甲子園制覇の「花咲徳栄高校元主将」が強盗致傷犯に堕ちるまで | FRIDAYデジタル

甲子園制覇の「花咲徳栄高校元主将」が強盗致傷犯に堕ちるまで

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’17年夏の甲子園では、主将として優勝旗を受け取る。千丸被告は167㎝と小柄だが、体は引き締まり野球センスはピカイチだった
’17年夏の甲子園では、主将として優勝旗を受け取る。千丸被告は167㎝と小柄だが、体は引き締まり野球センスはピカイチだった

「野球をやってない自分には何の価値もないと絶望し、プロにいった人間と比べて情けない気持ちになり、(当時は)もっぱら家に引きこもっていました」

’17年、夏の甲子園で優勝した埼玉・花咲徳栄高校野球部で主将を務めた千丸剛被告(21)は、はっきりした声でそう語った。

千丸被告は、’19年4月、仲間4人で千葉県八街市にある住宅に強盗目的で押し入り、住人に重軽傷を負わせて強盗致傷などの容疑で’20年1月に逮捕された。

高校時代、千丸被告は名門野球部で1年秋からレギュラーの座を獲得。甲子園に3度出場し、3年夏は2番セカンドとして打率4割超えを記録した。主将としてチームを牽引した甲子園のスターだ。

それがなぜ強盗致傷犯に転落したのか。

公判が千葉地裁で始まり、1月27日の被告人質問で千丸被告が法廷に立ち、その顚末を語り始めた。

「(小中学校時代からの友人から)『人のいない家からお金を運ぶ仕事がある。全然問題ないから大丈夫』『報酬は数十万』と誘われました。声をかけてくれた友人の機嫌を損ねるのは気が引け、受けることにしました」

駒澤大野球部を1年時に退部、大学も辞めて無職だった千丸被告はこの誘いに乗ってしまう。犯行当日、千丸被告は待ち合わせ場所のコンビニ前で、初めて他のメンバーと会い、「コバヤシ」と名乗った。千丸被告らは100円ショップで果物ナイフやガムテープなどを購入した後、クルマに乗り込んで現場に向かった。

「(途中で盗んだ)ナンバープレートをクルマに取り付けた後、車内でリーダーがナイフを配りながら役割分担の話を始めました。ここで初めてこれから強盗をやるのだと知り、激しい衝撃を受けました。『ヤクザが見張ってるから逃げるとお前や家族の命が狙われる』と言われ、逃げたら殺されると思いました。リーダーはバールを持っており殺気を感じて恐ろしかった。『覚悟を決めろ』とも言われて、もう逃げられないと」

千丸被告にも果物ナイフとガムテープが渡され、「人がいたら、ガムテープで縛れ」と指示されたという。

彼らは住宅のインターホンを押し、「すいません。壁に車をぶつけてしまいました」と伝えた。そして、玄関から出て来た男性を背後からバールで殴り倒し、メンバーは住居内に侵入した。

「(家の中にいた)女性の体を他のメンバーが押さえ込んでいました。『ガムテープを切れ』と言われましたが、私は気が動転しており、手袋が厚かったこともあって上手く切れませんでした。その時にナイフは落としてしまいました」

誰かの「逃げろ」という声を聞き、千丸被告は何も取らずに逃げ出した。

法廷に現れたスーツ姿の千丸被告の顔は青白く、痩せて筋肉も落ちたのか、高校時代よりもひと回り小さく見えた。短く刈り揃えられていた髪も10㎝ほどに伸びてボサボサ。伏し目がちで、甲子園での精せい悍かんな姿とは別人だった。

「私は恐怖のあまり体が動かず、その時、女性が声を上げていたのかも、よく覚えていません」(千丸被告)

この日、反省の弁は聞かれなかった。だが、すでに被害者に対して弁償金を支払っており、就職先が決まっているという。それでも罪が消えることはない。全国の高校野球関係者に与えた衝撃はあまりにも大きい。判決は2月4日に下される。

  • 写真共同通信社

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