連れ子を虐待した30歳夫をかばう50歳妻の「危険な言い分」

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
8歳の息子に全治6ヵ月のケガを負わせる虐待をした久保山容疑者。妻は子どもより夫をかばい続けた(手首付近など画像は加工しています)

「やりすぎたのも半分あるのかなって。しつけみたいな感じっすよね」

親が〝しつけ〟と称する虐待で、男の子は全治6ヵ月の重傷を負っていた――。

妻の連れ子に暴力をふるい、大ケガをさせた男が捕まった。傷害の疑いで逮捕されたのは、埼玉県鶴ヶ島市の無職・久保山明代容疑者(30)だ。久保山容疑者は19年5月、自宅アパートで妻の連れ子である男児(当時8歳)に対し、何度も腹を蹴るなどの暴行を加え、右肺挫傷や右腕骨折など全治6ヵ月の大ケガをさせた疑いがもたれている。久保山容疑者は、調べに対し「殴ったり蹴ったりしました」と容疑を認めている。

「久保山容疑者は、妻と3人の子どもの5人家族です。子どもは妻の連れ子でした。男の子がケガをした時、母親(50)は『子どもが木登り中に転落した』と119番通報をした。しかし、川越児童相談所が調査した結果、久保山容疑者の暴力が原因である可能性があるとして昨年8月に警察へ情報提供。今回の逮捕にいたったのです」(全国紙社会部記者)

久保山容疑者の逮捕後、母親は報道陣の取材に対してこう話している。

「『木から落ちた』と本人が言ったんで、『大丈夫?』と話したら『手が痛い』と。『じゃあ病院行こうか』と。病院に着いて『木から落ちた』っていう説明は、息子が担当医師にしました」

木から落ちたというのは、あくまで男の子本人が言い出したことだと主張していたのだ。

「『日常的な暴力はあったのか?』という記者の質問に対して、母親は久保山容疑者を、こうかばっています。『怒るときは口でガっと言って、聞かなかったら(父親が)手をたたくのは私も見ていた。親の言うこと、私の言うことを聞かなかったら。でも、そこまでひどくはない』と。また、男の子が医者にウソの証言をしていたことについても『好きだからじゃないですかね。パパのこと大好き、大好きだから』と、男の子も父親を慕っていた主張していました」(前出・記者)

事件前にも2回警察が聴取

今回の事件の前後、18年6月と20年4月にも警察は久保山容疑者を虐待の疑いで聴取している。川越児童相談所に虐待の疑いがあると通告されていたのだ。

18年3月に東京都目黒区で起こった船戸結愛ちゃん(当時5歳)の事件でも、19年1月に千葉県野田市で起きた栗原心愛(みあ)ちゃん(当時10歳)の事件でも、父親たちは虐待を〝しつけ〟だったと主張していた。19年に政府は体罰の禁止を明記した児童虐待防止法の改正案を提出し、翌年施行されている。

しつけと体罰は似て非なるものだ。「叩かれて育った子は叩いて育てる親になりがち」と語るのは、NPO法人児童虐待防止協会理事長の津崎哲郎氏だ。

「しつけは子どもが成長する過程で、社会的マナーを身に着けるために親が指導する行為であって、本来体罰とは似て非なるものです。子どもが苦痛や恐れを感じるだけでは、ただ相手を力で打ち負かす言動として習慣化されてしまいます」

津崎氏は、虐待の背景にはステップファミリーにおける子育ての難しさがあるのだとも言う。児童相談所の統計によると義理の親による虐待は6~7%だが、警察統計では継父による虐待は30%を超えるという。警察沙汰になるような重い虐待は、継父によるものが多いのだ。

「血のつながりがないことが原因ではなく、中途から養育することが難しいからです。里親制度においても子どもは、ほぼ例外なく新しい親に対して『ためし行動』という反抗的な態度を半年間程度示します。だから事前研修でそれをしつけでコントロールしないよう親を教育する。しかし普通の再婚家庭にはそんな知識はないので、強い体罰でしつけようとするために虐待につながりやすいのです」

さらに津崎氏は今回の事件で目黒の結愛ちゃん事件、野田の心愛ちゃん事件に通じる部分がもう一点あるという。

「母親が完全に継父の側に立ち、子どもを守ることができない人のように思います。その点でも先の2事例の母親と同類の人と感じる。子どもはたぶん継父には本心では愛着を感じていないと思いますが、母親は真逆の説明をしています。今後ともこの家庭で子どもが育つことはリスクが大きいでしょう」

今回の事件は、結愛ちゃんや心愛ちゃんのような死にいたる最悪の結果だけは免れた。だが、根本的な問題が解決したわけではない。

  • 撮影蓮尾真司

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事