新型コロナのワクチン、気になる疑問を医師に聞いてみた | FRIDAYデジタル

新型コロナのワクチン、気になる疑問を医師に聞いてみた

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2月末から接種が始まるとされている新型コロナウイルスのワクチン。今までの菅総理の発言を聞いていると、ワクチンを接種さえすれば、すべては解決するというように感じられるが、本当にそうなのか? 新型コロナ流行前の生活に戻れるのか?

「今回接種される“遺伝子ワクチン”は、人類初の試みで、臨床試験のデータも不十分で未知な部分も多い。現時点では、あまり楽観視はしないほうが良いと思います」と、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は言う。新型コロナウイルスのワクチンに関する気になる疑問を聞いてみた。

(写真:アフロ)

Q ワクチンを接種したら、マスクなしの生活ができるのか?

「新型コロナウイルスは、一度感染した人でも、再感染することがわかっています。新型コロナウイルス感染者は、インフルエンザと違って無症状の人も多く、本人も自覚なく行動しています。

海外で実施されたワクチンの臨床試験で、症状がある感染者を減らすことが証明されましたが、無症状の感染者をどの程度減らすかについては、結論が出ていません。症状がある人ほど減らないことが指摘されています。つまり、ワクチンを打っても無症状感染を起こす可能性はあるのです。このように、周りに感染者がいる可能性がある環境が続く限り、ワクチン接種後もマスクは必要でしょう。

そもそも、ワクチン接種とは、人口の一定数の割合が免疫をもち、ほかの人に感染させる機会が減る『集団免疫』という状況を作り出すことを目的にしています。新型コロナウイルスでは、7割ぐらいが集団免疫に必要と言われていますが、正確にはわかってはいません。

マスクなしの生活が送れるようになるのは、世の中がこの『集団免疫』の状態になってからです」 

Q すでに感染した人は接種しなくていい? 

「再感染する可能性があるので、一度感染した人もワクチンを接種したほうが安心だと思います。また、人によっては、再感染したときのほうが重症化しやすいという報告もあります」

Q 効果はどれくらい続く?

「これについては、まだわかっていません。ちなみに、インフルエンザ・ワクチンの場合は、だいたい4~5ヵ月で効果がなくなります。新型コロナの感染拡大がさらに長引いた場合、再度接種しなければいけないのではないかと懸念しています」

Q 95%の有効率の意味は?

「日本で接種が予定されている新型コロナウイルスのワクチンは、ファイザー、アストラゼネカ、モデルナの3社のものですが、2回の接種で、有効率が70~95%であると発表されています。

有効率95%とは、ワクチンを接種すれば、接種しない場合に比べて感染するリスクが95%減る、つまり、接種しないとき1000人のうち20人が感染する場合、接種すると1000人のうち1人しか感染しないということです。

インフルエンザ・ワクチンの有効率はだいたい50%くらいですから、これは驚異的な数字です」 

Q ファイザー、アストラゼネカ、モデルナの3社のワクチンは同じと考えていい? 

「ファイザーとモデルナは遺伝情報を伝えるメッセンジャーRNA、アストラゼネカはウイルスベクター(運び役)を用いたワクチンですが、原理は3社とも同じで、ウイルスの遺伝情報の一部を接種する(ことにより、体内でウイルスの一部が作られ、免疫ができる)ものです。

有効率に関しては、70~95%と発表されていますが、ほぼ同じぐらいと考えていいでしょう。

気になるのは、アストラゼネカの臨床試験では解熱剤であるアセトアミノフェン1グラムを6時間おきに内服することになっていること。総投与量は1日あたり4グラムということになりますが、日本でのアセトアミノフェンの常用量は1回0.5グラム程度で、最大許容量は1日4グラムとなっています。これは、高齢者には処方しない量です 

Q そのほか副反応のリスクは?

「去年11月18日、米科学誌『サイエンス』は、ファイザーとモデルナのワクチンの接種には、強い痛みと発熱を伴うことがあるという記事を掲載しました。この記事によれば、接種者の2%弱の人が39度以上の高熱をだしたと書かれています。

このような副反応が生じるのは、メッセンジャーRNA分子を保護するために脂質ナノ粒子が用いられているためで、この物質が強い炎症反応を引き起こすとされています。

なによりも気になるのは、長期的な安全性です。短期的な副反応は、これまでに公表された臨床試験のデータからある程度推定できますが、多数の人を対象にする“第3相臨床試験”は始まってからまだ半年程度しか経過していません。原理的に、長期的な安全性については評価できないのが実情です。

メッセンジャーRNAワクチンは、遺伝子工学の技術を使った画期的なワクチンですが、人類初のワクチンであり、免疫の持続期間や安全性など、まだ不明なところが多いのです(ウイルスベクターワクチンはエボラウイルスワクチンに用いられているだけで、実績が限られている)」

Q 避けたほうがいい人はいる?

「ワクチン接種は義務ではありません。接種するかどうかは自分で決めることができますが、できるだけ多くの人が接種し、1日も早く接種者が国民の7割以上に達することが望ましいと言われています。

しかし、私としては、今の段階ではお勧めしたくないケースがいくつかあることもお伝えしておきたい。

たとえば独居の高齢者や妊婦です。日本ではワクチン接種後、少なくても15分以上の経過観察が義務づけられる予定ですが、それ以降どのような副反応が起こるか、まだよくわかっていません。

イギリスやアメリカなど12月に接種を始めた国のデータが4月ごろには報告されるので、それを待って判断してもいいのではと思っています。

もちろん、家族と一緒に暮らしていて、感染の可能性が高い場合は高齢者でも接種したほうがいいでしょう。ケース・バイ・ケースです。

特に、過去に重いアレルギー症状を発症したことがある人は主治医と相談のうえ、判断するといいと思います」 

Q 変異ウイルスにも効果がある?

「それについても、はっきりしたことはわかっていませんが、一般にウイルスは変異を繰り返していくもので、少々の変異でワクチンの効果がなくなるということはあまり考えられません。仮に効果がないとわかった場合も、遺伝子ワクチンは、変異ウイルスに適合するものを短期間で作れると思います」

 

上昌広(かみ・まさひろ) 医療ガバナンス研究所理事長。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より現職。著書に『日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか』(毎日新聞出版)など。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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