の作品か?」みたいな不思議な肖像画も。

「奥付にあるアドレスを打つと、世界中の病院などに納められている贋作絵画を作っているだろう中国の業者のサイトに辿り着くんです。そこにレンブラントの絵と近田さんのポートレイトを合成したものを送り、描いてもらいました」(加藤さん) 

編集担当の加藤さんと表紙用の原画を観る。収録された肖像画の中にはナポレオン仕様の近田さんの足もとにアルバム『天然の美』が置いてある、なんていう代物も。半金払った状態でアジャストOKという良心的システム。良心的なのか? 贋作。…不思議な国中国

とんでもないいかがわしさだ! しかも1点200ドルちょいで仕事も早く、「頼めばなんでもやってくれるみたいですよ」と近田さんもご満悦。

「前にも言ったかもしれないけど、明日死刑になるとしてもそこまでをどう楽しむか。その意志を強くもち続けることが大切だと思う。どんな事態でも、そこは変わらないです」

いや〜、なんだかホッとしました!

これからも打って出る近田さんに楽しませてもらおう。そして自分も打って出ようと、心に誓ったのであった。

近田春夫(ちかだ・はるお) ’75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてレコードデビュー。タレント、ラジオDJ、作詞・作曲家、プロデューサーとしても活躍。’81年にビブラトーンズを結成、’87年には人力ヒップホップバンドのビブラストーンを始動し、日本語ラップシーンの黎明期を支えた。2018年、ソロ名義としては38年ぶりとなるアルバム『超冗談だから』(ビクター)をリリース。近年は元ハルヲフォンのメンバー3人によるバンド「活躍中」、ディスコ×テクノユニット「LUNASUN」を展開。自伝『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(近田春夫・下井草 秀/リトルモア)が1月28日に発売された。

  • 取材・文井出千昌撮影岡田こずえ

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