孤独死、殺害事件…事故物件ばかり扱う「成仏不動産」のウラ側 | FRIDAYデジタル

孤独死、殺害事件…事故物件ばかり扱う「成仏不動産」のウラ側

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事故物件でお祓いをする花原社長。亡くなった家の元主を思いお祈りする(画像:「MARKS」提供)

「亡くなった方が安らかに成仏できますように……」

物件のお祓いに出席すると、不動産会社「MARKS」社長・花原浩二氏(43)は心の中で必ず念じる。同社が運営するサイト「成仏不動産」に掲載されるのは、事故物件ばかり。孤独死や殺害などによって、主が不慮の死を遂げた「ワケありの物件」だ。一般的にはネガティブなイメージの強い事故物件を、なぜ専門に扱おうと考えたのか。花原氏の半生とともに振り返るーー。

花原氏が不動産に興味を持ったのは、大学受験を控えた95年1月だ。

「私は兵庫県の出身ですが、当時起きたのが阪神淡路大震災です。受験会場のある神戸に行こうにも、倒壊した家屋が障害となり、なかなか近づけない。長時間かけて到着すると、瓦礫だらけの凄まじい光景に愕然としました。地震に負けない頑丈な家造りに携わりたいと、強く感じたんです」

大学卒業後に入社したのは、大手住宅総合メーカーの「大和ハウス工業」。神戸支店に配属された。

「震災後の需要もあり、営業マンとしての成績は良かったと思います。その後、横浜支店に移りデベロッパーとして街全体の開発に携わりましたが、徐々に問題意識が出てきました。新築は売れるのに、空き家は増える一方。古い不動産をうまく利用できる小回りのきく会社を立ち上げたいと、独立願望が強まってきたんです」

殺人事件だと売却価格は半分に

成仏不動産は特殊清掃も請け負う(画像:「MARKS」提供)

花原氏が「MARKS」を創業したのは、40歳を目前にした16年10月。同社は、横浜を中心に住宅やガレージなどをリノベーションする事業で順調に成長していく。転機は19年1月に訪れた。不動産オーナーから、こう提案されたのだ。「事故物件を買ってくれないか」と。

「調べると、事故物件の売却価格はかなり安いことがわかりました。殺人事件だと、相場の半分になることもあります。これでは商売になりません。事故物件は、空き家としてさまようばかり。まっとうなマーケットを作り、事故物件を流通させようという思いから立ち上げたのが『成仏不動産』です。

社内には反発もありました。ウチの会社は、横浜のおシャレな物件を扱っていましたからね。イメージが損なわれるのではないかと。ただ専門サイトを作れば『安い部屋だと思ったら事故物件だった』というミスマッチや、『ワケあり物件でも気にしないのに探せない』という機会ロスが解消できると考え、創設に踏み切ったんです」

だが、物件探しは容易ではなかった。

「不動産流通の専門サイトにそれらしい物件が掲載されるのですが、『告知事項あり』と記載があるだけ。『事故物件』とは書いていません。一件一件『告知事項あり』の物件担当者に電話し『人が亡くなったため』と聞けば、『ウチのサイトに掲載させてください』とお願いしていました。最初は数千件電話して、掲載できたのは百数十件ほどでした」

電話口で「仲介を任せたら手数料が入らなくなる」と、断られることも多かった。そこで20年4月からは各不動産会社が掲載することで集客できるようなサイトに。徐々に同業者から情報が入るようになり、常に300件近い物件が検索可能になった。

「自ら死を選んだ方の物件ですと通常の2割から3割。孤独死ですと1割から2割、販売価格が安くなります。もちろん、リノベーションには自信があります。ウチは外部に委託して、事故物件の清掃やお祓い、ご供養もやっているんです。今のところクレームやトラブルは、一件もないですね。

当初のお客様は『安ければいい』と考える若者や、単身の高齢者が多かった。今では年齢も性別もバラバラです。おかげ様で、契約件数は年20件ほどのペースで増えています」

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」によると、2040年には高齢者の単身世帯数は1000万に近づくとされる。また、警察庁の調査では20年10月の自殺者は2153人と昨年同月比約39%増。事故物件の数は、確実に増えつつある。ネガティブな印象の強い物件を隠すのではなく、イメージを刷新しようとする「成仏不動産」の挑戦が、日本の住宅事情に革命を起こすかもしれない。

清掃前の事故物件内部。ゴミやメモなどが散乱している(画像:「MARKS」提供)
特殊清掃後。壁にキズが目立つがゴミは回収(画像:「MARKS」提供)
神奈川県横須賀の事故物件。リフォーム前の様子(画像:「MARKS」提供)
神奈川県横須賀の事故物件。リフォーム後の様子(画像:「MARKS」提供)
「MARKS」のオフィスで取材にこたえる花原社長。兵庫県豊岡市出身
  • 撮影会田 園写真「MARKS」提供

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