「女性蔑視」発言、悪いのは森喜朗だけじゃない | FRIDAYデジタル

「女性蔑視」発言、悪いのは森喜朗だけじゃない

非謝罪会見に国内外から疑問続出…!

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会見の冒頭「深く反省、発言を撤回、お詫びしたい」と棒読みしたものの… 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
会見の冒頭「深く反省、発言を撤回、お詫びしたい」と棒読みしたものの… 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

「ちょっと僕はね、その、マスクをされてるとよく言葉が聞き取れない」

質問をした記者に対する第一声はこれだった。

森喜朗オリンピック組織委員会会長が、前日の不適切発言について急遽「謝罪」の会見を開いた。

1人目の質問者は女性記者。威嚇のつもりだろうか。

会見は「不適切発言」が国内外で大きな問題となったことから急遽組まれた 2月4日午後2時
会見は「不適切発言」が国内外で大きな問題となったことから急遽組まれた 2月4日午後2時

問題となったのは、2月3日、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会の席上で森会長が放ったこの言葉だ。

「女性っていうのは競争意識が強い」「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」

この会議はオンラインで記者にも公開されていた。飲み屋のぐだぐだ話ではない。森会長は、通りすがりのオジサンではない。日本の、東京オリンピックのリーダーである。

83歳だからいいということはない。公職についているのだから立派な公人だ。

集まった取材陣を見渡し「みなさんいつもと違う方もおられて」と、会場を睨(ね)め回す眼光はしかし、どこか不安げでもあった。

「組織委員会の理事会に出たわけじゃない、JOCの理事会に評議委員…僕は評議委員だったかな立場は」と、脇に控える関係者に確認、「名誉委員です」「ああ、名誉委員という立場」とやりとりする場面もあり、衰えは隠せない。

おそらく「謝罪」内容が書かれた文書を片手に、気持ちも言葉も当初の目的から外れてしまった森喜朗会長
おそらく「謝罪」内容が書かれた文書を片手に、気持ちも言葉も当初の目的から外れてしまった森喜朗会長

記者の問いかけに対し、

「組織委員会の理事会と一緒にしてる方がある。あくまでもJOCの評議委員会に出て挨拶をしたということです。…それは山下さんが難航しておられる。頑張れ頑張れと後押しを」

と、質問された以外のことを一方的に話し始める森。記者団、ここは我慢だ。

記者の質問にキレる

「辞任という考えはありません。わたしは7年間、献身的にお手伝いしてやってきた」

「説明する必要はない。ここで話してるんだから」

「しゃべるときだけでいいから、マスク取ってくれ。聞こえないんだよ」

「あんたのおっしゃる通り、撤回します」

といった調子が続く。噛み合わない。記者の問いかけは空を切るばかり。

「最近女性の話を聞かないからよくわからない」

「わたしも長いほうなんだ」

「去年からなかなか大変と聞いている、各競技団体から女性が多いとたいへんと聞いている」

世界中が唖然とした「女性蔑視」発言。謝罪会見と思われた記者会見は、見事な空振りに終わった。会見のノーカット版が世界中で見られるため、早くも各国の言語に訳された動画が世界を駆け巡っている。

「国民が決めること」というワードを連発した森。われわれ国民はそろそろ「決め」なければならない。

しかし、だ。問題は「森個人」ではない。問題発言の場にいた会議の同席者からはそのとき、「笑い声があがった」のだ。

おそらく、今、この社会で「中枢」にいる政治家から馬鹿にされているのは「女性」だけではない。聖火リレーをするタレントも、会見に集まった記者も、オリンピックを目指すアスリートも、オリンピックを楽しみにしている人もそうでない人も。つまりこの国の全ての国民が、このように扱われている。

問題は、森氏個人ではない。彼の年齢ではない。もっと大きな何か。人を人として扱うことのできない社会ではないだろうか。

2020年11月、トーマス・バッハ IOC会長と会見する森委員長。まぎれもなく東京五輪の「顔」である彼の発言は重い 写真:YUTAKA/アフロスポーツ
2020年11月、トーマス・バッハ IOC会長と会見する森委員長。まぎれもなく東京五輪の「顔」である彼の発言は重い 写真:YUTAKA/アフロスポーツ
  • 写真代表撮影/ロイター/アフロ、YUTAKA/アフロスポーツ

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