パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層 | FRIDAYデジタル
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パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層

コロナ禍に混乱を極める「日本最北の医療の砦」

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フライデーデジタルが入手した、昨年秋ごろ、学内に掲出されていた吉田晃敏学長の「二冠ポスター」

1月25日付で、旭川医科大学病院の病院長が電撃解任された。昨年来問題が指摘されてきた「学長」が、ではない。学長から「(コロナ患者を)受け入れるなら、代わりにお前が辞めろ」と言われた「病院長」の古川博之氏が解任されたのだ。

「こんな暴挙がまかり通るとは…学内は驚き、呆れています」(旭川医科大病院の職員のひとり)

突然の、一方的な「説明会」の果てに

昨年12月に発売された「週刊文春」(12月24日号)で「学長の暴言」が報じられたことが発端となった「旭川医大パワハラ疑惑」問題。簡単に経緯を説明すると、旭川市内の民間病院・吉田病院から新型コロナの患者受け入れ要請を受けた旭川医科大病院長の古川氏が、吉田晃敏学長に受け入れを提案したところ「(吉田病院が)コロナをぐじゅぐじゅと撒き散らして」と問題発言したうえに、患者を受け入れるなら「代わりにお前が辞めろ」と暴言を吐かれた。

吉田学長の一連の言動に対して、文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」であるから、普通は、調査の対象となっている吉田学長が解任されたと思うところ。

しかし、実際に解任されたのは、「被害者」の立場にある病院長。驚きが広がるのも当然だ。

関係者によると、1月25日昼前、学内一斉メールで「一連の報道に関する、職員への説明の会」を開催するという連絡があったという。なにごとかとかけつけたおよそ400人の医師や職員の前で、大学役員会のメンバーからあった「説明」は「学内の情報を外部に流し、病院を混乱させた古川病院長を解任する」というものだった。

「役員会からは、吉田学長が病院長に『辞めろ』と言ったのは『その時点でコロナ受け入れの体制が整っておらず、職員を守るための選択だった』という旨の説明がありました。だから『パワハラにはあたらない、と役員会議が判断した』と。

こんな説明で納得できるわけがありません。問題のすり替えだし、ハラスメントかどうかは、受けた側が判断することでしょう」(病院関係者)

1年前の2020年1月、不正報酬問題で記者会見する吉田学長(中央)と、今回「解任」された古川氏(右)。写真:共同フォト

いくらなんでも…

説明会では「院長解任」の発表に、驚きと同時に諦めの空気もあったという。そんななか、ひとりの教授が質問に手をあげた。

「『この解任は納得できません。決定の経緯が不透明すぎるのでは』という質問でした。みんなが諦めかけていた中で、この質問をするのは勇気がいったと思います」(出席者)

この問いに対し、役員会は「4時間にわたって話し合った、その結果である」とあっさり返答。しかし、「病院長の解任という重大事案について、たった4時間の会合で決めること自体おかしい」という声も聞こえてくる。

病院長「だった」古川氏は、昨年からの新型コロナ対策の先頭に立ち、スタッフの信頼も厚かった。年頭の挨拶で、

「我々は地域の病院として、患者さんたちを守っていかなきゃならない。ここまで職員みなさんほんとうに頑張ってきた。あと一歩、頑張りましょう」

と話し、これを聞いた職員は「涙が出た」という。

現場のスタッフは「古川先生の働きを知っています。土日も出てきて、病院を支えてました。古川先生だから、私たちも踏ん張ってこられたんです」と悔しさをにじませながら語った。別の医師は、

「今は病院にとってだけでなく、旭川、北海道にとって『有事』のときです。こんな内部事情で混乱している場合じゃない。これまでもこの組織でやりづらさを感じていましたが、今回は本当に『辞めたい』と思いました」

と本音を明かしたうえで、

「目の前に患者さんがいる。だから、手を抜くことも辞めることもできないんです。私たち医療者はそうやって仕事をしています。組織としてダメだからといって、質を落としたり量を落としたりすることはできませんから…。

役員会はさまざまな『理由』をつけて説明をしている。しかし、医療は、ルールの前に倫理。なんだったら、仮にルールにそえなくても、倫理を優先する。それが私たちの仕事なんです

と苦悩を漏らした。

説明会では「当事者なので今回の決定には関与していない」と繰り返しアナウンスされ、壇上に座っていた吉田学長。しかし、最後にはマイクをもって「職員を守る。みなさんはファミリーですから」と発言したという。

「今、この切迫した時期にこんなことをして…そのうえで『家族』と言われてぞっとしました」(出席した関係者)

同大学は26日に記者会見を開き、解任に至る経緯を外部に向けても説明。古川氏が内部の情報を外部に漏らしたと結論づけたことや、マスコミの取材を受け学内を混乱させたことなどを解任の理由として挙げた。

旭川医科大病院は、日本最北の医療の砦といわれる。今日も、多くの患者がここを頼り、命をつないでいる。そんな旭川医科大病院の院長室は今、無人になっている。混乱が収束し、大学と病院が正常に機能し続けることを願うばかりだ。

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