コロナ不況でテレビが吉本芸人とアイドルだらけになる可能性 | FRIDAYデジタル

コロナ不況でテレビが吉本芸人とアイドルだらけになる可能性

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大人気のお笑いトリオ『3時のヒロイン』の、ゆめっち(左)、福田麻貴(中)、かなで(右)。『EXIT』『霜降り明星』ら“第7世代”をはじめ、吉本芸人はテレビに引っ張りだこだ 写真:Pasya/アフロ

まったく先が見えないコロナ禍。そして本当に開催されるかどうかはっきりしない東京オリンピック。……オリンピックがあるかどうかわからないということは、オリンピック関連番組を放送できるかどうかもわからないということだ。

様々な不確定要素を抱え、4月から始まる来年度のテレビ番組制作予算は各局とも大幅な減額になるという。「リーマンショックの時よりも状況は悪い」という声がテレビ局内から聞こえてくる状況だ。

民放キー局のチーフプロデューサー・Aさんはこう話す。

「来年度は超緊縮予算です。テレビはたぶん、吉本芸人とアイドルだらけになりますよ(苦笑)。特番をやる場合にも、お金はありませんから大物MCは入れられない。でもそれだとCMが売れないので営業が困ってしまいます。そうするとさらに予算が厳しくなるという悪循環になるのは目に見えています」

もはや各テレビ局は、番組の質が多少低下して業績の悪化につながりかねないとしても、制作費の待ったなしの削減をする必要がある状況だ。ギャラが高い大物タレントが出演する番組など「コスパの悪い番組」は仮に視聴率が良くても、次々に「3月いっぱいでの終了」が発表されている。

そんな中、現場で実際に出演交渉とギャラ交渉を担当する、制作会社の「キャスティング担当」Bさんに、タレントたちの「値切り方」について興味深い話を聞くことができた。

Bさん「タレントのギャラというものは、一度決めてしまったらなかなか下げることはできません。例えば30万円で出演をお願いしていた人のギャラを『来期から20万円に下げてください』とはなかなか言えない世界なんです。だから、ギャラを下げようと思ったら一回番組を終わらせるのが一番いいんです。

『新しい番組を始めるんですが、コロナ禍で厳しいんです。だから安く出てください。』ととにかく泣きつくんです。今はコロナを言い訳にできるので、そういう意味では値切りやすい。仲が良くて関係の良いマネージャーには片っ端から泣きつきますし、そうでない事務所にもガンガン泣きついていきますよ(笑)」

意外と体質の古い芸能界。やはりシンプルに「泣き落とし」は非常に効くのだという。キャスティングのベテランであるBさんに、「なぜ予算削減するとテレビは吉本芸人とアイドルだらけになる」のか、冒頭のAさんの話の理由を聞いてみた。

Bさん「それはもう『まとめ買い』ということですよ。例えば八百屋さんで野菜を買うときのことを考えてみてください。ネギを買うとして、ネギ1本買うより3本セットの方が安いですよね?『バーター』という言葉を聞かれたことがあると思いますが、吉本やアイドルはまとめて出演をお願いして、値切り交渉ができるのでお安くつくんです。

特に吉本の場合は芸人もベテランから新人までたくさんいますし、文化人もアイドルも様々な人が豊富に所属していますから、便利なんです。MCも、ひな壇も、ゲストもまとめて吉本にお願いすればかなりの『まとめ買い』になりますよね。品揃えが非常に豊富な八百屋さんなんです。『ネギも、ニンジンも、大根も、白菜も……鍋の具全部オタクのお店で買うからおまけしてちょうだい!』という感じです」

なるほど。「八百屋理論」とでもいうべきだろうか。ひとつの事務所でまとめてキャスティングすることで出演料を値切り、少ない予算で多彩な出演者を確保する。こういう「まとめ買いできてお得で便利」という理由から、予算が削減傾向になるとテレビの出演者に吉本所属の芸人さんやアイドルが増えていく、という理屈なのだ。

しかし、Bさんはこんなことも指摘する。

「でもそれより今はユーチューバーですよ。 あとインフルエンサーとか、ブロガーとか。事務所に入っていない人をネットとかで直接探すのが良いんです。個人で活動している人はギャラ交渉もしやすいですからね。

たとえて言えば『産地直送の野菜』ですよ。問屋とか小売店とかが間に入って中間搾取してないから安い。しかも新鮮で美味しいんです(笑)生産者の顔も見えてますし、直接メールでお願いできますからね。フワちゃんとか人気が出たのはそういう理由も大きいと思いますよ。

かつては芸能事務所は、スキャンダルやトラブルが起こらないようきちんと所属タレントを管理してくれていた。だから事務所に頼む安心感がありました。今は事務所はあまり何もしてくれませんから。タレントをちゃんと教育も管理もできていない。 だったら高いだけなので、事務所にお願いする意味が薄くなってきていると思います。自分で探した方が面白い出演者が見つかる時代になってきてるんです」

街角にある店舗で買うよりも、ネット通販で買った方が安くて便利だというので進んだ流通改革。それとほぼ同じ構図の改革が、テレビのキャスティングの世界でも始まりつつあるのかもしれない。

  • 取材・文鎮目博道/テレビプロデューサー・ライター

    92年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教関連の取材を手がけた後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島取材やアメリカ同時多発テロなどを始め海外取材を多く手がける。また、ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、放送番組のみならず、多メディアで活動。上智大学文学部新聞学科非常勤講師。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルをライフワークとして研究、記事を執筆している。近著に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)

  • 写真Pasya/アフロ

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